リレー侍が見事に立て直してみせた。 五輪メダリストを含む国内外のトップアスリートが出場した陸上セイコー・ゴールデングランプリが19日、大阪ヤンマースタジアム長居で行われた。男子400メートルリレーは日本が38秒00で今季世界最高をマークし…

 リレー侍が見事に立て直してみせた。

 五輪メダリストを含む国内外のトップアスリートが出場した陸上セイコー・ゴールデングランプリが19日、大阪ヤンマースタジアム長居で行われた。男子400メートルリレーは日本が38秒00で今季世界最高をマークし、100メートルの持ちタイム9秒台をそろえた2位の米国に0秒73の大差をつけて優勝した。


 バトンミスにより予選で失格に終わった世界リレー大会から1週間。第1走者から多田修平(22)、山県亮太(26)、小池祐貴(23)、桐生祥秀(23)と同じメンバーで挑んだ。前回失敗した3走小池からアンカー桐生へのバトンパスが成功すると、スタジアムの観客からは大きな拍手。独走でゴールを駆け抜けた桐生は「本当は37秒台を出したかったけど、向かい風が強かった。とりあえず、バトンを落とさなくて良かった」とホッとした表情を浮かべた。

 入念な準備があった。世界リレーで失敗した小池は、この1週間「他国のいろんなバトンミスの動画をほぼ毎日見ていた」と失敗の要因を徹底分析。2日前には4人でミーティングを行い「つまりすぎたら」「手を握ってしまったら」とあらゆる状況を想定してレースに臨んだ。

 ヒヤリの場面があった。2走・山県がバトンを受ける際、一度、1走・多田の手首をつかむロスもあったが、落ち着いてバトンを握りなおした。山県は「受け手は焦らず脇を固定し、バトンを探す動きをしないように」と失敗を繰り返さない。リレーのスタートのタイミングは、前走者が目安のマーク位置を通過したのを見て測る。この日は向かい風が強く、影響を考慮した小池と桐生はそれぞれマークの位置をいつもより手前に置き、動きだすタイミングを遅らせた。

 08年北京五輪400メートルリレー銀メダリストの末続慎吾さんは「前回の失敗を、桐生君はレース直後に『気の緩み』とさらっと言った。普通は原因を技術論に持っていきがちだが、世間から批判されることを恐れていない。お家芸といわれて、失敗しないという安心感から、レースに臨む姿勢の問題だったととらえた。中途半端にごまかそうとしないのは、日本国内の期待の高さを理解し、自分たちが東京五輪で金メダルを取るんだと本気で思っているからこそ出てくる言葉だ」

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 この日は4人全員が、リレーの前に行われた100メートルを走った。17年世界選手権王者のガトリンが10秒00で優勝したが、桐生が10秒01で惜しくも2位。200メートルが専門の小池が10秒04で自己最高を大幅に更新して4位に入った。2人が来年の東京五輪派遣標準記録(10秒05)を突破したのは、走力アップを狙うチームにとってうれしい誤算だった。

 100メートルで力を出し、わずか1時間後のリレーという過密スケジュールの中でたたき出した日本歴代4位となる38秒00の好タイム。条件は違えど、先の世界リレー大会で優勝したブラジルの38秒05を上回る今季世界最高をたたき出した。東京五輪につながる今秋の世界選手権出場に向け、今大会はタイムが欲しかっただけに安全なバトンパスを重視。内容的にはまだ余力十分で、今後は試合を重ねて記録短縮に専念できる点も、精神的に大きい。

 次戦予定は7月のダイヤモンドリーグ・ロンドン大会。ここにきて100メートル代表争いにも加わる勢いの小池は「タイムはもっと期待できるし、もっといける手応えが高まった。世界陸上では、もう1度みんなで1番を狙いたい」と言った。五輪本番への期待感、伸びしろを感じさせたリレー侍の「リベンジ」だった。

【男子400メートルリレー結果】
①日本38秒00
(多田、山県、小池、桐生)
②米国38秒73
③台湾39秒12
⑥大東文化大39秒80
(齊藤光来、平野翔大、太田匡哉、安田圭吾)
⑦日本U20 40秒03
(中村彰太、瀬尾英明、小久保大地、山路康太郎)

【男子100メートル結果】
①ガトリン(米国)10秒00
②桐生祥秀(日本)10秒01
③ゾフリ(インドネシア)10秒03
④小池祐貴(日本)10秒04
⑤山県亮太(日本)10秒11
⑥多田修平(日本)10秒12
⑨ケンブリッジ飛鳥(日本)10秒30

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]