慣れ親しんだマイアミの地で、リラックスして大会に入る錦織圭 錦織圭(ATPランキング6位/3月18日づけ以下同)は、グランドスラムに次ぐグレードであるマスターズ1000(以下MS)のマイアミ大会に10回目の出場を果たす。 フロリダのブラ…



慣れ親しんだマイアミの地で、リラックスして大会に入る錦織圭

 錦織圭(ATPランキング6位/3月18日づけ以下同)は、グランドスラムに次ぐグレードであるマスターズ1000(以下MS)のマイアミ大会に10回目の出場を果たす。

 フロリダのブラデントンにあるIMGアカデミーに拠点を置く錦織にとって、マイアミ大会は、母国日本に次ぐ”第2の地元”のようなもので、成績の相性もよく、2016年大会では準優勝という結果を残している。

「ここ(マイアミ)は、ちょっとホームトーナメントのようです。いい結果も残していますし、いい思い出もあります」

 直近のMS・インディアンウエルズ大会3回戦で敗れた後、錦織は、一旦ブラデントンに戻り、休養をとって調整してからマイアミ入りをした。

「(テニスの)フィーリングは悪くないですね。普通に休んで、練習して、おととい(3月18日)こっち(マイアミ)に来ました。コートの感触はいいですし、今のところいい感じです」

 2019年からマイアミ大会は、会場をキービスケーン島から変更して、マイアミのダウンタウンの北側に位置するハードロックスタジアムに場所を移した。新テニスセンターのコート総数は30面。普段はNFLドルフィンズの本拠地であるアメリカンフットボールスタジアムの中に仮設スタンドを設けて、1万3800席のセンターコートを作った。

「スタジアム、でかいな、と。風も受けにくい見た目なので、やりやすい。コートもいっぱいあって、やりやすい環境かなと思います」

 今回はラファエル・ナダル(2位、スペイン)が右ひざのけがによって欠場したため、錦織は繰り上がって第5シードを獲得してトップハーフに入った。

 錦織は、シード選手のため出場は2回戦からで、ドゥシャン・ラヨビッチ(44位、セルビア)と対戦する。ラヨビッチとの対戦成績は錦織の2勝0敗だ。

 さらに順当にいった場合、3回戦からはシード選手との対戦が始まり、まずは第27シードのニック・キリオス(33位、オーストラリア)で、錦織の4勝0敗。4回戦は、第11シードのボルナ・コリッチ(13位、クロアチア)で、錦織の1勝0敗。準々決勝は、第3シードのドミニク・ティーム(4位、オーストリア)で、錦織の3勝2敗。ティームは、直前のMS・インディアンウエルズ大会で初優勝して、MS1000初タイトルを獲得し好調だ。準決勝は、第1シードのノバク・ジョコビッチ(1位、セルビア)で、錦織の2勝16敗で、15連敗中だ。まずは、シードを守ってベスト8が第一目標になるだろう。

 最近では、日本人で初めて世界1位になった大坂なおみが、突然ツアーコーチを変えて話題になったが、錦織は、2011年からダンテ・ボッティーニコーチと、そして2014年からマイケル・チャンコーチと組んで以来、コーチの変更はない。現在のコーチとの関係を次のように語っている。

「自分は、今に満足していますし、居心地もいい。常に新しい刺激をもらえるコーチたちなので。毎回同じことを言われたら変えていますけど、そういうわけではないので。自分に必要なことを、いろんな角度から教えてもらえる。本当はいろんなコーチを試してみたいというのは、ちょっとありますけど、その必要が今はないかなと思います」

 ここ2年くらいで、25歳のティームのような錦織より若い選手だけでなく、昨年に29歳でインディアンウエルズでの初優勝をしたファン マルティン・デルポトロ(8位、アルゼンチン)や、32歳でマイアミでの初優勝を成し遂げたジョン・イスナー(9位、アメリカ)らベテラン選手も含めてさまざまなマスターズ初優勝者が誕生している。

 そんな中29歳の錦織が、長年目標のひとつにしているMS1000大会での初優勝を、相性のいいマイアミ大会で実現できるか期待したいところだが、錦織はいつものようにマイペースだ。

「人と比べる人生はあまり好きではないので。今年こそ、というわけでもなく、毎年それ(マスターズ初優勝)は目標にしているので、いつか取れればいいなぐらいですね。そんなに気を張り詰めても、あんまり変わらないので」

 20代最後のマイアミ大会で、「先のことは考えていません。2回戦に集中しています」と言う錦織が、果たしてMS1000大会の初タイトルを勝ち獲れるのか、一戦一戦が大事になっていく。