ウズベキスタンとの第3戦を控え、左サイドバックの佐々木翔(サンフレッチェ広島)は「ウズウズしています」と、ここまで2試合の心境を明かした。「試合に出たい。一番はそこですかね。1戦目、2戦目と見ていて、自分だったらどうこうとか、そういう…

 ウズベキスタンとの第3戦を控え、左サイドバックの佐々木翔(サンフレッチェ広島)は「ウズウズしています」と、ここまで2試合の心境を明かした。

「試合に出たい。一番はそこですかね。1戦目、2戦目と見ていて、自分だったらどうこうとか、そういうことではなく、単に試合に出ている選手がうらやましく感じました」



「試合に出ている選手がうらやましく感じた」と語る佐々木翔

 それは佐々木だけでなく、控えに回っている多くの選手に共通する想いだろう。トルクメニスタン戦、オマーン戦と、ここまで2試合を終えて、先発出場した選手は13人。途中出場も含めて試合に出場したのは15人。2試合続けて交代枠を余らせているから、まだ8人の選手がピッチに立つ機会を得られていない。

 だが、2連勝を飾ってノックアウトステージ出場を決めたことで、森保一監督はウズベキスタン戦の前日、あらためてメンバーの大幅な入れ替えを明言した。

「(オマーン戦後に)”できれば”すべての選手を使いたいと話したと思うが、すべての選手を使いたいという思いをもって明日の試合には臨みたい」

 選手の話を総合すると、おそらくウズベキスタン戦のスタメンは、以下のような顔ぶれになるのではないだろうか。

【GK】シュミット・ダニエル(ベガルタ仙台)
【DF】室屋成(FC東京)、三浦弦太(ガンバ大阪)、吉田麻也(サウサンプトン)、佐々木翔
【MF】遠藤航(シント・トロイデン)、青山敏弘(サンフレッチェ広島)、伊東純也(柏レイソル)、北川航也(清水エスパルス)、乾貴士(ベティス)
【FW】武藤嘉紀(ニューカッスル・ユナイテッド)

 センターバックに関しては、キャプテンであることと、チームへの合流が遅く初戦でのコンディションが悪かったことから、吉田の3試合連続スタメンを予想。ボランチに関しては、体調不良のために初戦を回避した遠藤の2試合連続先発が予想される。

 右臀部を痛めている大迫勇也(ブレーメン)と腰痛のGK東口順昭(ガンバ大阪)のふたりは、ウズベキスタン戦も回避する予定だ。回復具合について大迫は「まあまあ」と、東口は「50%くらいには戻ってきた」と答えている。森保監督も「メディカルからこの大会中には復帰できると聞いている」と明かしたため、とくに大迫はノックアウトステージで戻って来られるのではないか。

 話をウズベキスタン戦に戻せば、メンバー変更について森保監督は「明日は日本の総合力を見せられる試合だと思うし、総力戦でこの大会を戦っていく意味でも、できるだけ多くの選手にプレーしてもらいたいと思っている」と意気込みを語り、「総力戦」という点に力を込めた。

 たしかに、グループステージ突破を決めたあとの消化試合で、メンバーの大幅な入れ替えはセオリーのひとつではある。

 だが、そこに危険性がないわけではない。

 出場機会のない選手たちを出場させるということは、裏を返せば、ノックアウトステージを見据えて、レギュラー組を休ませることでもある。つまり、大幅なメンバーの入れ替えは、レギュラー組とサブ組をはっきりと示す行為でもあるわけだ。ここまで交代枠を使い切らず、メンバーを固定してきたのだから、なおさらだろう。

 かつてセントラル開催のトーナメント戦において、「総力戦」という点で理想的な勝ち上がりを披露したチームがあった。ちょうど3年前にカタールで行なわれたリオ五輪アジア最終戦を制して優勝したU−23日本代表――手倉森ジャパンである。

 毎試合のように3〜5人くらいずつメンバーを入れ替えることで、レギュラーとサブの垣根が取っ払われ、コンディションのバラツキもなくなると、豊川雄太(現オイペン)や原川力(現サガン鳥栖)、浅野拓磨(現ハノーファー)といった、初戦でベンチスタートだった選手たちが次々と活躍していったのだ。本当の「総力戦」とは、こういうものだろう。

 たとえば、ウズベキスタ戦で佐々木や室屋がアシストをマークしたとして、ラウンド16以降、彼らがレギュラー組に抜擢されることがあるのだろうか。ウズベキスタン戦を単にサブ組の”ガス抜き”ゲームにしないこと――それが、この消化試合のポイントだろう。

 一方、ウズベキスタンも日本と同様、2連勝を飾り、グループステージ突破を決めている。チームを率いるのは、かつてバレンシアやインテルを指導したアルゼンチン人のエクトル・クーペルである。クーペルもまた、「回復が必要な選手もいる。休ませることも考えたい」とメンバーの入れ替えを示唆している。

 バレンシアやインテル時代を振り返れば、どちらかと言えば守備的なチーム作りを進めていた印象があるが、今回の代表チームはスピーディなサイド攻撃を繰り出す攻撃的なチームだ。

 DFアンズル・イスマイロフやMFオディル・アフメドフといった、かつて日本と対戦経験のあるベテラン選手たちが健在であるうえに、トップ下のヤボヒル・シディコフをはじめ、2018年1月のU−23アジア選手権を制した黄金世代のメンバーも加わり、年齢のバランスもいい。このU−23アジア選手権のベスト8で森保監督率いるU−21日本代表は、ウズベキスタンに0−4の完敗を喫しているため、森保監督にとってはリベンジマッチでもある。

前述したように、クーペル監督はメンバーの入れ替えを匂わせており、となれば、ジュビロ磐田のMFファズィル・ムサエフ、今冬レノファ山口へ加入したDFドストンベック・トゥルスノフが先発する可能性も高い。とりわけ23歳のトゥルスノフは、ヨーロッパでも通用する逸材として山口の霜田正浩監督の評価も高い。Jリーグファンにとっては、トゥルスノフのプレーにも注目したい。