29日に開幕した「第3回 WBSC U-15 ベースボールワールドカップ」。開催地であるいわき市のいわきボーイズから侍ジャパンU-15代表入りを果たした黒須大誠がその初戦となったオーストラリア戦に「9番・右翼」でスタメン出場した。無安打に終…

29日に開幕した「第3回 WBSC U-15 ベースボールワールドカップ」。開催地であるいわき市のいわきボーイズから侍ジャパンU-15代表入りを果たした黒須大誠がその初戦となったオーストラリア戦に「9番・右翼」でスタメン出場した。無安打に終わったが、多くの応援を背にプレーした。

■いわき市出身の黒須大誠が代表入り、オーストラリア戦にスタメン出場

 29日に開幕した「第3回 WBSC U-15 ベースボールワールドカップ」。開催地であるいわき市のいわきボーイズから侍ジャパンU-15代表入りを果たした黒須大誠がその初戦となったオーストラリア戦に「9番・右翼」でスタメン出場した。無安打に終わったが、多くの応援を背にプレーした。

 2回。2点を先制し、なおも1死一、二塁と追加点のチャンスで黒須が初打席に立った。名前がコールされると、いわきグリーンスタジアムからは大きな拍手と歓声が沸き起こった。初球の変化球をファウル。積極的にバットを振った。そして、カウント1-2からの4球目。「応援がたくさんあって力んでしまった。ボール球を振ってしまった」と、変化球にバットは空を切った。

 2打席目は3回、1死走者なしで回ってきた。1打席目の空振り三振を反省して打席に入った黒須だったが、カウント2-1からの変化球をとらえきれず、一ゴロに倒れた。

「(1打席目が)開き気味だったので、そこを直そうと思ってボールを引きつけたら詰まってしまった。そこは感覚のズレだと思うので明日以降、直していきたいと思います」

■地元の大声援に鹿取監督も「感動した」

 4回の打席で代打が送られ、この日はベンチに下がった。スタンドから見守った父・正浩さんは「緊張していたみたいですね。ヒットを1本、打って欲しかったけど、しょうがないですね」と次戦以降に期待を寄せた。

 スタンドには家族のほか、黒須が小学生の時に所属していたマツザキガーデンジュニアスポーツ少年団の後輩たちやいわきボーイズのチームメイト、いわき市立中央台北中野球部の1、2年生部員に有志で集まった同級生約70名が声援を送った。「スタメン発表の時にドッと沸いて感動しました。嬉しかったですね」と鹿取義隆監督。日の丸を背負う地元選手へ、会場全体が温かかった。

 ひときわ大きな後押しを受けた黒須は「挨拶をできたらよかったけど、試合中だったので挨拶ができなかった。心の中で感謝の気持ちを持って、また明日からの試合に臨んでいきたいと思います」と感謝した。

 父・正浩さんが「心の大きな、体も大きな、誠実な子になってほしい」と名付けた大誠の名前通りの選手。黒須が小学6年時から指揮を執るマツザキガーデンジュニアスポーツ少年団の草野勝監督も「一生懸命、練習に取り組む選手。名前のごとく誠実な子です」と話し、「1打席目は三振でしたけど、この場に立てたことが何よりですね」と喜んだ。

■185センチ、71キロの恵まれた体格、本来は投手で鹿取監督も「どこかで投げる」

 黒須が中学1年の時に「第3回 WBSC U-15 ベースボールワールドカップ」のいわき開催が決定。父・正浩さんによれば、「いわきであるとわかってからは見るものではなく、出るんだと頑張っていた」という。学校では学級委員も務める真面目でしっかり者。野球に取り組む姿勢はストイックで自宅でもストレッチやスイング、シャドーピッチングは欠かさない。目標を明確に持ち、日々の努力の成果でJAPANのユニホームに袖を通した。

 185センチ、71キロの恵まれた体格で本来は投手。鹿取監督は「9試合あるので、どこかで投げます」と投手としての起用も明言した。

 黒須は「自分の持ち味を考えて、チームを勝たせられるように、いい流れを作れるようにしっかりと投げていきたい。持ち味はキレのある回転のいいストレートとスライダーだと思うので、それをどんどん投げて、どれだけ世界に通用するのか、楽しんでやっていきたい」と意気込んだ。

 戦いは始まったばかり。初戦は日本が13-0の7回コールド勝ちで白星発進した。地元の声援を力に背番号7は輝きを放つ。

高橋昌江●文 text by Masae Takahashi