「全国に出られたこと自体がうれしいこと」と言うのは、猿田法子監督。なぜなら、メンバー全員が高校から硬式テニスを始めた、つまりテニス歴2年なのだ。だから、県予選もギリギリで勝ち、中国地区予選では…

「全国に出られたこと自体がうれしいこと」と言うのは、猿田法子監督。なぜなら、メンバー全員が高校から硬式テニスを始めた、つまりテニス歴2年なのだ。だから、県予選もギリギリで勝ち、中国地区予選では5位となり、選考の結果、全国大会出場が決まった。

 

テニス歴2年で全国の舞台に立つには、ダブルス強化は欠かせない。実は猿田監督は夙川学院高校時代、ダブルスで全国の頂点に立ったことがある実力の持ち主。就任1年目だが、着任した時には選手たちは硬式テニスの基礎はできていた状態だったため、ダブルスへの指導に力を入れた。選手も冷静にダブルスの方が勝つ確率は高いと考えて、「ボレー練習や積極的にポーチに出ることを心掛けている」と藤井ののかは言う。

西京のもう1つの特徴が切磋琢磨だ。全員が同じスタートラインから始めている分、実力差はほとんどない。だからこそ、仲間意識が強い反面、負けたくないというライバル心も強くなる。加えて、2年生部員は10名だが、レンタカーに乗れる人数の都合で遠征に行けるのは9名と決まっており、遠征メンバーを決める部内戦は、「バチバチのガチ勝負になる」と選手の内海百花は笑いながら言う。そういう数多くの真剣勝負が選手たちを成長させてきたのだろう。

西京にとっては2回戦が初戦で、相手は愛知啓成。D1に選ばれたのは、藤井と内海。藤井は伸びのあるストロークを放ち、内海がボレーでポイントを決めるコンビネーションが決まり、3-0とリードする。逆転負けを喫して勝利には至らなかったが、テニス歴2年とは思えないようなプレーぶりだった。他の選手たちも勝ち星を挙げることはできなかったが、猿田監督は「初めての全国であれだけやれれば立派だと思います」と彼女たちの努力と奮闘を認めていた。

藤井は、「思ったよりも緊張しなかったし、できないところがわかった。6月には県総体があり、山口県には野田学園(※全国常連高校)があるので、そこと勝負できるようになりたい」と語った。高校から硬式テニスを始めても全国出場を目標にして努力すれば可能であることを証明してくれた西京高校。多くの高校生に夢を与えたことだろう。

【結果】山口県立西京高校 [0-5] 愛知啓成高校

【日程】

3月21~25日/団体戦

3月23日/個人戦予選

3月24~26日/個人戦本戦

会場:博多の森テニス競技場、春日公園テニスコート(©スマッシュ)

※写真は全国選抜高校テニス大会の様子