今年の早大の特徴として挙げられるのが、中間層の厚さだろう。「(練習で)トップの選手と最後の選手の差が少なかった」と駒野亮太長距離コーチ(平20教卒=東京・早実)が語るように、例年以上に底上げがなされている。その力を発揮できるのがこの復路。…

 今年の早大の特徴として挙げられるのが、中間層の厚さだろう。「(練習で)トップの選手と最後の選手の差が少なかった」と駒野亮太長距離コーチ(平20教卒=東京・早実)が語るように、例年以上に底上げがなされている。その力を発揮できるのがこの復路。昨年、10区で谷口耕一郎氏(平30スポ卒)が劇的な展開を見せたように、今年も最後の最後まで諦めずに走り切り『総合3位以内』を達成してほしい。

 6区には渕田拓臣(スポ2=京都・桂)がエントリーされた。昨年も同区間に出走しており、60分29秒の区間11位だった。これは下りのスピードが速かったものの、最後の3キロの平地で足が止まった結果だ。ただ、今年に関しては立川ハーフマラソンへの出走など、20キロに対する経験は昨年より豊富だ。目標は58分台。区間上位で復路最高のスタートを切りたい。他大学には小野田勇次(青学大)ら経験者がそろう。57分台が飛び出すか注目が集まる。続く7区には真柄光佑(スポ3=埼玉・西武学園文理)が満を持して箱根デビューか。関東学生対校選手権(関カレ)のハーフマラソン入賞や上尾シティマラソンの63分台など、20キロの距離を得意とする選手だ。これまでケガが多く駅伝への出場機会を逃してきた真柄だが、今回は「集中練習はほとんど完璧にこなすことができていて上尾ハーフの時よりも調子はいい」と自信をのぞかせる。大一番へのピーキング能力も高く、自信が目標とする区間賞も期待ができる。昨年は青学大の林杢介が7区で区間賞を獲得し、青学大の総合優勝を決定的なものにした。早大もこの7区で流れを掴むことが重要だ。


2年連続の下りとなった渕田

 8区には太田直希(スポ1=静岡・浜松日体)が出走予定だ。太田直はルーキーにして出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)、全日本大学駅伝対校選手権(全日本)と出場。どちらも凡走となり、力が十分発揮できず。箱根こそは区間3位以内の走りでチームに貢献なるか。太田直はロードを得意としており、特に一定のペースで刻むことを得意とする。8区は最後に登りがあるタフなコース。ルーキーにしてこのコースを攻略できるか期待したい。9区には新迫志希(スポ3=広島・世羅)が配置された。これまで駅伝経験は豊富だが『20キロの距離』である箱根だけは出走が無かった。ただ、先日の上尾シティマラソンにて64分3秒でハーフマラソンを走破。3年目にして『20キロの距離』への対応ができており、初の箱根へ準備万端だ。昨年、この9区で清水歓太駅伝主将(スポ4=群馬・中央中教校)が区間賞を獲得し早大反撃の糸口となった。序盤の下りでリズムを作り攻めの走りができれば、今年もチームに与える影響が大きいだろう。そして最終10区には宍倉健浩(スポ2=東京・早実)が登録された。宍倉は昨年の箱根前からケガが続き、夏すぎまで練習が積めず。ただ、走り始めてからすぐに調子を戻すと、11月上旬の全日本では2区に抜てきされた。そこでは準備不足から区間12位に沈んだが、箱根に向けては「しっかりと準備ができた自信がある」と語る。10区は勝負が決まるため、最後のスパートに強い選手が選出されることも多い。例にもれず宍倉はスピードが自慢の選手だ。『総合3位以内』で大歓声の大手町に飛び込めるか注目だ。


新迫はついに箱根デビューとなる

 また、補欠には小澤直人(スポ4=滋賀・草津東)が控える。小澤は度重なるケガに3年間苦しめられてきた。ただ、ここにきて練習が積めており、最初にして最後の箱根に懸ける思いは強い。昨年は6区のリザーブだった小澤。今年はハーフマラソンの経験も積んでいることから、どの区間に配置されても戦える準備ができている。小澤は出走し早大伝統の『4年生の意地』を見せられるだろうか。
 早大は間違いなく逆境にいる。箱根では目標の『総合3位以内』はおろかシード権も危ないという声もある。それでも、最後の箱根だけは譲れない。「本番でドカンと覆したい」と清水歓太駅伝主将(スポ4=群馬・中央中教校)は決意を固める。下馬評を覆し、『総合3位以内』で大手町へゴールできるか。悔し涙から、嬉し涙、そして笑顔へ。早大復活の花を添えて2018年度長距離ブロックを終えてほしい。

(記事 平松史帆、写真 望月優樹、藤岡小雪)

直前インタビュー

前半で流れを掴めるか、箱根駅伝展望<往路編>/第95回東京箱根間往復大学駅伝(1/1)

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