今季メジャー初戦のマスターズ。初日、3オーバーと出遅れた松山英樹は、2日目に2アンダーの「70」で回って通算1オーバー。小平智と並ぶ46位タイで予選ラウンドを通過した。2日目にスコアを伸ばした松山英樹。予選通過は果たしたが... マス…
今季メジャー初戦のマスターズ。初日、3オーバーと出遅れた松山英樹は、2日目に2アンダーの「70」で回って通算1オーバー。小平智と並ぶ46位タイで予選ラウンドを通過した。
2日目にスコアを伸ばした松山英樹。予選通過は果たしたが...
マスターズでの初日の出遅れは、もちろん2日目のゲームプランに大きく影響する。単純に予選通過を目指すゴルフと、初日の出遅れを挽回し、さらに上位進出を狙うプランがある。
予選通過の必須条件として、松山はスタート前から「(予選通過には)少なくとも1アンダーで回らなければいけないと思っていた」と言う。
「でも、それだけでは意味がないですし、当然、(この日は)5アンダーあたりを目指していたのですが……」(松山)
しかし、それが思うような展開にはならなかった。
出だし3ホールは、前日の3連続ボギーと比較すれば、2番ホールでバーディーを奪って1アンダーと好発進した。さらに、8番パー5でもバーディー。前半を2アンダーで折り返した。
前半をアンダーパーで収めると、後半の”攻め”が精神的に楽になる。その理由について、以前中嶋常幸はこう言っていたことがある。
「(オーガスタでは選手たちの基本的な感覚とすれば)アウト36、イン34という計算で考えるわけ。それが基本パターン。13番、15番ホールのパー5を、パー4と想定しているわけです。だから、難しさから言えば、前半9ホールなんです。
そこで、前半をたとえば1オーバーで折り返すと、後半は33で回らないといけない。でも逆に、1アンダーで折り返せば、後半を35と想定できるので、攻めていく”心の幅”が楽になる」
事実、データ的にもその感覚は間違っていない。
つまり、松山は(チャージが期待できる)定石どおりの折り返しとなっていた。
ところが、肝心のインに入ってショットが乱れた。11番、13番ホールと右に押し出して林の中へ。このふたホールで2ボギーとしてしまった。
12番パー3では、スペースの狭いピン手前につける見事なショットを披露。3mを沈めてバーディーをもぎ取った。その直後、本来はバーディーを想定する13番での、4オン、2パットのボギーはとくに手痛かった。
確かに、第2打は難しい状況にあった。林の中で、ライは土の上に枯れた松の枝が敷き詰められていた。右サイドの林からグリーンを狙うには、ややフェードボールが理想となるが、ライの具合は真逆のドロー系が出やすい状況。しかも、周囲は枝葉が張り出していて、通常のスイングがしづらい状態だった。
松山は打つ直前にクラブの番手を持ち替えた。それが、本人曰く「ジャッジミス」だったのか、それとも2オン狙いが「ジャッジミス」だったのか、いずれにせよ、グリーン左手前のクリークにつかまっての4オンだった。
それでも、松山は粘り強いゴルフを続けて、最終ホールで残り168ヤードのセカンドショットをピン左3mにつけた。それを沈めて、この日は「70」。通算1オーバーでホールアウトした。
ラウンド後、松山は「もう少し、グリーンに上る前にしっかり勝負できないと話にならない」と、パッティングよりも、やはりショットの精度の不安材料を解消したいと言っていた。
インタビューが終わると、松山は練習場へ。ただひとり、いちばん右側で黙々と打球練習に専念していた。
松山が求めているものは当然、優勝争いの渦の中に入れるポジションである。そこに向けて、今の状態で何が足りていないのか、十分に承知している。
残り2日間を戦い抜くためには、何としてでも”グリーン上の勝負”というところまで、ショットの精度を取り戻したい――そんな必死の思いが、薄暗い練習場の姿から垣間見えた。