グランドスラム「全仏オープン」に向かってのクレーコートシーズン。今まさにその戦いが繰り広げられているが、WOWOWテニス解説者の小野田倫久氏がクレーコートでの戦いについて語った。クレーと言えば…

グランドスラム「全仏オープン」に向かってのクレーコートシーズン。今まさにその戦いが繰り広げられているが、WOWOWテニス解説者の小野田倫久氏がクレーコートでの戦いについて語った。

クレーと言えば、やはり「赤土の王者」ラファエル・ナダル(スペイン)。2018年「全仏オープン」では前人未踏の11度目の優勝を果たしている。2019年のクレーコートシーズンは王者ナダルを筆頭に、どのような展開を見せるのだろうか。

小野田氏は「クレーシーズンとなるとヨーロッパ勢が層が厚いですけれども、やはりナダル、(ファビオ・)フォニーニ、そして若手の(ダニール・)メドベージェフあたりも勢いがあります」と話す。

「ストローク戦になるのは間違いないですけれども、やはり粘り強さとかタフなメンタルが要求されるコートなので、僕からすると順当と言いますか、あぁなるほどこのメンバーが勝っているというのは内容を見てて納得できます」

またインタビュアーから、2月のクレー大会「ATP250 サンパウロ」で自身初のツアー優勝を果たしたギド・ペラ(アルゼンチン)について問いかけられた小野田氏は「アルゼンチン人とか南米のクレーコート育ちの選手も、ここぞとばかり調整してきますから。ストローク戦でも速いボールとムーンボールの高い球を打ち分けてきたりとか、やはり前後の動きだったり相手を走らせるようなプレーが多いのは、改めてクレーコートならではだと思います」と答えた。

クレーコートは一般的に、ボールの球足は他のサーフェスに比べて遅くボールの弾み方は高くなることから、ラリー戦になりやすいといわれている。そんななか近年はクレー、芝、ハードといったサーフェスによる選手のプレーの差は、昔ほどは見られなくなってきたという。

「ここ近年のプレースタイルというかフィジカルが強い選手が増えてきたので、あんまりハードとか芝とかクレーとか、サーフェスによる差は昔ほどあんまり感じなくなりましたね。パーフェクトボディを持っている選手が多いので」「ストローカーが多いですから、皆さんどのサーフェスに行ってもラリーをしなきゃいけないと元々分かっていてトレーニングしてますから、そのへんは状態次第っていうのもあると思いますね」

2019年のクレーコートシーズンで今まさに注目の一つなのは、元世界3位ダビド・フェレール(スペイン)の最後の勇姿だ。現在開催中の「ATP1000 マドリード」(スペイン・マドリード/5月5~12日/クレーコート)を最後の大会とし引退を表明しているが、4月の「ATP500 バルセロナ」3回戦では盟友ナダルとの対戦が叶った。

小野田氏は「フェレールは(バルセロナは)最後でしたからね。もうここで全てを出し尽くすっていうファイトと、お客さんもファンが多いですからね、その期待に応えたいっていう彼のプレーがすごい出ていたなって」

「ナダルと勝負して、裏をついていこうというよりも真っ向からラリーをしていたので、そこは観ていてもっと応援したいなっていう気持ちになりましたね。もうカッコよかったです」

激しいラリー戦が展開されるクレーコートでの大会、そしてそれを最も体現してきた選手の一人であるフェレールの最後のプレー。さらには「全仏オープン」12回目の優勝を目指すナダルに対し、ロジャー・フェデラー(スイス)は3年ぶりのクレー大会復帰をする。見どころ多いこのシーズンから目が離せない。

(テニスデイリー編集部)

※写真はWOWOWテニス解説者の小野田倫久氏