6月末に開催される全日本学生選手権(全日本)への出場を懸けた関東学生選手権が日本武道館で行われ、早大からは15人が出場した。昨年度は全日本の出場権を獲得したのは1人のみだったが、今年度は男子組手で芝本航矢(スポ3=東京・世田谷学園)がベス…

 6月末に開催される全日本学生選手権(全日本)への出場を懸けた関東学生選手権が日本武道館で行われ、早大からは15人が出場した。昨年度は全日本の出場権を獲得したのは1人のみだったが、今年度は男子組手で芝本航矢(スポ3=東京・世田谷学園)がベスト16、笹野由宇主将(スポ4=東京・世田谷学園)とルーキー・長沼俊樹(スポ1=東京・保善)がベスト32と奮闘し、全日本への切符を手にした。

 今大会の形部門では、女子は永田一紗(スポ4=茨城・水城)と細田悠乃(社3=沖縄・開邦)がベスト16という結果を残すも、男女とも全日本出場へは届かなかった。一方、組手部門では個々で躍進が見られた。笹野は1年時に出場して以来、全日本へ出場することができていなかった。大学でラストイヤーとなる今年度、「焦ってもいいことがないので、落ち着いて一つ一つ」というように、初戦から冷静に試合を組み立てていった。4回戦では持ち前の素早い技で、残り40秒の時に中段蹴りを決め、その後は立て続けに上段突きを決めて、4-0で勝利した。5回戦は「少し気持ちの緩さが出てしまった」と敗戦するも、ベスト32という結果を残し3年ぶりとなる全日本への出場を決めた。


上段突きを決め、得点を獲得した笹野主将

 昨年度、部で唯一全日本に出場した芝本は、相手に攻撃の隙を与えない圧巻のスピードで順調に勝ち星を挙げていった。5回戦では残り25秒で上段突きを決めると、残り23秒、13秒、5秒と連続して上段突きを決めて勝利した。そして迎えた6回戦では、昨年に対戦した世界レベルの実力を持つ、中野壮一朗(帝京)と再戦。試合序盤に中段蹴りを決められ、その後上段突きでリードを広げられる。試合後半には上段突きで反撃するも、1-3で敗れベスト16という結果で今大会を終えた。「最終目標は全日本で優勝することなので、関東(学生選手権)で負けたのが悔しい」と試合後には膝をついて悔しがる姿を見せたが、2年連続で全日本への出場権を獲得した。


素早い上段突きを決める芝本

 今大会が初の公式戦となったルーキーの長沼は、「きょうは前に行くということを心がけながらも、焦らず戦うように意識した」と他大学の年上の選手に屈することなく、長い手足を生かして積極的に攻めた。4回戦では、総体出場経験を持つ佐藤雄介(日大)と対戦し、先取するも体格の勝る相手に上段突きで逆転を許してしまう。しかし、果敢に攻め続け、残り33秒の時に上段突きで同点とすると、残りわずか1秒で鋭い上段突きを決め、ベスト32入りし、初の全日本への出場を決めた。


ベスト32入りを決めた長沼

 今回、早大からは3人が全日本への出場の切符を手にした。「毎年(全日本へ出場するのが)1、2人だったので今年はスポーツ科学部組が3人出られたのは大きい」と笹野が言うように、着実に力を付けつつある早大。全日本ではどのような活躍が見られるか。成長著しい空手部に目が離せない。

(記事 石黒暖乃、写真 江藤華)

結果

▽男子個人組手

芝本 ベスト16 笹野 ベスト32 長沼 ベスト32 ※上位入賞者のみ掲載

コメント

笹野由宇主将(スポ4=東京・世田谷学園)

――3年ぶりの全日本出場となりました。心境はいかがですか

1年生のころ出させてもらって結構悔いの残る試合になってしまったので、昨年も鎖骨を骨折していて出場できなくて予選で棄権してしまって最後の年だったので出場できたのはよかったなって思います。

――なぜ形の方でも出場されたのでしょうか

最後なので、自分自身高校でも形やっていましたし、小学校から形の練習もしてきましたし最後に自分にどれだけの力があるかっていうのを試したかったのと、最後だから記念に出ようかなと思って出場しました。

――練習はいつしていたのでしょうか

練習中は組手を中心にやっていました。主将でもありますし組手でもまとめなければならないので組手をやっていましたが、自主練を設けてちょっと練習するなどしていました。

――きょうの試合を振り返って

全日本出場できたのはうれしかったのですが、本当にまだまだ勝ちたかったなと思います。少し気持ちの緩さが出てしまったと最後の試合で思いました。

――以前より冷静に組手をしているように感じました

焦ってもいいことないですし、落ち着いて一つ一つ。個人戦なので団体戦とは違ってプレッシャーが大きくないので自分との戦いだなという風に思っていて、試合を組み立てたり自分でしてきました。

――コーチ陣から声をかけられることが多かったですが、それは聞こえましたか

コーチも毎回声が通っていて。外からの声っていうのは本当に大切になってくるのでそれはうれしいなと思います。

――3人全日本への出場権を獲得しました

正直うれしいです。毎年(全日本へ出場するのが)1、2人だったので今年はスポーツ科学部組が3人出られたのは大きいなって。ここから全日本にどうやって活躍していくかというのはしっかり検討していかないとなと思います。

――最後に全日本への意気込みをお願いします

一戦一戦大切にしてみんなその前の稽古でチーム一丸となって稽古を積んで、3人しかいないですけど全日本で一つでも多く勝てるように頑張っていきたいです。

芝本航矢(スポ3=東京・世田谷学園)

――6回戦は因縁の相手・中野壮一朗(帝京)選手との試合でしたが、振り返っていかがですか

向こうの強い気持ちがあってそれに負けないって気持ちで立ち向かったのですが、上回ったのが相手選手でした。そこはもう一度反省して立て直して、また当たる機会があれば勝ちにいけたらと思います。

――少しの隙も許されませんでした

相手選手は世界級に上手なので。そこをどう対策するのかというのが早稲田の組手だと思うので、対策を練って次戦いたいと思います。

――ひざをついて悔しがる様子もありました

関東優勝が目標だったので、最終目標は全日本で優勝なのですが、関東(学生選手権)で勝たないと全日本で取れるわけがないので悔しいのが一番でした。

――4回戦では途中上段蹴りを決められ焦っている様子もありました。周りからも「落ち着け」と言われる場面もありましたがそれに関してはいかがですか

自分は取られると焦ってしまう癖があって、悪い癖が出てしまいました。でもコーチ陣をはじめとして後輩や先輩などが声をかけてくれて自分の心に刺さりました。そこでいったん我に返れたというか落ち着けたので追いつくことができたかなと思います。

――副審の判定では引き分けでした

自分も頭いっぱいになって、同点になって先取があって勝ちだなと思って、気を抜いてしまったというか逃げてしまいました。団体戦では引き分けになってしまうので団体戦では一瞬が大事だと思うので団体戦ではなくしたいと思います。

――2年連続全日本出場を決めましたが、全日本への意気込みをお願いします

昨年は2回戦で負けてしまってその悔しい思いを持ち続けていたので、やっぱりこの全日本への切符を手にした以上、もう一度あの舞台に立って今度は優勝という去年の悔しさを晴らしに全日本に行きたいと思います。

長沼俊樹(スポ1=東京・保善)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

まず、目標としていた全日本出場はできたので、そこはいいんですけど、同じ年齢の子にああいう形で負けたので、非常に悔しいです。

――試合中、何度か首を振る仕草が見受けられたのですが、なにかあったのでしょうか

きょう、(大学生になって)初めての公式大会だったんですけど、高校では(判定を)取ってくれる技を取ってくれなくて、おかしいなと思っていました。

――きょう、初めての公式大会での個人戦でしたが、団体戦とはなにか意識を変えましたか

個人戦では自分のことしか考えなくてよかったので、特に考えてないんですけど、団体戦は先輩方もいらっしゃるので、より緊張します。

――前回の東京六大学大会でも個人戦がありましたが、それから何か改善された点はありますか

この前は焦って負けちゃったので、きょうは前に行くということを心がけながらも、焦らずに戦うように意識しました。

――最後に全日本への意気込みをお願いします

きょうの反省点をしっかりと直して、悔しさをばねにあしたから練習して、全日本では入賞できるように頑張ります。