熱戦が続く全日本選手権(全日本)もいよいよ5日目。この日はシングルスの5、6回戦、そしてダブルスの5回戦、準々決勝が行われた。男子シングルスでは、上村慶哉(スポ4=福岡・希望が丘)が5回戦を突破しランク入りを達成。緒方遼太郎(スポ1=東京…

 熱戦が続く全日本選手権(全日本)もいよいよ5日目。この日はシングルスの5、6回戦、そしてダブルスの5回戦、準々決勝が行われた。男子シングルスでは、上村慶哉(スポ4=福岡・希望が丘)が5回戦を突破しランク入りを達成。緒方遼太郎(スポ1=東京・エリートアカデミー/帝京)は5回戦優勝候補に敗れ2年連続のランク入りはならなかった。女子ダブルスの田中千秋(スポ4=愛知みずほ大瑞穂)・加藤結有子(スポ1=東京・エリートアカデミー/帝京)組も5回戦で敗れ、ベスト8には届かなかった。

 偉大な先輩の背中は遠かった。5回戦で世界ランキング28位の強豪との打ち合いを制し勢いに乗る上村は、ベスト8入りをかけた6回戦で大島祐哉(平成27年スポ卒=京都・東山、現木下グループ)と対戦した。「意識する部分はありました」と語る上村は序盤からエンジン全開。今大会の躍進を支えてきた逆回転サービスを軸に攻めのラリーを展開し第2セットを奪う。しかし、徐々にサーブに対応されると大島のボールの質は一段と上がり、上村は攻め手を欠く苦しい展開となる。なんとか状況を打破したい上村だったが、次々と打ち込まれる大島の強打を止めきれずに失点を重ねて完敗を喫した。早大の選手として最後の全日本をベスト16という結果で終えた上村。「この結果に満足することなくレベルアップしていきたい」と力強く語るように、来年社会人として一回り成長した姿を全日本で見せてくれるだろう。


大島(手前)に敗れたが、見事ランク入りを達成した上村

 急成長を続ける日本卓球界の若き至宝の勢いを止めることはできなかった。緒方の5回戦の相手は張本智和(JOCエリートアカデミー)。多くの観客、メディアの注目を集めた一戦となったが、序盤は両者に緊張が見られ動きが硬い。接戦の末第1ゲームを落として迎えた第2ゲーム、緒方はサーブレシーブで主導権を握る。フォア前への逆回転サーブを主体に攻撃組み立て、張本のレシーブが甘くなったところを3球目攻撃で得点する。張本のサーブに対してはチキータレシーブで攻め立て、このセットを11-9で奪い試合を五分五分に戻した。しかし、第3セット以降、台の近くでの相手の素早い攻撃により緒方は台から下げられてしまう苦しい展開となり、張本の雄叫びが会場中に響き渡る。最後までピッチの早いラリーに対応することができず、ゲームスコア1-4で敗れ、5回戦で姿を消した。敗れはしたが、サーブレシーブやバック対バックの強さなど、緒方の持ち味を存分に発揮した試合だった。


張本(手前)に立ち向かった緒方

 田中・加藤結組の5回戦の相手は全日本での優勝経験のある強豪ペア。なんとか食らいついていきたい田中・加藤結組であったが、試合は一方的な展開となってしまう。加藤結が攻めて返球が甘くなったところを田中が仕留める、という形に持っていきたいところであったが、逆に相手にラリーで厳しいコースを突かれ、左右に振り回されてしまった。実業団ペアに完敗し、ベスト16という結果でコートを去った田中・加藤結組。目標としてきたランク入りには届かず、この結果に決して満足することはできないかもしれないが、ペア結成から約1年間の練習の成果を全日本の大舞台で出し切ったという事実は胸を張れるものであろう。


ランク入りは逃したがベスト16進出と健闘した田中・加藤結組

 この日で早大勢の全日本は閉幕した。数々のドラマが生まれる全日本という舞台で実力を出し切ることができた選手もいれば、自分の卓球をできないまま終わってしまった選手もいるだろう。選手たちはこの大舞台で得た収穫や課題を全て吸収して、3月の東京選手権、そして来年度の大会へとつなげていってくれるだろう。

(記事、写真 吉田寛人)

結果

▽男子シングルス

5回戦

◯上村4―2上田(協和発酵キリン)

●緒方1―4張本(JOCエリートアカデミー)

6回戦

●上村1―4大島(木下グループ)

▽女子ダブルス

5回戦

●田中・加藤結組0―3大矢・天野組(サンリツ)

コメント

上村慶哉(スポ4=福岡・希望が丘)

――全日本という大舞台での大島選手との対戦は率直にいかがでしたか

やはり意識する部分はありましたし、勝ちたかったですね。

――手の内を知り尽くしている相手だと思うのですが、対策は立てて入ったのでしょうか

いつも同じような展開で負けてしまうので、自分からもっと攻めていきたかったんですけど、なかなか甘いボールがこなくて攻めることができず、何もできないまま負けてしまいたね。

――フォア前への逆回転サーブが多かったですが、何か狙いはあったのでしょうか

初戦からここまで勝ち上がってくることができたのも、あのサーブがよく効いていたからっていうのもあったんですけど、大島選手のようにうまく処理されてしまうとなかなか展開が生まれないので、もっともっと色々な技術を身に付けていかないといけないですね。

――大島選手に成長した部分を見せることはできたでしょうか

いや、まだまだですね、全然見せられてないです。(笑)

――早大の選手として最後の全日本が終わりました

ここまでいいプレーができていただけに最後何もできないまま終わってしまったのが悔しいですけれど、この結果に満足することなくレベルアップしていきたいと思います。

――最後の大会となる東京選手権に向けて意気込みをお願いします

1年生の頃からワセダですごく成長させてもらったので、最後良い結果を残して恩返しができるように頑張りたいと思います。