エース・森下暢仁主将を擁しながら、20日の開幕戦で立大に完封負けを喫した明大。翌日の第2戦では相手の失策をチャンスに変えて最後まで食らいつき、成績を1勝1敗に戻した。東京六大学野球リーグは2勝で勝ち点1を得ることができる。優勝するためには、…

エース・森下暢仁主将を擁しながら、20日の開幕戦で立大に完封負けを喫した明大。翌日の第2戦では相手の失策をチャンスに変えて最後まで食らいつき、成績を1勝1敗に戻した。東京六大学野球リーグは2勝で勝ち点1を得ることができる。優勝するためには、もう1試合も落とせない。「みんなが繋いで自分にもう一度回してくれた。自分はもう一度、やるべきことをしっかりやろうと思った」。結果を残してくれた仲間、特に試合を投げ切った後輩投手の勇姿に刺激を受けた背番号10。第3戦への登板を志願した森下に、野手たちは「絶対に勝たせてやる」とバットで応えた。

※6回まで9奪三振と、気迫のこもったピッチングを見せた森下

初戦のビデオを何度も見返し、わずか2日で驚異の修正能力を見せた。浮いてしまっていた変化球を低めに集め、ピンチの場面は持ち前の速球で締める。強い決意を持って140球を投げ込んだ勝利は、森下にとって記念すべき大学通算10勝目。絶対に負けられないプレッシャーをはねのけて、最後までマウンドに立ち続けた。だからこそ、一つだけ後悔がある。4点リードで迎えた8回に失った1点。第1戦で完封された立大・田中誠也投手に「やり返したい」という思いがあった。満足はしていないが、それでも森下に遅い春が訪れた。

カード初戦は各校のエースが揃っており、高いレベルの投球が求められる。勝てばチームが勢いづき、流れに乗って第2戦を迎えることができるが、負けると第3戦を意識して試合に臨まなければならず、立て直しが難しい。つまり、第1戦を任される投手はカードの勝敗の鍵を握っているといっても過言ではない。常勝軍団の主将として、投手陣の主軸として、森下が担う役割は非常に大きいのだ。

※適時打を放ち、塁上でガッツポーズを見せる。マウンドでは冷静だが、勝利への執念があふれた瞬間だった

明治大学で主将を任されたエースは、森下の前に4人いる。星野仙一、高橋三千丈、川上憲伸、柳裕也。奇しくも全員ドラフト1位で中日ドラゴンズに入団した。偉大な先輩たちのように、森下ももちろんプロの世界を目指すつもりだ。紫紺の“エース兼主将”の系譜は、確実に受け継がれている。

 

森下 暢仁 (もりした・まさと)

大分県出身。1997年8月25日生まれ。180センチ、75キロ。大分商業高校を経て、現在は明治大学政治経済学部4年。高校1年の夏、第95回全国高校野球選手権大会に出場したが登板機会はなし。大学入学後に頭角を現し、野球部の2016年春秋リーグ連覇に貢献した。弟は國學院大学野球部・森下颯太選手。