カーリングの女子世界選手権(3月16日~24日)がデンマーク・シルケボーで開催される。 2月の日本選手権で全勝優勝を果たした中部電力が日本代表として出場し、3月7日、チームは両角友佑コーチ、鵜沢将司トレーナーらとともに成田空港を出発した。…

 カーリングの女子世界選手権(3月16日~24日)がデンマーク・シルケボーで開催される。

 2月の日本選手権で全勝優勝を果たした中部電力が日本代表として出場し、3月7日、チームは両角友佑コーチ、鵜沢将司トレーナーらとともに成田空港を出発した。

 スキップの中嶋星奈は「いつもどおり、みんなの正確なショットを引き出せるようにがんばります」と抱負を語った。その表情からは、ここまでのシーズンの疲労や、世界戦に対する過度の緊張も見られない。いい状態で大一番に臨めそうだ。



世界選手権での奮闘が期待される中部電力

 チームはまず、シルケボーと時差のないスイスのルツェン入り。JCA(日本カーリング協会)ナショナルコーチのJ.D.リンドと合流し、時差調整を兼ねた5日間のミニキャンプを張ってから現地に向かった。

 世界選手権のような長丁場の大会においてカギになるのは、やはり初戦。3月16日のスコットランド戦だ。両角コーチも「大切なゲームだと思う」と語るのには、理由がある。

 世界選手権は前回大会(カナダ・ノースベイ)から、参加国が12カ国から13カ国へひとつ増加された。それに伴って、ラウンドロビン(総当たりの予選リーグ)からプレーオフ(決勝ラウンド)に進めるチーム数も、以前の上位4チームから上位6チームに変更された。

 そうなると、プレーオフに勝ち残るための最低条件となるのは、勝ち越し。白星を先行させ、精神的に余裕のある状態でリーグ戦を消化できるのが理想だからだ。初戦を勝って、翌日のアメリカ戦、ドイツ戦、さらに3日目のロシア戦、カナダ戦と、それぞれの連戦を1勝1敗でやりくりできれば、その後の見通しは明るい。

 そのまま貯金がある状態で日程を進め、中盤以降の韓国、デンマーク、フィンランド、ラトビアあたりの中堅国との対戦では、できるだけ勝ち星を稼ぎたい。そして、終盤のスイス、スウェーデンといった優勝候補との対戦の前には、勝ち星に余裕を持って臨めるのがベストではないか。

 中部電力が世界選手権に出場するのは、6年前の2013年大会(ラトビア・リガ)以来、2度目となる。当時、藤澤五月や市川美余らが主力のチームで、5勝6敗と参加12カ国中7位だった。今回は、それを上回る結果を残したいところだ。

 ただ、サードの松村千秋とフィフスの清水絵美はそのリガ大会を経験しているが、他の3人は今回が初めての世界戦のアイスだ。その経験不足を不安視する声もあるが、若き選手たちは気負うことなく、初の世界戦への力強い決意を語ってくれた。

「日本選手権を上回るパフォーマンスをしたい。そうすれば、結果はついてくると思います」(中嶋)

「初めての世界選手権ですが、表彰台を目指したい」(フォース・北澤育恵)

 日本選手権で平昌五輪銅メダルのロコ・ソラーレや、今季のワールドツアーでグランドスラムに進出した北海道銀行フォルティウスを破ったことで、選手各々に自信も備わったのだろう。チーム全体から、さらなる欲が感じられるのは頼もしい限りだ。

 リードの石郷岡葉純は、「どんな結果でも必ずチームのプラスになると思うので、楽しんできます」と語った。欧州のアイスや世界戦専用のストーンなどを実際に肌で味わい、各国の代表であり、世界ランカーとの対戦で得るものは計り知れない。その経験によって、これまで以上の成長が望めることは間違いないだろう。

 加えて今回、中部電力が世界のアイスで残す結果は、日本女子カーリングの新たな物差しになる。彼女らを介して日本のレベルをあらためて知ることは、カーリング界にとっても何よりの収穫だろう。

 日本にはまだまだ強いチームが控えていることを、世界に知らしめる戦いぶりが見られることを期待したい。