専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第186回 ゴルフにおいて、メンバーとビジターはどっちが得か、という話です。 もちろん、金銭面だけを考えれば、ビジターが得なのは自明の理です。とはいえ、トータルで見た場合、コー…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第186回

 ゴルフにおいて、メンバーとビジターはどっちが得か、という話です。

 もちろん、金銭面だけを考えれば、ビジターが得なのは自明の理です。とはいえ、トータルで見た場合、コースのステイタスや、そこで知り合う仲間、さらに接待で使ったり、競技に出たりといったことを踏まえれば、メンバーライフを通じて得るものは計り知れません。

 何にしても、ゴルフを趣味と捉えれば、大人の道楽として、それはなかなか面白いものです。健康にもいいですし、先に触れた細かい分野も加味して、ビジターとメンバーライフ、どっちが得か、大胆に切ってみたいと思います。

(1)プレー料金
 まず、全国的なプレー料金を比較してみます。平日のメンバーフィーとビジター料金は、大差ありません。

 ただし、東京や神奈川など大都市近郊の名門コースは、メンバー料金が1万円程度なのに、ビジター料金は土日で3万円台、平日でも2万円ぐらいします。だから、都心に近い名門コースのメンバーは、1年を通じてビジターより得です。

 けど、その前に会員権を得るために1000万円近く払っているわけですから、なんとも言えません。30年ぐらい長い目で見て、何百回も安くラウンドすれば、メンバーもさほど損はないかと思いますが、短期的な視点では、断然ビジター優位です。

 都心から遠隔地にあるコースのプレー料金は、平日で5000円前後が相場。ですから、これはメンバー料金とどっこいの金額。むしろ、ビジターにはランチパックがついていることが多く、割安の場合もあります。

 しかも、郊外のコースの多くは、ビジターが予約サイトから容易にリクエスト予約できますから、メンバーとビジターの垣根はほとんどないと言っていいでしょう。もしメンバーさんが優位性を保ちたいなら、ビジターのプレー料金が高い、毎週土日にラウンドすることでしょうか。

(2)予約
 俗に言う名門コースは、よっぽどのコネやイベントがない限り、ビジターでの予約はできません。そこは、メンバー有利です。

 ビジターがプレーする抜け道としては、名門コースで開催されるコンペに呼ばれればいいのです。あとは、メンバーの友だちを探す、あるいはオープンコンペを見つける、はたまた定休日などのビジターセルフプレー開放デーや、地域開放デーに参加するなど、”隙間”を狙えば、名門コースでラウンドできます。

 厳密に言えば、平日でもメンバー同伴を義務づけているコースは、軽井沢ゴルフ倶楽部や、関西の名門・廣野ゴルフ倶楽部など、数えるほどしかありません。

 神奈川にある超名門コースでは、クレジット会社の某プラチナカードを使って予約するビジター客は、例外的にラウンドを認めることを理事会で決定しています。

 食事と合わせると、平日でもプレー代は4万円くらいします。1組4人で16万円ほどの売り上げ。これは、クラブ運営にとって大きな収入になります。わざわざそれだけ支払ってプレーしてくれるなら、「どうぞ、いらしてください」とプレー可能にしたそうです。

 結局、1回ラウンドしてみたい方は、コネを使えばいいのです。それでもし、その名門コースの雰囲気や運営、メンバーの質を気に入れば、大枚をはたいてメンバーになればいいのです。

 予約なしでふらっと行っても、我が家のような扱いを受けて、コースにいるみんなが優しい。それが、メンバーの魅力ですかね。

(3)ビジターのメリット
 ビジターとしてのメリットは、たくさんあります。

 まず、日本の9割5分ぐらいのコースは、予約サイトを使えばプレーできます。ひとつのコースにとらわれず、万遍なく、さまざまなコースを楽しみたい人にはオススメです。

 余計な維持費、年会費などもないので、コスト的には割安で済むでしょう。単に、いろいろなところでゴルフをしたいなら、ビジターライフが最高です。

(4)メンバーライフのメリット
 メンバーは、単に”会員になった”というだけでなく、目に見えないいろんなメリットがあります。

 わかりやすい例を挙げると、クラブ競技に参加できます。クラブチャンピオン選手権はスクラッチ競技ですが、ハンデ戦の月例競技や理事長杯もありますから、さほどうまくなくても、クラブ競技は十分楽しいのです。

 おそらく、各々のクラブのメンバーは、年収や社会的地位が似ている人が多いと思います。そういう人たちと、ハンデをいただきながら切磋琢磨することによって、そこで親友に出会えることもあるかもしれません。

 私も千葉の2つのコースでメンバーライフを経験しましたが、8割はいい人に出会って、楽しい思いをさせていただきました。残り2割は、「なんだコイツ? 上から目線で言ってきやがって」という、ちょっとムカつくヤツもいましたかね……。

 結局、メンバーライフというのは、お互いの地位やポジションをマウンティングする場所ですから、全員が下手に出てくるとは限らないのです。最初から「ようやく、あなたもメンバーになれましたね」と、上目線で語ってくる重鎮もいます。



メンバーになれば、いろいろな方との出会いがありますが...

 昔、銀座のクラブに、ホステスになる前に知り合っていた可愛い子がいたのですが、再三呼び出しにあって、しぶしぶクラブに行ってみると、「ようやく、あなたもこういう高いお店に来られるようになったわね」と言われて、ギャフンですよ。別にこっちは、ただ金をふんだくるだけの店に来て、「うれしくないわい」と思いましたけど。

(5)クルマとゴルフ
 この2つはとっても似ているし、セットじゃないか、と思えるフシがあります。

 つまり、「高級自家用車を持つ生活とレンタカーライフのどっちが得か?」という命題は、「メンバーとビジター、どっちが得か?」に、そのまま当てはまるのです。

 前者の答えは、経済的観念だけで言えば、レンタカーライフのほうが断然得です。毎日乗る人は別ですけど。

 要するに、ゴルフ会員権も、高級自家用車も、見栄やステイタスの部分が非常にあるんじゃないかと。

 そうなると、”セット販売”としては、でっかいドイツの高級車に乗ってクラブハウスに横づけし、これみよがしに目の前のメンバー専用駐車場にそれを置く――これが、圧力強めの方のメンバーライフです。

“ドイツ高級車無双”です。もしこれを凌駕したいなら、運転手付きのハイヤーを頼むしかないです。

(6)時代の流れ
 ゴルフ人口減少、少子化の流れで言えば、多くの会員制ゴルフ場はセミパブリック化していますから、ビジター生活で十分に楽しく過ごせます。

 結局、メンバーというのは、ホテルや高級レストランの常連さん、そういう人がなるのだと思います。個人的には、誰にも構われたくないので、ファミレスや回転寿司で食事をしたほうが気を使わなくていいです。

 一方で、高級シティホテルのエントランスに入るとき、「いらっしゃいませ、○○様」と、名前で呼ばれるのがすごく好きな方もいます。そんな方にこそ、名門コースのメンバーライフはぴったりなんでしょうね。