試練の時を迎えている。今季ここまで自己最高となる6勝を挙げているソフトバンクの東浜巨。覚醒の時を迎えつつある右腕の前に、先発ローテ投手として、一つの壁が立ちはだかっている。■今季ここまで自己最高となる6勝、最近の失速の要因は? 試練の時を迎…

試練の時を迎えている。今季ここまで自己最高となる6勝を挙げているソフトバンクの東浜巨。覚醒の時を迎えつつある右腕の前に、先発ローテ投手として、一つの壁が立ちはだかっている。

■今季ここまで自己最高となる6勝、最近の失速の要因は?

 試練の時を迎えている。今季ここまで自己最高となる6勝を挙げているソフトバンクの東浜巨。覚醒の時を迎えつつある右腕の前に、先発ローテ投手として、一つの壁が立ちはだかっている。

 4月15日の楽天戦(ヤフオクD)で今季初先発し、初勝利をつかんだ背番号16。1度の中継ぎでの登板を経て、ローテの一角を担うと、素晴らしい投球を見せ続けた。今季最初の先発は楽天・則本と、その後も、ロッテ・涌井、広島・黒田、巨人・菅野といった各球団のエースとの投げ合いになりながら、負けなしの5連勝をマーク。3連覇を目指すソフトバンク先発陣に不可欠な存在にまでなりつつあった。

 ところが、だ。6月25日の楽天戦(コボスタ宮城)で、7回4安打3失点で今季初黒星を喫すると、それまでの勢いは陰りを見せる。7月2日の日本ハム戦(ヤフオクD)では6回1失点と役割を果たすも、有原の前に打線が沈黙。援護なく、2連敗となった。7月9日の楽天戦(ヤフオクD)では8回2失点で6勝目を挙げたが、7月18日のオリックス戦(ヤフオクD)では今季最短となる5回途中6安打5失点でKO。3敗目がついた。

 最近の失速の原因は「疲労」だろう。1軍で先発ローテを担い続けるのは、プロ4年目で初めてのこと。12試合の先発は、既に自身のキャリアで最多を数えている。疲労の蓄積があるのは、当然のことだ。

 それに加え、右腕の今季の躍進の要因と、疲労蓄積も、決して無関係ではないだろう。

■工藤監督から大きな期待を寄せられる右腕、筋力強化にも着手

 工藤公康監督から潜在能力を高く評価され“強化指定選手”となっている東浜。指揮官からは、登板の合間にハードなウエートトレーニングを課されている。それも、1度ではなく、週に3度も、だ。筋力を維持するためではなく、強化のためのトレーニング。ほぼフルパワーを発揮させて行う筋力トレーニングによって、東浜は、体が張った状態で週の大半を過ごしている。

 シーズン中にもかかわらず、東浜の最大筋力は上昇し、効果が出てきている。真っすぐの威力は見るからに増し、5月の日本ハム戦ではプロ最速となる150キロをマークし、常時140キロ台後半を連発するようになっていた。

 だが、ここにきて、その真っすぐは140キロ台前半が中心。真っすぐとともに投球の中心となっていた高速シンカーもキレ、制球とともに鈍ってきている。ハードなトレーニングで徐々に疲労が体に溜まってきているというのも、原因の1つと考えられる。

 いかに、この苦しい時を乗り越えられるかが、佳境を迎えるシーズン終盤への鍵になる。ソフトバンクの未来のエース候補として目される東浜。試練を克服した時、さらに一回り成長した姿へと進化を遂げるだろう。