2019年に入って初めてブンデスリーガの試合に出場した大迫勇也(ブレーメン)は、これまで見たことがないくらい、うれ…
2019年に入って初めてブンデスリーガの試合に出場した大迫勇也(ブレーメン)は、これまで見たことがないくらい、うれしそうな様子だった。試合後、ニコニコと笑顔で「お久しぶりです」と自ら切り出した。ミックスゾーンでの取材自体を避けることもある大迫だけに、一瞬、虚を突かれたほどだ。
公式戦出場もアジアカップの決勝以来となる2カ月強ぶり。大迫がこれだけ長期間、欠場すること自体、久しぶりだ。
「そうですね。リハビリ期間が長かったので。まだまだ100パーセントじゃないですし、今日も予想外の展開で試合に出る感じになりましたけど、要所、要所でしっかりとプレーしようと考えていました」

ボルシアMG戦の後半52分から出場した大迫勇也(ブレーメン)
ボルシアMG対ブレーメンの一戦は、前半を0-0で折り返していた。ボルシアMGがゴール前に人数をかけて、きっちり守ってくるタイプの守備をするため、ブレーメンはなかなか崩し切れず、ゴールに迫れない。しかも、後半4分にボルシアMGが先制したことで、その守備はより強固になった。リーグ後半戦に入って無敗のブレーメンだが、ついに黒星か、と思われる展開だった。
大迫はハーフタイムのウォーミングアップで、後半開始早々からでも出場するような練習メニューを行なっている。早い時間での出場がそもそも、想定されているように見えた。
しかし大迫は、「本当はまだ45分間できる身体じゃないので、(それだけの)練習もまだしていないし、10分、15分ぐらいのイメージでした。ただ、(試合の)内容もよくなかったので、出る感じはありました」と、52分からの出場が想定外だったことを明かした。
このヨハネス・エッゲシュタインとの交代は功を奏した。大迫は、その後の選手交代にも応じて、トップ、インサイドハーフと、本人の表現を借りれば「グルグルと」ポジションを変えながら、攻撃の起点を作り、ラストパスを送った。
79 分、相手のクリアボールが転がってくると、大迫はペナルティエリアの右手前からクロスを入れた。これをダフィ・クラーセンがヘッドで決めて、ブレーメンは同点に追いついた。その後、反撃に出たボルシアMGは試合終了まで攻め立てたが、精度を欠いたのに救われ、ブレーメンはアウェーで貴重な勝ち点1を手にした。大迫のおかげと言っても過言ではない。
コンディションはまだ完璧とは言えないようだ。リハビリ期間は予想以上に長かった。それでも本人は、前向きに過ごしたという。
「ポジティブに(捉えていた)。アジアカップの時点で、こうなる感じがしていたので、もう自分のなかでは、ふんぎりというか、覚悟はしていた。切り替えて、今、何ができるかを考えていました」
アジアカップでは、初戦にフル出場したものの、その後は温存され、準々決勝ベトナム戦に途中出場で復帰。準決勝イラン戦、決勝カタール戦は先発していた。当時からこの長期離脱を想定していたということは、負傷の程度はかなりのものだったのだろう。
練習には先週、復帰したばかり。しかもまだきちんとした練習は数回行なったにすぎないという。それでも3日のドイツ杯準々決勝シャルケ戦でベンチに入ると、この日は大事な場面での起用となった。
このような使われ方を、意気に感じないわけがない。「フロリアン・コーフェルト監督からの信頼を感じるのでは?」との質問には、少し照れてこう答えた。
「はい。そうですね、ありがたいことですけど、もっともっと応えないといけないと思うし、僕らはもっと上にいけるチームだと思うので、頑張ります」
大迫は終始、上機嫌で、試合出場を渇望していたことが全面的に伝わってきた……と思っていた。だが数時間後、喜びの理由はそれだけでないことがわかった。第二子の誕生が発表されたのだ。そういえばチームは、大迫が試合前日の練習を
「個人的な理由で欠席」と発表していた。きっと家族と過ごしていたのだろう。
第二子誕生と自身の復帰が重なったこの週末は、大迫にとって一生忘れられないものとなることだろう。