ロシアW杯が終わり、日本代表の顔ぶれも様変わりした。一方で海外組の分布も、ドイツ1部が7人なのに対してベルギー1部に8人と、だいぶ変わりつつある。ブンデスリーガのレベルに達してはいなくても、国外でプレーしたいという選手が希望を叶える方…
ロシアW杯が終わり、日本代表の顔ぶれも様変わりした。一方で海外組の分布も、ドイツ1部が7人なのに対してベルギー1部に8人と、だいぶ変わりつつある。ブンデスリーガのレベルに達してはいなくても、国外でプレーしたいという選手が希望を叶える方法、選択肢が増えたということだろうか。そしてドイツ組にしても、かつてのような華々しい活躍は残念ながら見られなかった2018-19シーズンの前半戦。日本人選手のプレーぶりをあらためて振り返ってみたい(採点は10点満点で平均は5.5)。
ブレーメンにとって、なくてはならない存在となった大迫勇也
香川真司(ドルトムント/1位) 4.5
所属するドルトムントは、バイエルンの7連覇阻止に向けて首位の座をキープしている。第17節まで終えた時点で勝ち点は42と、バイエルンを6点上回っている。ルシアン・ファブレ監督の就任、若手の台頭、マルコ・ロイスやマリオ・ゲッツェの復活と、ポジティブな話題に事欠かない半年だった。
だが、香川は出場機会を失った。リーグ戦出場はわずかに2試合。当初、ドイツメディアは「ファブレ体制の被害者」と同情的だったが、11月のスペイン移籍希望発言で、どこかしらけたムードが漂う。スペインに関して言えば、帰国時の発言などからすると、おそらく決定している話はないのだろう。ただただ「有言実行」のために言葉にしているのではないか。
ツヴァイテ(2軍)の試合などには出場しており、コンディションそのものは悪くないようだが、アシストこそあれ、得点がないのが気になるところ。「自我を強調したい」と、独特の表現をしている香川のポジションであれば、まずは得点が必要になる。何よりも移籍先を決めることではないか。たとえスペインが叶わなくても、ドイツ国内に香川を必要とするクラブはでいくらでもあるだろう。年齢的にもまだ十分に活躍できるはずだ。
長谷部誠(フランクフルト/6位) 6.5
ニコ・コバチ前監督がバイエルンに移ってアディ・ヒュッター体制になったチームは、開幕当初こそ不安定だったが、徐々に調子を上げて5位で折り返した。予想外の好調を支えたのは長谷部だった。
W杯が終わって闘争心を失った時期もあったが、ポジションを失ったことで火がつき、ヨーロッパリーグ(EL)のマルセイユ戦から16試合連続フル出場。フランクフルトは開幕当初、4バックを試したが、結局は3バックに変更し、長谷部を最終ラインに使うことで安定した。代表引退でクラブに集中できることがポジティブに作用したのだろう。
12月13日のELラツィオ戦で負傷したのは、消化試合だけにもったいなかった。後半戦のフランクフルトのカギを握るのは、長谷部の回復具合かもしれない。
大迫勇也(ブレーメン/10位) 6
目標のシーズン二桁得点を達成するには、前半で5得点しなくてはならない計算だが、現状は3得点と少々物足りない。だが、新しいチームで機能しているのは間違いない。相手によって戦術やシステムを変更するフロリアン・コーフェルト監督にとって、攻撃的MFとFWのすべてのポジションをこなす大迫は、頼りになる存在だろう。
大迫自身もケルン時代は「フォワードでないと……」と漏らすことがしばしばだったが、「ここのチームならサイドも楽しい」と言う。なかでも第13節バイエルン戦の得点は印象的だった。アジアカップ出場で不在になるのは、チームにとって大きな痛手となるはずだ。
宇佐美貴史(フォルトゥナ・デュッセルドルフ/14位) 5.5
1部に昇格したチームが降格の筆頭候補にされたのは、前回昇格時にやはり1年で降格しているから。前半戦を終えて14位というのは健闘していると言っていい。宇佐美はたっての希望でデュッセルドルフに残留したが、序盤は戦力として計算の立つ存在とはみなされていなかった。
だが、第10節を過ぎたころから、コンスタントな活躍が見られるようになった。ヘルタ・ベルリン戦で1得点1アシストを記録し、バイエルン戦も70分まで出場。さらにドルトムント戦では1アシストを挙げ、首位チームに今期初黒星をつけたのに大きく貢献した。宇佐美の場合、アジアカップに招集されていないのはむしろポジティブなことだろう。単発の活躍ではなく、安定したプレーを見せてこそ評価に値する。
原口元気(ハノーファー/17位) 5
チームはまさかの17位で折り返すことになった。アンドレ・ブライテンライター監督の交代が噂されたり、マルティン・キント会長が「それは今のテーマではない」と否定したり、周囲の動きは忙しい。
原口自身に関しては、シーズンイン直前の不運なケガもあったが、10番を背負う選手としては物足りないと言わざるを得ない。14試合出場のうちフル出場は7回、無得点。左MFでプレーするが、「チームを助ける」と本人も言うように、得点に絡んだプレーが求められる。ここで求められているのは守備に奔走する原口ではない。あくまで結果を出すこと。原口の活躍はチームの浮上に直結するはずだ。
浅野拓磨(ハノーファー/17位) 5
原口と同様、今季から新加入したが、ケガの影響が大きく、7試合出場にとどまっている。味方からのロングボールに抜け出すスピードは、ハマれば大きな武器になるはずだが、そんなシーンは数えるほどだった。結局、ケガによってアジアカップ出場も辞退することに。体調を整えて本来のパフォーマンスを取り戻したいところだ。
久保裕也(ニュルンベルク/18位) 5
昨季、ベルギーのヘントで30試合出場7得点という結果を出し、大きな期待をかけられて入団した。第4節までは連続でフル出場していたが、その後、フル出場はなし。結局、11試合出場にとどまっている。負傷の影響と見るむきもあれば、アンドレアス・ボルネマンSDの「久保は不調」というコメントを引用するメディアもあり、情報は錯綜している。
ひとつ間違いないのは、シーズン前の期待感が今は薄れ始めているということ。ウィンターブレイクを機に仕切り直して、ブンデスで通用する姿を見せてほしいものだ。
いずれにせよ年が明ければ、冬のマーケットで香川がどこへ移籍するかが最注目になる。ドイツメディアの関心も高い。リーグ戦は1月18日に再開。各チームはどのような体制で後半戦を戦うのだろうか。