試合後、珍しく感情を前面に出して喜んだ大坂なおみ フォアハンドストロークのダウンザラインへのウィナーが決まり、大坂なおみは、全豪オープンでの初めてのベスト8を決めた。その瞬間、天を仰いで左手でガッツポーズをつくると、両手を上げて彼女にしては…



試合後、珍しく感情を前面に出して喜んだ大坂なおみ

 フォアハンドストロークのダウンザラインへのウィナーが決まり、大坂なおみは、全豪オープンでの初めてのベスト8を決めた。その瞬間、天を仰いで左手でガッツポーズをつくると、両手を上げて彼女にしては少し大胆に喜びを表現した。

 全豪オープン4回戦で、第4シードの大坂(WTAランキング4位、1月14日づけ/以下同)は、第13シードのアナスタシア・セバストワ(13位、ラトビア)に、4-6、6-3、6-4で逆転勝ちを収めて、メルボルンで初めての準々決勝進出を決めた。グランドスラムでは昨年のUSオープン以来、通算2回目のベスト8となる。

 日本女子による全豪ベスト8は、2000年の杉山愛以来19年ぶりとなる。

「準々決勝に到達できて、とてもうれしいです。少しホッとしているところもあります。ニューヨーク(USオープン)以外のグランドスラムでは初めての準々決勝ですからね。自分のゴールのひとつですが、(満足せずに)次のラウンドの試合にフォーカスし続けようと思います」

 大坂は、3回戦で第28シードのシェ・スーエイ(27位、台湾)と対戦。両サイド両手打ちで、フラット系かつサイドスピンのかかったグランドストロークを巧みに打って、厳しいコースを突いてくる相手に対して、第1セットを5-7で落とし、第2セットも2-4に。そこから逆転勝ちを収めた大坂は、続く4回戦も、第1セットをセバストワに先取されながら逆転勝ちに成功した。ツアーに帯同しているアレクサンドラ・バインコーチはその勝ち方を高く評価している。

「ここ2試合は第1セットを落としていますが、すばらしかった。コート上での問題を彼女は解決し、カムバックしたのです。彼女が示した成熟度を見るのはうれしいです。彼女は感情をうまくコントロールできていますし、ここまで今大会での彼女の振る舞いをとても誇りに思います」

 4回戦の対戦相手であるセバストワは、昨年のUSオープンでベスト4に進出した実力者。今季開幕戦のWTAブリスベン大会の準々決勝では、フルセットで大坂が勝っていたが、非常にタイトな試合になった。

 セバストワは、フラット系のグランドストロークをコントロールしながら、コースを突いて大坂のミスを誘った。また、バックハンドのスライスによるチェンジオブペースも効果的だった。

「彼女(大坂)はサーブでエースを取れますから、私はチャンスをものにできるまで必死についていかなければいけません。でも、いくつかのポイントがタフでしたね」

 こう語ったセバストワが第1セットを先取しても、大坂は決して怯まなかった。セバストワの浅く入ったストロークを、ベースラインの内側に入ってステップインしながら攻撃的なストロークを打っていった。とくに、大坂の武器であるフォアハンドストロークの強打は、形勢を逆転するための大事なショットになり、時折交ぜたドロップショットも効果を発揮した。

 大坂はミスが43本と多かったものの、フォアウィナー27本、バックウィナー11本、サービスエース7本を含む51本のウィナーを決めてセバストワを振り切った。

 バインコーチの指摘した成熟度については、大会開幕前に大坂自身、今季の目標の一つとして「成熟していくこと」を挙げていた。大坂は、自身にとって成熟することの意味を次のように語っている。

「自分にとって成熟とは、自分が思いどおりにいかないときに、受け入れることだと思います」

 これから続く全豪での戦いで、大坂が成熟度を示すことができるかどうかも焦点の一つになる。

 準々決勝で大坂は、第6シードのエリナ・スビトリナ(5位、ウクライナ)と対戦する。スビトリナは、昨年のツアー最終戦・WTAファイナルズで初優勝に輝いている選手だ。対戦成績は大坂の3勝2敗。全豪オープンでは3年前に2回戦で対戦し、大坂が勝っている。

「彼女はとても安定した選手ですし、チャンスの時には攻撃してきます。彼女との試合は、とても困難なものになると思います」

 現在好調なスビトリナを警戒している大坂が、全豪で初のベスト4に進めるのか注目だ。

 また、大坂が全豪終了後に世界1位になる最低条件として、ベスト8以上に進む必要があったが、まずは第1条件をクリアした。次に、現在1位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)が4回戦で敗れたため、彼女の大会後のランキングは5582点になることが確定した。

 大坂は、準々決勝進出時点で5497点。もし大坂が準決勝へ進出すれば、少なくともハレプを抜くことができ、今後は、ペトラ・クビトバ(6位、チェコ)、スビトリナ、カロリナ・プリスコバ(8位、チェコ)と世界1位の座を争うことになる。