シンさんがバスケットボールを持って、コートに帰ってきた。 澄み渡る青空の下、豊洲に颯爽と現れたのは、「SHIN(シン)さん」こと元バスケットボール女子日本代表の大神(おおが)雄子さんだ。 元バスケットボール日本代表 大神雄子さん 2019…

シンさんがバスケットボールを持って、コートに帰ってきた。

澄み渡る青空の下、豊洲に颯爽と現れたのは、「SHIN(シン)さん」こと元バスケットボール女子日本代表の大神(おおが)雄子さんだ。

元バスケットボール日本代表 大神雄子さん

2019年5月5日・こどもの日、三井不動産が展開する東京五輪への応援イベントに講師として招かれた彼女は、変わらぬ笑顔とトレードマークの刈り上げショートヘアで、「第16回三井不動産スポーツアカデミーfor TOKYO 2020バスケットボールアカデミー」に姿をみせた。バスケの伝道師・SHIN(シン)さんとして新たな挑戦に挑む、JBAアンバサダー・大神雄子。彼女の挑戦は、2019年にスタートしている。

「バスケの魅力をもっと伝えたい。バスケをもっと好きになってほしい」

引退後のセカンドキャリアとして、バスケの伝道師を選んだ「シンさん」こと大神さん。8歳からバスケットボールを始め、高校時代には3年間で7度の全国タイトルを獲得したほか、アテネ2004オリンピックに日本代表としては最年少の21歳で出場を果たした女子バスケ界きっての天才プレイヤーだ。

現役引退を惜しむ声も多くあったが、そんな声を跳ね除けるように晴れやかにコートを後にした天才プレイヤー。「まだやれる自信はある」引退前にそう語っていた彼女の言葉通り、ららぽーと豊洲ららぽーとで開催されたキッズ向けのバスケ教室では、本領発揮。

バスケットボールを初めて持つというキッズも参加する小学一・二年生のクラスを担当し、現役時代と変わらぬ大きな声でコートを走り回った。子供達の目線に合わせ、必ず立膝で会話する。バスケがうまくいかなくてコートで泣き出す女の子がいれば、すぐに駆け寄り、一緒にボールへ向かう。

アカデミー参加者のキッズ、埼玉県上尾市からやってきた小学2年生・りゅうすけくんは、初めてバスケットコートに入ったという。

ドリブルからのシュート練習に挑む小学2年生りゅうすけくん

参加のきっかけは、りゅうすけくんのお母様による応募だった。お母様がバスケットボール経験者で、現役時代の大神さんのプレーに魅了され、お祖母様からの応援もあって、りゅうすけくんもバスケットボール教室に興味を持ったという。

笑顔でバスケットボールを持つりゅうすけくん

応募総数約1200通の中から見事当選した、りゅうすけくん。

「まさか当たるとは思わなかった。頑張れ、りゅうすけ!」

見守る家族の掛け声のもと、初めてバスケットボールに触れ、アカデミーの終盤にはミニゲームにもトライ。大神さんともパスを交わしたり、「ナイスプレー!」の声をかけてもらうなど、豊洲の青空の下競技の魅力に触れた。


「髪の毛の短い刈り上げの選手、おおがって覚えてもらえれば(笑)」

キッズの前では、現役時代からの自己紹介に加え、お得意の髪型アピールも披露してくれた大神さん。現役時代と変わらず今もなお健在の刈り上げに、彼女のバスケ愛を感じてしまう。

その光景は、本気でバスケットボールを子供達と追いかけていた、と表現するのが正しいかもしれない。笑顔に溢れるコートと青空がお似合いだった。


現役時代の大神さんは、日本国内女子選手として初のプロ契約を締結したほか、日本人2人目のWNBAプレーヤーとしても活躍し、バスケットボール女子日本代表チームのキャプテンを長年務めた。

2018年、日本女子バスケ界を牽引したのち、現役を引退。現在は、トヨタ自動車アンテロープスのディベロップメントコーチ、3×3日本代表サポートコーチおよびJBA初のアンバサダーに就任するなど、バスケットボールの普及活動において幅広く活躍している。

豊洲の青空の下、バスケットボールと子供達の笑顔は輝きを増していた。その功績は、バスケの伝道師「SHIN(シン)さん」こと、「アスリート大神雄子」が残したものだ。

文/ スポーツブル編集部

参加キッズとの集合写真