2019年1月6日からNHKで放送される『いだてん~東京オリムピック噺~』の初回放送を前に、学生向けのイベントが開催された。物語の主人公・金栗四三を演じる中村勘九郎さんや演出を担当する井上剛監督とのトークセッションや、実際に撮影が行われて…

 2019年1月6日からNHKで放送される『いだてん~東京オリムピック噺~』の初回放送を前に、学生向けのイベントが開催された。物語の主人公・金栗四三を演じる中村勘九郎さんや演出を担当する井上剛監督とのトークセッションや、実際に撮影が行われているセットの見学など、普段は知ることができない大河ドラマ制作現場の貴重な舞台裏をたっぷり見せていただいた。今回は、ドラマの見どころについて紹介する。

  今回の大河ドラマは明治末期から昭和にかけたオリンピックにまつわる激動の時代を映像化した作品となっている。近現代を描いた大河ドラマは1986年に放映された『いのち』以来、実に33年ぶり。物語はまず、日本で初めてオリンピックに参加した男・金栗四三を中心に描かれる。東京高等師範学校(現・筑波大学)に在籍し長距離を専門とする学生の金栗は、ストックホルムオリンピックに向けた予選会に出場。当時の世界記録を27分縮める大記録をたたき出し、短距離ランナーの三島弥彦とともにオリンピック出場が決定する。1912年に開催されたこのストックホルムオリンピックの場面を忠実に再現するため、ことしの8月から約3週間にわたってスウェーデンでのロケを行った。106年前に実際に使用されたスタジアムで撮影されたシーンは大きな見どころの1つである。主人公の金栗を演じた中村勘九郎さんは「106年前のスタジアムが残っているなんて本当にすごい。金栗さんと同じ景色を見ていると思うと、すごく不思議な気持ち。特に生田(斗真)くん演じる三島さんが走っているシーンを見ているときは涙が出そうになるほど感動した」と当時への思いを馳せた。


ポスターの前で記念撮影に応じる中村勘九郎さん

  金栗は日本初のオリンピック選手としてはもちろん、1920年から始まった東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の開催に尽力した人物としてもよく知られている。2004年以降、箱根駅伝での最優秀選手には「金栗四三杯」が毎年授与され、昨年は青学大の林奎介が受賞している。箱根駅伝を毎年必ずテレビで観戦しているという中村勘九郎さんは「今、設楽悠太選手(Honda)や大迫傑選手(平25スポ卒=長野・佐久長聖)など、過去に箱根駅伝に出場された選手が本当にオリンピックに近いところまで来ている。オリンピック出場に向けた予選会にしたいという目的でこの箱根駅伝を作った金栗さんがもし今のこの状況を知ったら、本当に喜んでいることだろうと思う」と金栗の思いを熱心に伝えた。また、金栗を演じたことによって、箱根駅伝への思いもさらに強くなったという。

 2019年ラグビーワールドカップ、そして2020年に開催される東京オリンピックも迫ってきた。多くの人々が、実際に会場へ足を運んで選手を応援したいと思っているのではないだろうか。実は、日本で「応援」という文化が生まれたのもまさに箱根駅伝だと言われている(諸説あり)。ひたむきに走る選手を応援しようとする人々で埋め尽くされた沿道は今も箱根駅伝の名物だ。数多くの失敗を繰り返しながらも真っ直ぐに人生を走り続ける金栗は、「応援せずにはいられない」実に魅力的なキャラクターとして描かれている。東京オリンピック招致へと尽力する田畑政治もまた、このドラマのもう一人の主人公である。初回は2019年1月6日、夜8時から放送される。金栗と共に熱く、真っ直ぐに2019年のスタートを切ってはいかがだろうか。

(レポート 松谷果林)

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