ロシアの若手選手、23歳のダニール・メドベージェフがにわかに注目を集めている。基礎練習を嫌がるなど気分のムラが目立つ選手だったが、テニスに真剣に取り組み始めたことで一気に才能が開花。昨年10月…

ロシアの若手選手、23歳のダニール・メドベージェフがにわかに注目を集めている。基礎練習を嫌がるなど気分のムラが目立つ選手だったが、テニスに真剣に取り組み始めたことで一気に才能が開花。昨年10月の楽天ジャパンオープンでは、錦織圭を下してATP500大会での初優勝を飾った。今年もソフィア・オープンで優勝するなど好調を維持している。

♦︎自己評価は「オールラウンド」

約198センチという長身のメドベージェフ。長身からは想像もできない軽やかな身のこなしで見る者を驚かせるが、真の兵器はその安定したプレーだ、とESPNは見る。楽天ジャパンオープンで錦織を制した23歳のメドベージェフは、自らをオールラウンドのプレーヤーだと評価。試合後には「攻撃して確実に仕留められるような弱点は僕にはない」と語る余裕を見せた。

1月の全豪では、セットを一つも失うことなく第4ラウンドまで進出。ノバク・ジョコビッチ(セルビア)に4-6、7-6、2-6、3-6で破れるも、3時間15分に及んだ試合でジョコビッチに対し善戦した。長丁場のラリーでボールに食いつき、史上最強のリターナーを相手に健闘した、とSportskeeda誌。長身から繰り出される大きなサーブやパワフルなフォアハンドなども大きな武器となっており、若くして隙のないプレーを見せている。

♦︎ここ2週間で勢いに乗る

メドベージェフは難攻不落だ、とESPNは評価。その傾向は過去2週間でいっそう顕著になっている。ブルガリアで開かれたソフィア・オープンからオランダ・ロッテルダムでのABN AMROワールド・テニスにかけて、連続15セットを奪取。ABN AMROワールド・テニスでは準決勝まで駒を進めた。最終的に世界ランク23位のガエル・モンフィス(フランス)に敗れたものの、今シーズンのATPツアー大会での成績は勝ち14試合に対して負け3試合のみと勢いに乗っている。

2014年にデビューしたメドベージェフだが、躍進のきっかけとなったのは昨年1月のシドニー国際。同大会決勝で若手ホープのアレックス・デミノー(オーストラリア)と対決。最終第3セットではアウェーの緊張から5-5に追いつかれる場面があったが、冷静さを取り戻し7-5で勝利を収めた。2年前ならば途中で投げ出していただろう、と本人はコメント。精神面でも成長していることがうかがえる。

若手プレーヤーとしてはフランシス・ティアフォー(アメリカ)やステファノス・チチパス(ギリシャ)などが注目されがちだが、メドベージェフのプレーも印象的だ、とSportskeeda誌は指摘。近年のツアーでの活躍は目覚ましく、その先には明るい未来が間違いなく待っていると述べ、今後のさらなる成功を確実視している。

♦︎粘り強く成長

元世界ランク1位のマラト・サフィン(ロシア)に憧れて育ったというメドベージェフ。浮き沈みの激しいプレースタイルに影響を受けてか、基礎練習の重要性を理解しないという問題点があった、とESPNは指摘する。コーチのジルズ・セルベラによると、2017年頃までは専用のトレーニングメニューを用意しなければならなかったほど。しかし、2017年秋頃に取り組み方の姿勢を改めると、実力はみるみるうちに向上。自身の才能を感じ、常に大きな夢を描いてきたと語るメドベージェフ。これまで以上にテニスと真剣に向き合うと決意して以来、いつか現在のような実力を手にするチャンスがあると信じてきた、と語る(ESPN)。

今後の課題はスタミナだ。大物選手を相手に怯まないメンタルは賞賛に値するが、長時間のマッチで質の高い試合を展開していくためには持久力の改善が求められる、とSportskeeda誌は指摘する。現在世界ランク15位のメドベージェフ。課題克服とさらなる躍進に期待がかかる。(テニスデイリー編集部)

※写真は注目のロシアの若手選手メドベージェフ(Bukharev Oleg / Shutterstock.com)