美貌で人気のプレーヤーは、トップ10に入れるべきか否かーー? 歴代女子選手のトップ10リストをめぐり、ネット上で激論が交わされている。議論の焦点はアンナ・クルニコワ(ロシア)。テニス界の妖精とも呼ばれた選手で、コートでの実績よりも容姿の美し…

美貌で人気のプレーヤーは、トップ10に入れるべきか否かーー? 歴代女子選手のトップ10リストをめぐり、ネット上で激論が交わされている。議論の焦点はアンナ・クルニコワ(ロシア)。テニス界の妖精とも呼ばれた選手で、コートでの実績よりも容姿の美しさで話題となった人物だ。

◆春節のお祝いが発端に

激論を呼んだきっかけは、何気ないお祝いのメッセージだった。中国の春節を祝い、国際テニス連盟は2月5日、2014年に引退したリー・ナ(中国)の活躍を讃えるビデオクリップをツイッター上に投稿。リー・ナはアジア勢として初のグランドスラムタイトルを獲得した選手で、2011年の全仏と2014年の全豪の王者だ。

これがテニス関連メディアを通じて急速に拡散されると、ポッドキャスト「WTA Insider」の司会を務めるコートニー・グエン氏は、女子テニス史上重要なプレーヤーのトップ10に入るであろう人物だとツイート。この投稿がNew York Times紙記者のベン・ロゼンバーグ氏の目に留まり、記者は自身がトップ10と考える歴代プレーヤーのリストをツイートした。1920年代に活躍したスザンヌ・ランラン(フランス)に始まり、現役のセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)、そしてリー・ナで締めくくっている。ネット上の波紋を呼んだのは、セレナの直前に挙げられた人物、アンナ・クルニコワ(ロシア)の存在だ。

◆リストへの反応さまざま

クルニコワは著名選手だが、コート外での活動で知名度を上げたとも言える人物。シングルスでは世界ランキング最高8位に留まっており、タイトル獲得経験はない。ダブルスでは1999年と2002年の全豪で優勝し、最高ランキングは世界1位。しかし、歴代選手のなかでトップ10入りに相応しいかは議論の余地がある。怪我の続いた彼女は2003年、21歳の若さで現役を退いている。

リストに対して寄せられたツイッター上の反応は辛辣だ。クルニコワ擁護派のファンまで、ビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)ではなくクルニコワを選出したことを疑問視している。ほかには、テニス界を変えた人たちというタイトルに変更すべきという批判も。一方、16歳でウィンブルドン準決勝の舞台に立つなど、成功のイメージがある人物だと納得する声も少なからず上がった。

♦︎トップ10入りの真意は?

引退後はエキシビションマッチなどに姿を見せていたクルニコワだが、知名度を維持できたのはそのスター性のおかげだと豪ニュースサイトnews.com.auは見る。美貌がインスタグラム上で目を引くユージェニー・ブシャール(カナダ)など、現代のスポーツ選手はSNS上で絶大な影響力を誇るインフルエンサーとなっている場合がある。このスタイルはクルニコワからの流れを汲んだものだと同誌は指摘。クルニコワの元コーチは、彼女の活躍以降、女子テニスのTV中継の機会も増えたと述べ、スポーツへの貢献を果たしたと語っている。

インスタでファンの心を掴むブシャールとの類似性は、米Yahoo!も指摘。女子テニスへの興味を高めたという意味では、確かにその影響力は計り知れない。Yahoo!は、引退時点で彼女の名はテニスというスポーツの同義語だったと述べ、女子テニスを象徴する選手だったことを認めている。

ネット上で交わされる激論を目にしたロゼンバーグ記者は、クルニコワをトップ10に挙げた真意を数時間後のツイートで補足している。いわく、従来では考えられなかったほどの成功と価値を女子スポーツにもたらし、人々がテニスを見る目を変えたとのこと。トップ10リストは重要なプレーヤーを意味するものであり、成績の良い選手という意味とは大きく異なる、と述べている。トップ10という言葉の響きからは強豪をイメージしがちだが、確かに発端となったツイートにあるリー・ナも、中国にテニスを広めた功績が重要視されている人物。スポーツへの貢献にはさまざまな形があるという視点が、記者の伝えたかったメッセージなのかもしれない。(テニスデイリー編集部)

※写真はトップ10入りにふさわしいかネットで話題になったクルニコワ(Tinseltown / Shutterstock.com)