いまの日本の大学ラグビー界で、最も重いバトンを受け継いでいよう。 亀井亮依。大学選手権7連覇中の帝京大で主将を任されている。 選手間の話し合いなどを経て、大役を任された。6月に日本代表デビューを果たす松田力也や元気印の飯野晃司らタレント揃…

 いまの日本の大学ラグビー界で、最も重いバトンを受け継いでいよう。

 亀井亮依。大学選手権7連覇中の帝京大で主将を任されている。

 選手間の話し合いなどを経て、大役を任された。6月に日本代表デビューを果たす松田力也や元気印の飯野晃司らタレント揃いの同級生組にあって、船頭役になることとなった。

「僕、力也、飯野がチームを引っ張らなければという自覚はありました。そのなかで僕は、自分らしさを軸にする。フィールドに立ち続けて、先頭を切って痛いところへ…」

 大阪・常翔啓光学園出身のFL。身長178センチ、体重97キロと一線級にあっては小柄だが、ロータックルと接点への絡みで攻防を引き締める。もっともリーダーとしては、特に練習中の声掛けに戸惑うことがある。

 6連覇を果たした一昨季の主将だった流大(サントリー)を「重くて深い一言一言で、周りを巻き込む」と主なモデルケースに掲げるが、いまは、悩みの渦中にあるというのだ。

「練習中、皆の身体がきつく(気分が)上がらない時、どう声をかけたらモチベーションをアップさせられるか。それが一番の悩みというか…」
 
 7連覇を成し遂げた昨季の主将、坂手淳史(パナソニック)は、シーズン中に「自分の言葉、自分の気を乗せた言葉ではないと、皆には入ってこない」と反省。2015年11月29日に関東大学対抗戦Aの最終戦(東京・八王子市上柚木陸上競技場)で筑波大に17-20と敗れたあたりから、「一生懸命、やる。そこに言葉が重なって信頼を生む」と自分なりのチームの引っ張り方をつかんでいった。

 さらに遡って2012年の泉敬(NTTドコモ)も、やはり2012年12月1日の対抗戦Aで筑波大に10-24と苦杯をなめる。「僕は、身体を張って、チームを鼓舞していく…。本当に、全ての選手を信頼しています」と、2013年1月13日の大学選手権決勝で筑波大を破る(東京・国立競技場)。39-22。4連覇を決めた。

 時を経て、亀井は現在進行形の試行錯誤をこう語る。

「その場、その場の状況、皆の状態を、いかに観察して言葉をかけるか。僕が主将をやっていくなかで、ずっと課題になっていくと思います」

 春から夏にかけての辛苦を、8連覇ならびに日本選手権での社会人トップリーグ勢撃破につなげられるか。チームは24日、本拠地の東京・帝京大百草グラウンドで流経大との練習試合をおこなう。

「充実し過ぎていて、時間が経つのが早いです」

 亀井は、答えのなき道をひた走る。(文:向 風見也)