「いつも準備はしていますが、まだ自信はないです」岡田侑大がシーホース三河に加入して1カ月半が経過した。まだプレータイムは短く、勝敗が決まった後でコートに入ることがほとんどだが、それでもシーズン途中の20歳に継続的にチャンスを与えているのだか…

「いつも準備はしていますが、まだ自信はないです」

岡田侑大がシーホース三河に加入して1カ月半が経過した。まだプレータイムは短く、勝敗が決まった後でコートに入ることがほとんどだが、それでもシーズン途中の20歳に継続的にチャンスを与えているのだから、彼に対するクラブの期待は決して小さくないはず。

それでも2018年のうちにBリーグで9試合、天皇杯3次ラウンドでも2試合に出場。三河のユニフォーム姿にも違和感がなくなりつつある。それでも岡田は「途中から出ることにまだ慣れないです。ずっとスタートから入っていたので、出る試合と出ない試合があって、点差が離れた時しかまだプレータイムはもらえません。いつも準備はしていますが、まだ自信はないです」

岡田が感じる『プロの壁』は大きく2つ。大学時代から決して得意だったわけではないディフェンスと、もう一つはフィジカルだ。より大きな課題は後者。ドライブを得意とする岡田はフィジカルを求められない外だけでプレーするわけにはいかない。「今日もドライブに行ったんですけど、1回当たるだけで身体の軸がブレてしまってシュートまで持っていけませんでした。外国籍選手がいるので大学とは違って簡単にはゴール下でプレーさせてもらえません。そこは驚くぐらい壁が大きいと思いました」

インサイドで相手と渡り合うためにウエイトトレーニングも行っているが、「当たり方の技術もあり、筋肉がすべてというわけじゃないです。自分のプレースタイル的には避けてプレーしたりするので、そこにパワーが加わればもっと楽にやれると思います」と、単なるフィジカル勝負を挑むつもりはない。そこはBリーグ仕様へとアジャストの途中、といったところだ。

「みんな年上、遠慮していたらいつまでもベンチ」

三河の鈴木貴美一ヘッドコーチも岡田の課題についてフィジカルを挙げるが、「当たりに負けないようになれば必ず戦力になります。点を取るポテンシャルというのは金丸と同じぐらいある」と期待を隠さない。「あとはどうやって経験していくか。もちろん練習でも経験させているし、チャンスがあれば試合でもできるだけ使おうとしています」

岡田はディフェンスとフィジカルという課題に取り組んでいるが、三河のバスケットへの理解を深めるのも大事なポイント。指揮官はその才能と若さを評価し、できる限りコートに立たせて経験を積ませるつもりだが、常勝を義務付けられたチームで若手を育てるのは決して簡単ではない。鈴木ヘッドコーチは語り口こそ温和だが、勝負師としての厳しさを誰よりも持ち合わせている。若いから、将来有望だからという理由だけでチャンスを与えることはない。岡田としては『今の自分に何ができるか』を常にアピールし、結果で示していく必要がある。

その鈴木ヘッドコーチが岡田を評価する理由は『ハートの強さ』だ。「ビビりません。練習中でも先輩にやられてやり返すようなところがあります。今日も『オレを出せ』という顔をしていて、それで私も使ったんです」

これについて岡田は「喰らわされたら僕はやり返してしまうタイプ。そこに年齢は関係ないと思いますし、みんな年上ばかりなので遠慮していたらいつまでたってもベンチなので、コートの中では先輩後輩関係なくプレーしています」

「今は点数が離れたところでしか出れていないので、初めはゲームのまだ競っている時に使われる選手になって、ゆくゆくはスタートで出るプレーヤーになりたいです。金丸さんというポイントゲッターの良い見本もいますし、一つひとつの練習で学んでいきたいです」

指揮官の期待「本当に面白い選手になります」

その『ゆくゆく』の感覚は人それぞれ。だが、岡田は待てないからBリーグにやって来た男だ。まだ20歳であっても、何年も先を見据える悠長さはない。「数年と言ったら数十年になっちゃうかもしれないので、今シーズン中でスタメンを目指していきたいです」

一方、先のことまで見据えるのは鈴木ヘッドコーチだった。「オフシーズンは海外に行かせて現地のコーチに預けます。向こうの選手とゲームをしたりワークアウトしたりを徹底的に。いろんなスキルを上げていけば本当に面白い選手になります」

厳しい環境ではあるが、これこそが岡田が求めて飛び込んできた環境でもある。伸び盛りの20歳は刺激的な日々の中で得難い経験を積んでいるはず。「今シーズン中にスタメンを」という誓いが果たせるかどうかも含め、Bリーグでの岡田の成長ぶりに注目したい。