箱根駅伝・全チーム戦力分析【予選会下位+α編】「シード校編」「予選会上位編」に続き、最後の全チーム戦力分析となる第3弾は、予選会7位~11位、関東インカレ成績枠、関東学生連合の7チームを紹介。今回の箱根は5年に1度の”記念大…

箱根駅伝・全チーム戦力分析【予選会下位+α編】

「シード校編」「予選会上位編」に続き、最後の全チーム戦力分析となる第3弾は、予選会7位~11位、関東インカレ成績枠、関東学生連合の7チームを紹介。今回の箱根は5年に1度の”記念大会” になるため、出場枠が2校増えた。上位チームを脅かす活躍を期待したい各校の戦力をチェックしていこう。

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※紹介は予選会の結果順



前回3区を走った4年の川澄克弥 photo by Matsuo/AFLO SPORT

大東文化大学

「山の大東」パワーで勝負は往路重視

 今季は6年ぶりに全日本の出場を逃して、予選会も7位通過と勢いがない。登録選手上位10人の平均タイムもダウンしているが、「往路重視」のオーダーで勝負に出る。

 1万m28分台トリオの新井康平(4年)、川澄克弥(3年)、奈良凌介(3年)を1区、2区、4区に配置するオーダーが有力。5区は同区間で4年連続区間賞の偉業を達成した大久保初男を父に持つ、大久保陸人(4年)が候補に挙がる。前回は直前の故障に泣いたが、「山の大東」のDNAを引き継ぐ”ジュニア”が最初で最後の箱根でどんな走りを見せるのか。

 前回は主力の故障が相次いだこともあって16位に沈んだが、主力の穴を埋めた選手のうち8人が残っているのも強み。狙いどおり5区で急浮上することができれば、4年ぶりのシード権が見えてくるだろう。



予選会で個人6位に入った4年の堀尾謙介 photo by Nishimura Naoki/AFLO SPORT

中央大学

Wエースで加速して7年ぶりのシードへ

 前々回で連続出場が「87」で途切れるも、すぐに復帰して前回は15位。往路10位と健闘したメンバーが9人残っている。

 古豪をけん引するのは、堀尾謙介(4年)と中山顕 (4年)だ。堀尾は予選会で個人6位(1時間1分57秒)に食い込むと、11月の日体大長距離競技会5000mで今季学生最高の13分33秒51をマーク。中山は上尾ハーフで1時間1分32秒の日本人トップを飾り、堀尾が保持していた中大記録を塗り替えている。

 2区は前回(8位)も経験している堀尾が有力で、中山は1区か3区に入る見込み。4年生コンビの活躍で前半は上位につけることができそうだ。5区は前回10位の畝拓夢(2年)が準備しており、7年ぶりのシード獲得には舟津彰馬(3年)の活躍も欠かせない。



往路の主要区間が濃厚な4年の住吉秀昭 photo by Tamura Sho/AFLO SPORT

国士舘大学

住吉&ヴィンセントがハマれば上位進出も

 前々回は最下位、前回は19位で、予選会を突破しても厳しい戦いが続いているが、今回はレースを盛り上げそうだ。

 上尾ハーフでライモイ・ヴィンセント(1年)が1時間1分19秒でトップを飾ると、住吉秀昭(4年)も1万m記録挑戦会で28分32秒56をマーク。2区が濃厚なヴィンセントは爆発力十分。日本人エースは1区か3区に配置する見込みで、ふたりの快走がハマれば、上位争いを演じてもおかしくないだろう。

“山”も前回5区13位の鼡田章宏(3年)、 同6区12位の高田直也(4年)が残っており、不安は少ない。7人がエントリーされた4年生を中心に、その他の区間を堅実につなぐことができれば、目標の「15位以内」は十分にクリアできる。



4年連続の2区が濃厚な4年のドミニク・ニャイロ photo by Nishimura Naoki/AFLO SPORT

山梨学院大学

過去ワーストから這い上がれるか

 2度の途中棄権を除けば、前回(18位)が過去最低順位。予選会の10位通過もワーストだった。危機的状況ではあるが、ドミニク・ニャイロ(4年)と日本人エース・永戸聖(4年)の存在が大きい。

 4年連続の2区が濃厚なニャイロは、前回1位タイ。1区永戸が17位と出遅れたものの、4位まで順位を押し上げている。1区は7年連続で2ケタ順位と大苦戦しており、その呪縛を主将・永戸で解き放ちたい。1区で好発進できれば、2区でトップ争いも十分可能だ。

 その勢いを、中距離ランナーから主力に成長した清水鐘平(4年)らで引き継ぎたい。前回は体調不良で欠場した久保和馬(4年)が念願の5区で活躍できれば、過去ワーストから這い上がり、3年ぶりのシード権に届くだろう。



予選会チームトップの4年・太田黒卓 photo by Nishimura Naoki/AFLO SPORT

上武大学

初出場から連続出場。”山”で攻める

 前回は最下位で、予選会もギリギリの11位通過。初出場からの連続出場は保ったが、厳しい戦いが予想される。

 1万m28分台がいない唯一の出場校だけに、高速レースに食らいつくには序盤の出来がポイントになるだろう。予選会チームトップの太田黒卓(4年)は2年連続の2区が濃厚で、同2位の熊倉優介(4年)、関東インカレ2部ハーフ4位の大森樹(4年)も往路の候補に挙がる。前回6区の鴨川源太(3年)と同5区14位の関稜汰(4年)が上尾ハーフで自己新をマークしており、”山”が攻撃区間になるかもしれない。

 目標は過去最高順位(14位)の更新で、「全区間で10位の走り」を目指している。まずは1区でノルマを達成して、”最下位”からの反撃に期待したい。



2017年の箱根で2区を走った4年のパトリック・マゼンゲ・ワンブィ photo by Nishimura Naoki/AFLO SPORT

日本大学

大砲・ワンブィの貯金を生かしてシード権獲得を

 関東インカレ成績枠(直近5年間における関東インカレの総合ポイントが多い大学)で2年ぶりの出場。全日本は1区横山徹(2年)で6位につけると、一時は16位まで転落しながら、終盤追い上げて10位に入った。

 注目はケニア人留学生のパトリック・マゼンゲ・ワンブィ(4年)で、全日本7区で青学大・森田歩希(4年)を1分15秒も上回った爆発力を誇る。2区が有力なワンブィで一気に順位を上げることができるだろう。

 往路は全日本1区を好走した横山、前回関東学生連合10区を区間6位相当で走っている阿部涼(3年)、全国高校駅伝1区3位の実績を持つ北野太翔(1年)が候補。1万mでチーム日本人最速タイムを持つ主将・加藤拓海(4年)は復路での出走が予想されている。”大砲”の貯金を守って、シード圏内に踏みとどまりたい。



「東大生ランナー」として注目される4年の近藤秀一 photo by Matsuo/AFLO SPORT

関東学生連合チーム

1区を希望する”東大生ランナー”に注目

 予選会上位10人の合計タイムは4位通過相当。5000m13分台、1万m28分台がおらず、 主要区間は苦戦が予想される。

 その中で目玉となるのは、予選会を1時間3分44秒(47位)で走った東大・近藤秀一(4年)だ。前回は直前のインフルエンザで欠場。4度目の選出にして悲願の時を迎えることになる。本人は1区を希望しており、チームに勢いをもたらすことができるのか。

 1万m記録挑戦会で自己ベストを出した駿河台・西沢晃佑(4年)と麗澤大・国川恭朗(3年)は往路の候補で、予選会チーム最上位(31 位)の亜細亜大・米井翔也(4年)は復路にまわる見込み。明治学大・鈴木陸(4年)と上智大・外山正一郎(4年)が出走すれば、 それぞれ大学として初の箱根駅伝出場になる。 順位のつかないオープン参加だが、選手たちの熱気は高まっている。