年度初のアメフト応援は、部が挑む平成最後の早慶戦応援でもあった。昨年の関東学生秋季リーグ戦(リーグ戦)王者として期待がかかっていた早稲田は、37-13という圧倒的な戦績で見事に5連覇を果たした。応援部はフィールド上から選手に直接エールを送…

 年度初のアメフト応援は、部が挑む平成最後の早慶戦応援でもあった。昨年の関東学生秋季リーグ戦(リーグ戦)王者として期待がかかっていた早稲田は、37-13という圧倒的な戦績で見事に5連覇を果たした。応援部はフィールド上から選手に直接エールを送り、駒場陸上競技場に活気をもたらす。

 アメフト応援では、応援特設台などが無く、代わりにチアリーダーズがフィールド上から観客と向かい合って応援する。吹奏楽団は応援席の一角で演奏を響かせ、リーダーは応援の進行と場内の雰囲気づくりを担当する。リーダーの谷下豪(政経3=東京・早実)とチアリーダーズの一人がサイン出しを担当し、実況を含めた司会進行はリーダー浅野太郎(社学3=東京・早実)であった。


司会進行を務める浅野

 TD(タッチダウン)後のトライフォーポイントによる得点の際には野球応援と同様に『紺碧の空』を空高く響かせる。試合序盤のQB柴崎哲平(政経4=東京・早大学院)とWRブレナン翼(国教4=米国・ユニバーシティラボラトリースクール)のTD後の『紺碧の空』は応援席のテンションを一気に上げた。また、使用される応援曲のレパートリーはバラエティに富んでいる。それぞれゲームのシチュエーションにより演奏される場面が異なるのだ。有名曲の編曲も多い。『GUTS!』、『今すぐkiss me』、『宇宙戦艦ヤマト』、『Born this way』、『ANBITIOUS JAPAN』など、どの世代にも聞き覚えのある楽曲には、吹奏楽団に合わせて曲を口ずさむ観客も見られた。また、『F1~コンバットマーチ』、『早稲田健児』、『F(ファンファーレ)サンダー』など、野球応援でもよく耳にする早稲田ならではの応援曲も使用される。数多くの曲をミスなく演奏するために、最後列からのサインを受け、各パートごとにもサインが出される。選手のけがにはすぐに演奏をやめるなど、アクシデントに対する迅速な対処も見られ、入念な準備のあとがうかがえた。


吹奏楽団の演奏には数多くの工夫がみられる

 ハーフタイムのチアリーダーズのパフォーマンスも大きな見せ場である。今回の試合では「えんじシェル」の衣装を身にまとい、曇天の中華麗に舞った。「最後まで力が尽きることがないように」(黒澤真紀子副将・チアリーダーズ責任者、教4=埼玉・早大本庄)鍛え上げられた強靭(きょうじん)な体力や精神力は、圧倒的なステージを作り上げる。吹奏楽団と同様に、アクシデントに対してもフレキシブルな対応力を見せた。


ハーフタイムのパフォーマンス

 選手・観客と三位一体となる応援を目指して日々鍛錬を重ねる応援部の進化と、平成最後の慶応への勝利には、新元号の幸先の良いスタートが予期できる。早稲田の進撃は止まらない。

(記事 馬塲貴子、写真 山口日奈子、鈴木隆太郎)

清水泰貴副将(文構3=東京・海城)

――五連覇の感想は

去年主力だった4年生が抜けて今年どうなるかなって時に、早稲田らしいプレーを見せてくれて単純にうれしい気持ちですね。慶応も慶応らしいプレーというか、ロングパスだったりで攻めてくる中でしっかりとディフェンスを要にして抑えていって攻撃につなげるみたいな感じで、応援席の雰囲気としても結構みなさん盛り上がってたかなというふうに思います。

――野球では台上で応援されていますが、きょうはどこを中心に応援されていたんですか

全員ブロックに分かれて、1つのブロック100人くらいに対して1人つく、みたいなかたちで応援をしていて、それもずっと1人がやるんじゃなくて、流動的にここで盛り上がったら次のブロック行く、みたいに全員で動き回ってやっています。今年は1年生が13人入ったので、13人がバラバラになって観客の目の前で盛り上げてくれたのでそこに関しては盛り上げやすかったですし、観客と一緒になって応援席を作れたかなというふうに思います。

――観客と肩を組むなど一体となって応援するのは、意識的にされていることなのですか

紺碧は一番盛り上がるシーンというか、早稲田として一番大事なシーンになってくると思うので、応援部だけじゃなく全員で一丸となって共に戦うみたいなイメージでやっていますね。意識しているというよりもやるのが当たり前というか、そういうものだよね、という感じです。応援部がみなさんと一緒になってやっていく、というのがそこでかたちになっているのかなというふうに思います。

――新入部員に期待することは

まずは目の前のお客さんと一緒に楽しんで応援をしてほしいなと思います。応援は型にしばられたものではなくてその場の流れだったり試合展開だったり観客の反応だったりそういうものを踏まえて流動的に変わっていくものなので、お客さんと対峙(たいじ)して一緒にやっていく中で、そういう感覚だったりセンスだったりをつかんでもらえればなと思います。でも楽しんでもらいたいっていうのが一番ですね。

黒澤真紀子副将・チアリーダーズ責任者(教4=埼玉・早大本庄)

――きょうは応援としては運動量が多く、体力勝負の応援のように見えましたが、いかがでしたか

踊るとなると体力を使う面はすごくあるのですが、やっぱり日ごろのトレーニングであったりとか、体力面はカバーをできるように練習を行っているので、最後まで力が尽きることがないようにというのはいつも意識してトレーニングしているので大丈夫でした。

――野球とアメフトの応援の違いはありますか

応援という面に関しては、お客様と一体となって応援を届けるという面では変わらないのです。私共がやることとしてはお客様と一体となって応援を届けることなのでその面は変わりないかなと思います。

――早稲田のチアと慶大のチアの応援の違いはありますか

まずは数が早稲田のほうが多いというのは違いという面ではあると思うのですが、慶応義塾大学さんのチアですごく尊敬する面もありますし、慶応さんのチアを目標にしてやっている面もあるので、応援でも負けないようにというのは意識して行っています。

――きょうの試合を通して一番うれしかったシーンを教えて下さい

最終的に勝利できたことと、観客の方と一緒に『紺碧の空』を歌えたというのはすごくうれしかったです。

春山尚輝副将・吹奏楽団責任者(創理4=茨城・江戸川)

――応援で心がけていたことを教えてください

吹奏楽団としては年度が始まってから初めての大きなアメフトの応援で、昨年から応援方法は変わっていないんですが、1発目ということで「失敗はできないな」という緊張感がありました。早慶戦でもあるので、絶対に勝たなくてはいけないなという思いもありました。気温も結構寒かったので、そうなると楽器の音程なども合わせるために、上手く調整しながら演奏することも心がけました。

――野球の応援では使用されていない楽曲が数多く使用されているようですが

そうですね。(アメフトの応援で使用している応援曲は)だいたい15曲くらいだと思いますね。野球では使用していないのは10曲くらいだと思います。一応譜面は持って行きますが、短い曲を選んでいるので覚えている人がほとんどですね。

――吹奏楽団として、観客へのアプローチはどのような点に心がけていますか

まずはやっぱり楽器の向きを観客の方に向けて、全体に音が届くようにということは意識していますね。あとは、曲を吹いていないときにも、特に観客に近い席の部員は「Big Bears チャンチャン」など(のコール)にも積極的に参加するようにしています。

――アメフト早慶戦5連覇の感想をお願いいたします

自分は入部当時は初心者だったこともあって、アメフトの応援にはあまり入っていなかったのですが、3、4年生になって入ってみて、慶応に対して勝ちグセを付けられるということではいい勝利だなと思います。この調子を維持して、野球や他の競技でも続けられるようにできたらいいなと思います。

 

加藤雄基代表委員主務、リーダー練習責任者(政経4=東京・早実)

――アメフト早慶戦5連覇の感想を教えてください

やっぱり、早稲田は強いなというのがありますね。だけどこの5連覇の勝利の波に応援部が乗るのではなくて、応援部が勝利の空気を作っていきたいと思います。

――今週の応援から新入生が応援に参加しているということですが、彼らに期待していることを教えてください

新人には、何も考えずに応援席で爆発してほしいなと考えています。新人が何も考えずにバカみたいに爆発したら、そこから応援が広がっていくと思うので、それを期待しています。2年生の爆発力があるリーダーを目標としてほしいですね。でも、もし爆発力がなくても、賢く頭を使って盛り上げられるリーダーもいて、いろんな種類の盛り上げ方があります。彼らにも期待していますね。

――応援席からは加藤さんの姿が見えませんでしたが、どちらで応援をされていましたか

僕は(応援席の)一番後ろにいて、応援がきちんと回っているかというのをチェックする役割をしていました。まず(今年に入って)初めてのアメフトの応援だったので、そのあたりは僕もサポートしながら応援を作っていたという感じですね。アメフトはプレーによって応援の方法がとても変わるので、サインを出す人間にミスがないかを確認していました

――応援で心がけたことがあれば教えて下さい

うーん、そうですね・・・。応援を作るのは3年生なので、心がけるのも3年生だとは思うんですが、いつも心がけていることは、点を取られてお客さんががっかりしているときに、いかに応援部が声をかけることです。これはすごく大事なんですよ。自然なタイミングで、例えばディフェンス時に「うわあー」となれるか心がけています。