「君たちの年頃にもっとちゃんと両親の言うことを聞いておけばよかったと思っているよ。それが一番後悔していることだね。」マイアミ・オープンのチャリティーとして訪れた小学校で、ニック・キリオスがそう…

「君たちの年頃にもっとちゃんと両親の言うことを聞いておけばよかったと思っているよ。それが一番後悔していることだね。」

マイアミ・オープンのチャリティーとして訪れた小学校で、ニック・キリオスがそう話した。

一時は「必要ない!」と跳ね除けていたスポーツ心理学のセラピーを昨年から再開し、本気で心と向き合い始めた同選手コメントだけに興味深い。

2016年のインターナショナル・プレミア・テニス・リーグの際のインタビューでは「たかがテニス。お金が必要だから仕事としてやってるだけさ。俺はバスケットボールを愛しているんだ。」と悪童っぷりを悪びれることもなく語っていた彼だが、今回の小学生訪問ではロールモデルらしい言葉を伝えた。「14歳の時に両親にバスケットボールをやめるよう言われたんだ。テニスに集中するために愛するバスケを辞めなくてはならなかったことは、今までで一番辛かったよ。今思い出しても心が痛いくらいさ。」と未だぬぐえぬバスケットボールへの気持ちを明かしつつも、両親の言葉を聞くべきだともコメント。テニスを選択したことに後悔はないようだ。チャリティーでは、困難を乗り越えて、ポジティブに周囲と繋がっていく方法を子供たちに伝える質問タイムが設けられ、ニック・キリオスのほかにも錦織圭他多くのトップ選手が質問に答えた。

錦織圭は、フロリダのIMGアカデミーに拠点を移すために日本を離れたことの苦しさを語った。「幼い時期の事だったので、当初はとてもホームシックになりました。アメリカは文化も違い、全く知り合いもいない状態で、英語もろくに話せなかったのです。」「それでも、朝の6時から夜の7時まで練習に没頭して、楽しむ方法を見つけ出しました。」と子供たちを励ました。

世界10位ステファノス・チチパスは経済的にテニスを続けていくことは困難であったと明かした。「当初ギリシャは不況で、テニスで夢を追い求めることは簡単な事じゃなかったんだ。でも、家族の協力のおかげで今までやってこられた。ツアーを始めたころは、家族と離れている時間が長くて辛かったけれど、父が同行してくれてラッキーだった。それも母や兄弟、そして祖父母のことはいつも恋しかったよ」

マリン・チリッチは「プロ選手は皆同じような困難と闘い上位を目指しています。私も家族を離れて大都市に移り住まなくてはなりませんでした。大変でしたが、家族も常にサポートしてくれて、強くなれたし自分の目標を強固にすることができたのです。そうした困難があったからこそより良い自分になれて、今の生活を更に大切に思えるようになったのだと思います。自分を信じて頑張ってください。きっと目標は達成できます。」とエールを送った。

チャリティーではUNICEFの子供による人道支援プロジェクト「キッズパワー」に参加する、50人のハリウッド・パーク小学校4・5年生と、1年前に銃乱射事件のあったマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校テニス部のメンバー達がトップ選手たちの話に耳を傾けた、

Photo by Joel Ford/Getty Images

ATP翻訳ニュース/ATPTour.com