勝負のあやは、4年生が握っていた。関東大学春季リーグ戦(春リーグ)は開幕2日目、男女ともに法大と対戦し昨日に引き続き白星をあげ、目標としているリーグ優勝にまた一歩近づいた。男子は第2ダブルスに登場した浅原大輔(スポ4=宮城・聖ウルスラ学…

  勝負のあやは、4年生が握っていた。関東大学春季リーグ戦(春リーグ)は開幕2日目、男女ともに法大と対戦し昨日に引き続き白星をあげ、目標としているリーグ優勝にまた一歩近づいた。男子は第2ダブルスに登場した浅原大輔(スポ4=宮城・聖ウルスラ学院英智)・吉村徳仁(スポ4=富山・高岡第一)組が見事リーグ初勝利を飾り、チームを一気に勝利に導いた。女子は2−2で迎えた第3シングルスで、松本茜(社4=福岡・九州国際大付)が相手を左右に揺さぶってミスを誘い、ストレート勝ち。最上級生の躍動が大きく勝利に貢献した。

 男子は、大林拓真(スポ2=埼玉栄)のシングルと大林・緑川大輝(スポ1=埼玉栄)ペアが勝ち星を獲得し2−1で迎えた第2ダブルスに、昨年の秋リーグ第1日目以来久しぶりのリーグ出場となった浅原・吉村ペアが勝利をもたらした。22−20、20−22と一進一退のセットカウントで臨んだ第3ゲームで、浅原が高く上げて吉村が後ろから決めるというスタイルで得点を連取する。「(浅原が)思いっきりやってくれていたので、自分もカバーしないとなという気持ちでやりました」と吉村が語るように、前後左右に振られたショットを吉村がカバー。息の合ったプレーで最後は14本に抑えた。「4年生になってから、やっとお互い分かり合えた」(吉村)との言葉通り、終始コミュニケーションを絶やさず悲願の初勝利を達成した。前日に、『明日絶対に1勝しような』と話していたという。その執念とここまでの苦悩が実った瞬間だった。


話し合う姿が試合中にも見られた

 女子部はシングルス2つを先取し、勝利を手にするかと思われたが、プレーに精彩を欠き、ダブルス2組が敗戦。勝負の行方はシングルス3の松本に託された。序盤は両者にミスが見られ、拮抗(きっこう)した展開となるも、松本は冷静にラリーを繰り広げ、21-15で1ゲーム目を奪取する。続く2ゲーム目、ハイクリアーで相手を動かし、持ち味のクロスカットを決め、4連続得点。完全に松本のペースで試合は進み、さらに4点を加える。「サーブのときは一本って言い聞かせていました」と試合後に語った松本。点差が開いていても、気を抜かずにプレーを続け、流れは渡さなかった。最後は相手が返球をネットにかけ、ゲームセット。満足のいく練習ができず万全な状態ではなかったものの、勝ちたいという意思の強さを見せた。


終始落ち着いてプレーした松本

 昨日は桃井伶実女子主将(スポ4=石川・金沢向陽)・平野紗妃(スポ2=福岡・九州国際大付)組がリーグ初勝利、きょうは浅原・吉村組と松本が勝負を決めるなど、勝敗を分けたのは4年生の活躍だろう。11月から新体制が始まり、「チームワセダ」として風通しのいい部運営を目指しているという。「上下関係はありつつも、自分の考えていることを言えるような空気を作ろうとしている」と桃井が言うように、メリハリをつけ、楽しむときは楽しみ、言うべきことはきちんと言う、と徹底している。積極的に意見を出し合って部を作り上げてきた。チームの総合力が試されるリーグ戦、明暗を握っているのは4年生に違いない。アベック優勝に向けて、いよいよ明日で折り返しだ。

(記事 石名遥、山本小晴、写真 小原央、山本小晴)

結果

▽男子団体○3-2法大

シングルス1 大林拓真○2―0(21-15、21-15)

シングルス2 渡辺俊和主将(スポ4=埼玉栄)●0-2(11-21、8-21)

ダブルス1 緑川大輝・大林拓真○2-1(21―18、16-21、21-11)

ダブルス2 浅原大輔・吉村徳仁○2-1(22-20、20-22、21-14)

シングルス3 緑川大輝●1―2(25-23、20-22、23-25)


▽女子団体○3-2法大

シングルス1 吉田瑠実(スポ1=埼玉栄)○2-0(21-10、21-19)

シングルス2 鈴木ゆうき(社2=宮城・聖ウルスラ学院英智)○2-0(21-14、21-13)

ダブルス1 桃井伶実女子主将・平野紗妃●0-2(16-21、14―21)

ダブルス2 鈴木ゆうき・吉田瑠実●0-2(12-21、10-21)

シングルス3 松本茜○2―0(21-15、21-16)


コメント

浅原大輔(スポ4=宮城・聖ウルスラ学院英智)・吉村徳仁(スポ4=富山・高岡第一)組

――今の率直な気持ちを聞かせてください

浅原 いや~うれしいですよ!うれしいです。もう、楽しかったですね。

吉村 前日に試合に出ることがわかって、まだ自分たちは(関東大学リーグで)1勝もしたことがないので「明日絶対に1勝しような」ってずっと言っていました。きょういい感じに入れた一つの要因かなと思います。

――なるほど。勝てた要因はそれ以外にもありますか

吉村 4年生になってから、やっとお互い分かり合えたというか。悪い時も「なんなの?」ってなるのではなく、「もっとこうしたらいいんじゃない」っていうのが、言わなくても自然とわかるようになってきたり。怒るというよりかはわかり合うということができるようになってきたのが要因かなと思います。

――以前は、試合中にケンカをしたこともあると言っていました。その頃とはだいぶ変わったということでしょうか

浅原 全然違いますね。話し合う、笑顔、声掛け合う。ケンカしていた当初は、「なんでお前そこなんだよ」みたいなことを言いましたし、喋らないし。アドバイスする時も一人一人が離れて、みたいな。

――きょうも試合中にかなりコミュニケーションを取っていました。意識していたのでしょうか

浅原 勝手に取るようになっていましたね。前からも「喋っていこう」というのは決めていたのですが、そこから普通にずっとですね。

――話すようになったきっかけがあったのでしょうか

吉村 いや、きっかけというよりは、思っていることを言い合えないのは本当に仲がいいとは言えないと思っていて。自分たちのいいところは、ケンカしても本音でぶつかり合えたりするところだと思います。正直、苦しいこととかもたくさんありましたが、今で満足しているわけではないですが、過程としてよかったのではないかなと思います。

――きょうはどんなことを意識していましたか

吉村 とりあえず浅原くんが楽しそうにプレーしていたので、自分たちのダブルスは彼(浅原)が前衛で球を作ってくれて自分が後ろから思いっきり打つという形です。軸であるこいつ(浅原)がきょうは思いっきりやってくれていたので、自分もカバーしないとなという気持ちでやりましたね。

浅原 そうですね。僕も信じきっていました。僕の中ではサーブが入るか入らないかの世界だったので、「サーブ入ればいいな~…」と思いながら、ニヤニヤしながら打ちました。サーブミスが2本だけだったんですよ!

吉村 自分もびっくりしてます(笑)。

浅原 とりあえず入れて、「のりが取ってくれるっしょ!」って信じながら打ちました!きょうは本当につながっていたなと思いますね。のりがどっちに行くかもなんとなくわかりましたし、(スペースが)空いても滑り込んで取ってくれたので。

――レシーブがかなり返せている印象でした

吉村 レシーブはこいつに任せてました。

浅原 球が遅いな、取れるなと思いました。大林拓真のスマッシュを取っていたら、どの球も取れますよ!(笑)。あの爆弾スマッシュがいいきっかけだったなと思います。レシーブは本当によくなったなと思いますね。大林拓真のおかげですかね。

吉村 (大林は)ナショナルがあるのでたまにしか練習に来られないんですけど、この試合前には1週間くらいいてくれて、何試合かしてもらいました。

浅原 そこで速い球に慣れましたね。

――以前は重要なところで細かいミスが出ていましたが、きょうはそれがなかったように思います

吉村 練習中にはあるんですよ。自分たちが先に点数を取って先行している中で、いろんなことがチラついて考えてしまってミスしてしまったりすることがありました。練習の時でも、色々考えるのではなく勝つことだけを考えようと言っていて。

浅原 頭の中には「勝つこと」だけがありましたね。

――「チームワセダ」という言葉をかなり使っていますが、それについて聞かせていただけますか

吉村 今までがやってきていないわけではないのですが、男女が一緒にすることがあまりなくて、仲が悪いイメージだったんです。自分たちの代は、男子だけではなく女子の意見も取り入れて、一つになっていこうという感じです。

浅原 大変なんですよ。生意気な後輩たちばっかりで(笑)。でも、風通しがいいという面ではいいですね。仲が良すぎたぶん、練習中ヘラヘラしてしまうというところもあるので、そこを今頑張っていますね。練習中はみんな真面目にやってくれるので、変わったのかなと思いますね。

――代替わりして、変わったところや変えたところはありますか

吉村 自分たち二人は、結構ワーワーとしてる感じなので、練習の時とかは二人で盛り上げることは意識していたりしますね。

浅原 自分の中で一番変わったところは、一応副将なので、締めるところは締めています。叱るときは叱ります。そこが自分の中での大きな変化だなと思います。僕らの代は優しすぎるので、言う人がいなきゃいけないんですよ。言えるような環境になったのかなと思います。

――最終学年での目標はなんですか

浅原 インカレ優勝です!やはり勝って終わりたいです。やはり負けて認められるペアは小野寺(雅之、スポ3=埼玉栄)・大林ペアだなと思っていて、一番近くに目標があるのはすごくいいなと思います。あとは、負けないことです。(今までは)試合で気付いたら負けているので、そこを頑張ろうっていう。勝ちにこだわろうという感じです。

吉村 自分たちで一本取るというか。後輩に任せるのではなく、自分たちがしっかり自覚を持って一本取りに行きたいです。個人戦でも、早稲田のメンバーとして責任感を持って、楽しくやるだけではなく最終的には勝ちにつなげることが大事なのかなと思います。

松本茜(社4=福岡・九州国際大付)

―― 2-2で回ってきましたが、そのときの心境は

上2つのシングルスをとってくれたときに正直ちょっとホッとして。これは勝利が決まった状態で回ってくるんじゃないかと油断してしまったので、ダブルス2つ落としたときは正直焦りはありました。でもどっちにしろ、回ってきたらやるしかないと思っていたので、そんなに気負ってやっていたわけではないです。

――流れが法大に傾く中で、プレッシャーを感じることはなかったですか

自分の中で3シン(シングルス3)っていうのは、確かに2-2で回ってきたら勝利が決まった状態よりもプレッシャーは感じます。でも、相手の応援とかは全然気にならなくて。チームメイトの応援がすごくきこえていたし、上のOBさんとかもすごく声出してくれたので、そういう意味ではプレッシャーはなかったと思います。

――この大会にかける思いも強いのでしょうか

昨日は、桃井・平野組が久しぶりにリーグで勝ってくれて。今まで本当に苦しい中で、同期でもあって、3年間ずっとやってきて、リーグでやっと勝ってくれたのが、それが本当にうれしかったです。これで早稲田が勝てるかもっていうよりは桃井・平野が勝ってくれたっていううれし涙でしたね。

――最上級生となって、チームをまとめる上で気をつけていることはありますか

就職活動で全員がそろわないことも結構あるんですけど、残っているメンバーは同期の中でも積極的にコミュニケーションを取っているイメージはあります。練習に行けないメンバーも状況を確認して、それぞれが自分の役割っていうのを考えながら練習に励んでいるのかなと思います。

――きょうの試合では相手を動かしていましたが、コースを狙う上で意識していたことは

相手がすごく身長の高い選手だったので、低い球で攻めてしまうと全部ワンタッチで取られてしまうなと思ったので、なるべく大きく大きくプレーしていこうっていうのは意識していました。

――持ち味のクロスのショットがよく決まっていましたね

やっぱりクロスカットが自分の中の一番の得意ショットなので、それにどう持っていこうっていうのは考えながらプレーしていました。

――2ゲーム目の終盤では何か つぶやいているように見えました

2セット目は結構点数離れていたんですけど、気が抜けちゃうとすぐ追いつかれちゃうので、サーブのときは一本って言い聞かせていました(笑)。きょう勝てた一番の要因は落ち着いてプレーできていたことだと思っていて。就職活動で結構練習に行けないことも多くて、満足のいく練習ができていなかったからこそやるしかないんだっていう、気負うほどのプレッシャーもなかったんだと思います。

――就職活動がプラスに働いている部分もある、という印象を受けました

そうですね。行けないからこそ、行けないなりに自分の役割を考えたり、練習も限られた時間の中でやらなきゃいけないので練習の質が上がったりしました。大変だからやらなきゃいけないっていうのはあります。

―― 2連勝となりましたが、振り返っていかがですか

吾妻(咲弥、スポ3=福島・富岡)が試合直前にけがをしてしまって、出られないことが突然決まっちゃったので、当初は厳しい試合になると予想していました。でも、1年生の吉田も勝ってくれましたし、1戦目は桃井がダブルス取ってくれました。きょうは自分自身がシングルスを取れましたし。逆にけががあったからこそ、1年生から4年生まで1人1人がやらなきゃいけないって意志が強くなったのがきょうの試合で感じられました。