「震災後、屋外で行なう部活の部員数が減った」と言う鈴木仁監督。常に部員数が少ないという問題を抱える中、県内有数の進学校であるため、勉強もおろそかにはできない。これまで、インターハイの出場はあっ…

「震災後、屋外で行なう部活の部員数が減った」と言う鈴木仁監督。常に部員数が少ないという問題を抱える中、県内有数の進学校であるため、勉強もおろそかにはできない。これまで、インターハイの出場はあったものの、全国選抜はかなわなかった。

今回出場可能な人数が集まったこと、そして東北の出場枠が4つに拡大したことで初出場を果たした県立磐城。名実ともに力のある早稲田実業を相手に、5試合で獲得できたのはわずか3ゲームとなった。完敗といえばそれまでだが、印象的だったのは、選手たちの笑顔だ。

キャプテンの藤丸陽日は「初めての全国で予想以上に緊張はしたのですが、その中でも声を掛け合って笑顔で戦うことを心掛けましたし、普段からみんなこういう感じなんです」と言う。テニス部のメンバー同士のつながりも深く、どうしたらもっとテニスがうまくなるかを考えて、アイデアを出し合い、技術の向上を目指してきた大きな舞台だった。

「こういう高いレベルの大会に出るために、頑張って全員の総合力を上げて行こう!」(藤丸)と、敗退を経て決意も新たに前を向く。

屋外スポーツの人口は減っているが、いわき市においては、同県内での移住者が増えているそうだ。鈴木監督曰く「朝練は強制されなくとも、自主的にやっています。朝勉強している生徒も多い。授業中に寝ないようにしながら(笑)、インターハイ出場、そして勝ち上がることを目標に頑張っていきます」

まだまだ復興途中ではあるものの、真摯な姿勢と、笑顔でテニスを楽しむ姿は多くの人を幸せにするはずだ。

【結果】県立磐城高校[0-5]早稲田実業

【日程】

3月21~25日/団体戦

3月23日/個人戦予選

3月24~26日/個人戦本戦

会場:博多の森テニス競技場、春日公園テニスコート(©スマッシュ)

※写真は全国選抜高校テニス大会の様子