1回戦、2回戦と劇的勝利でここまで勝ち上がってきた早大。16年ぶりのベスト4を懸けて全日本大学選手権(インカレ)の準々決勝に臨んだ。この日の相手は日大。関東大学リーグ戦(リーグ戦)では7位と、8位の早大と順位は変わらないが、2周目での対…

  1回戦、2回戦と劇的勝利でここまで勝ち上がってきた早大。16年ぶりのベスト4を懸けて全日本大学選手権(インカレ)の準々決勝に臨んだ。この日の相手は日大。関東大学リーグ戦(リーグ戦)では7位と、8位の早大と順位は変わらないが、2周目での対戦は41点差をつけられる惨敗を喫した苦い記憶が残る。第3クオーター(Q)終了時点ではわずか2点差と一進一退の攻防を見せたが、第4Qに大きく離された。83-68で敗北し、日本一への夢はここで絶たれることとなった。

 第1Qから両者一歩も譲らない試合展開となる。まずは日大が得意とするスリーポイントシュートで加点していく。すると早大もC宮本一樹(スポ1=神奈川・桐光学園)が、負けじと2本連続でスリーポイントを沈める。リーグ戦では自信の実力を発揮できなかった宮本はインカレという大舞台で、見事にキーマンとしての役割を果たしている。日大のハードな守りに苦戦するも、F桑田裕平(商3=京都・洛南)のディフェンスリバウンドなどで奮闘する早大。日大に流れは握らせない。続く第2Qもシーソーゲームとなる。日大はエース杉本天昇が覚醒の兆しを見せるも、アウトサイドシュートはまだ爆発しない。一方の早大もエースであるG長谷川暢副将が、強気のプレーでチームを鼓舞する。一時は点差を離されるも、「自分たちのバスケットを徹底してやろうという声掛けがあった」(G森定隼吾、商4=岡山・倉敷青陵)というようにもう一度気を引き締め、相手に食らいついていく。C小室悠太郎(社2=石川・北陸学院)が内外問わない活躍で再び僅差へと持ち込む。37-41とわずかな差で前半を終えた。


インカレでの好調を維持する宮本

  続く後半も小室が留学生への体を張った守りやスリーポイントで奮闘する。しかし、強力なシューター軍団に対する激しいシュートチェックがファウルとなりチームファウルとなってしまう。それでもインカレの早大はリーグ戦での早大と、一味違う。リードは奪われながらも、点差を保ったまま勝負の行方は第4Qへ。ここで再び日大のプレッシャーディフェンスに苦戦する。さらには、4年生の4点プレーで一気に波に乗った日大に試合の主導権を握られてしまう。F濱田健太主将(社4=福岡第一)がスリーポイントで一矢報いるも、なかなか点差を縮めることができずこの日最大得点差の11点がつく。そのまま流れを奪い返すことはできず、68-83で試合終了を告げるブザーが鳴った。


桑田は得意のディフェンスリバウンドが光った

  準決勝の舞台に立つことはかなわなかったが、「自分たちが成長してインカレで突き詰めていった結果がこういう形で最後までわからないゲームになった」(長谷川暢)と試合内容は早大の成長を十分に感じられる充実したものだった。日本一への挑戦は終わったが、早大はあと2日間の順位決定戦に臨むこととなる。「ただ落ち込んでしまって、2試合を消化試合にしてしまってはいけない」というキャプテン濱田の力強い言葉通り、最後まで戦い抜くことができるか。あと2日間、早大バスケットボール部の真価が問われることとなるだろう。

(記事 小林理沙子、写真 石井尚紀、吉田寛人)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

第70回全日本大学選手権 12月14日(vs日大)
  1Q2Q3Q4Q合計
早大2116161568
日大2318142883
◇早大スターティングメンバー◇
F#27 濱田健太(社4=福岡第一)
G#13 長谷川暢(スポ4=秋田・能代工)
C#26 富田頼(スポ4=京都・洛南)
C#41 小室悠太郎(社2=石川・北陸学院)
F#39 桑田裕平(商3=京都・洛南)
◇主なスコアリーダー◇
得点  小室悠太郎:18得点
リバウンド  富田頼:12リバウンド
アシスト  森定隼吾:4アシスト
コメント

F濱田健太主将(社4=福岡第一)

――今のお気持ちを教えてください

かなり複雑なところなんですけど、目標はずっと言い続けていた日本一だったので、それが断たれたことに関しては素直に残念です。でもまだ後2試合残っているし、これでただ落ち込んでしまって2試合を消化試合にしてしまってはいけないなという気持ちでもいます。

――きょうのゲームプランはどのようにして挑みましたか

大きな留学生センターのところと外のシューターのところをどれだけ抑えられるかというゲームプランを立てていたので、ある程度センターのところは抑えられたと思いますし、スリーポイントも前回前々回試合した時よりは抑えられたんですけど、やっぱりその後ドライブであったり細かいところが抑えられなかったのがあの点差かなと思います。

――日大に対して苦手意識はありましたか

ないと言えば嘘になります。リーグ戦であれだけ点差を開けられてしまったので。でもそんなことは言ってられなかったし、もっと言えば大東大なんて今年1回も勝ってない中であれだけ勝てたということが自信にはなっていたので、しっかりと対策をして挑むだけという気持ちで臨みました。

――インカレでは厳しい場面も多かった中で最後スリーポイントを連続で決められましたが、自身のプレーを振り返っていかがですか

相手チームは僕の1番得意なところをスカウティングしてあまりヘルプにも寄らずにベタ付きの中で、最初だったり無理して打っている場面もあったので、最初の段階で決められていたら少し展開は変わっていたのかなとも思いますけど、後半は少しそこら辺の徹底を相手チームができていなかったので、ヘルプに寄っていったところでガードがパスをさばいてくれたので、決めなきゃいけないところを決めただけという感じです。

――チームとしてファウルが多くなってしまったことに関してはいかがですか

たしかにもったいないファウルもあったんですけど、あれだけシュートがあるチームなので、シュートチェックのファウルがきょうは多かったと思うんですけど、そこはハードにチェックしなきゃいけないということをリーグ戦期間中からやってきていて、でもリーグ戦ではできなくて、このインカレではハードにいった結果ファウルが何本か増えてしまうことにはなってしまったんですけど、まぁしょうがないミスではあるのかなと僕は思います。

――勝ちきれなかった原因に関してはどう思いますか

相手は最後の勝負どころまで持ち込めば僕たちは例年より強いと思っていたんですけど、ゲームを通してコンスタントに点数を取り続けられてしまったこと。僕たちのディフェンスの強度より相手のオフェンスの強度の方が上回ってしまったことが、致命的なミスはあまりなかったかもしれないですけど、全体を通してやられてしまったことが全てかなと思います。

――順位決定戦への意気込みをお願いします

みんなやっぱり落ち込んでますし切り替えるのが難しいかもしれませんけど、勝っても負けてもOBだったり保護者の方だったりそれぞれの友達だったりは応援に来てくれていたわけで、その1年間の感謝の意味を込めてという面でも消化試合にしてはいけないということはみんなにも伝えたので、そこはもうみんな気持ちを作って会場に来てくれると思うので、1回戦2回戦と同じような相手に向かっていく気持ちで、ワセダらしいバスケットを貫いていくべきだと思いますし4年生がそれを引っ張っていこうと思っています。

G長谷川暢副将(スポ4=秋田・能代工)

――今の率直なお気持ちをお聞かせください

日本一を目指してきて、チームとしてはなかなか日本一とか決勝というイメージが湧かなかったと思うんですけど、その中で1回戦、2回戦としっかり勝ちきれたこと、戦い続けられたことというのは自分たちにとっては大きなヤマを越えたかなという風に思っていて、4つの壁を越えられなかったのはすごい悔しいですけど、自分たちのやるべきことは下級生を含めできて、今までにないような気持ちを出せたのはすごいよかったかなと思います。負けてしまいはしましたけど、順位決定戦に回ることでも自分たちのバスケットを貫き通そうという声もずっと出ていたので、その点に関して言えばまだまだで、もっともっと一試合一試合成長していければいいかなと思います。

――日大は関東大学リーグ戦で2敗している相手ですが、印象はいかがですか

自分たちが走り切れれば勝てるかなという風に思っていたんですけど、その中で相手のペースで、シューター陣が多い中でそこを守りきれずに、打たせないようにはしていたんですけどそれがファウルになってしまったりとか、そこに関して言えば気持ちが前に出ていたのでそこをつべこべ言わず、もっと自分たちが徹底しなければいけなかったリバウンドであったりだとかに目を向けて、そこを全部拾いきれれば自分たちが走ってる時は前半のような形で点数が取れていたと思うので、そこにフォーカスをして、どこの相手にもやらなければいけない部分だと思うし、ルーズボールであったりというのを自分たちが徹底してできれば、もっといいゲームになったかなと。リーグ戦2戦とも負けてしまったんですけど、そのゲームに比べたら自分たちはきょういいゲームができたと思うし、そこは自分たちが成長してインカレで突き詰めていった結果がこういう形で最後までわからないゲームになったのでそこは成長したかなと思います。

――第2クオーター(Q)で一度点差を広げられ、その後追いつきましたが

みんな硬さも見られましたし、自分がドライブで点数を取ることによってチームが勢いづいていったこともわかったので、どんどんアタックしようと思ったんですけど、相手のディフェンスの強度も高くなってきましたし、高さもみんな気になってしまったと思うので、そこは多分今まで経験していない部分だったと思うし、リーグ戦の中でも留学生がいるチームがたくさんあって、インカレでも2つ留学生がいるチームに勝っているので、もっともっと強気なプレーをみんなが見せてくれればよかったのかなと思います。詰められた原因としては4年生が強気なプレーをずっとやろうと声をかけ続けられたので、宮本(一樹、スポ1=神奈川・桐光学園)も含めコム(小室悠太郎、社2=石川・北陸学院)とかも積極的にリングに向かっていってくれたのですごいよかったかなと思います。

――第4Qで点差がついたときにチームではどのようなお話がありましたか

自分たちが思うようなハーフコートでのバスケットがなかなかできなくて、インカレが始まってからずっと我慢のゲームが続いていたと思うので、そこは今まで通りの声をかけられていて絶対最後まで諦めないでやっていこうという風には言っていたのでそこはブレずにできたのかなと思います。でもシュートが入らなくなってきたら自分たちの流れがなかなか掴めなくて、相手の方が相手のリズムでシュートを打てていたと思うので、打たせたい子にも打たれてしまったし、ファウルも混んでしまったので、勝ち負けは絶対あるので仕方ないことかなと思います。

――ご自身のプレーはいかがでしたか

ファウルも混んでしまいましたし、ミスもあったけれども自分がやるべきことは点数を取って勢いづかせることであったりとか、ディフェンスを頑張るところだと思うんですけど、もっと点数をとらなければいけなかったなと思っていて、自分の中でもリズムがつかめずに1試合目2試合目よりも乗り切れなくて、気持ちとしても作りきれなくて、4ピリで標準を合わせる時に追いかけることに必死になってしまってゲームの中に入り込めなかったというのもちょっとイマイチだったかなと思います。

――順位決定戦に向けて意気込みをお願いします

残り2試合しかないので、今まで勝ってきたゲームを無駄にしないように、絶対この3日間戦う中で自分たちは成長できていると思うし、今までにないような気持ちで戦うことができているので、そこはリーグ終わってからインカレまでの練習でもワセダが変わった部分だと思いますし、見ているお客さんたちも絶対ワセダすごいなと思ってくれていると思うので、その期待を裏切らないようなディフェンスであったり、すごい小さいけど頑張れば勝てるんだというのを多くの人に見てもらいたいので、そこを自分たちがここで緩めてしまったりとか、優勝がないから容易な戦い方をしてしまっては、京産大や大東大の思いも背負って戦い切らなければいけないと思うので、おととし自分たちは7位に入っているんですけど、その壁を越えるためにもあした勝ってまた次も勝って5位につけれるようにに、みんなで声かけはできているので、準備をしっかりやっていきたいなと思います。

G森定隼吾(商4=岡山・倉敷青陵)

――今の率直な気持ちをお聞かせください

悔しいっていうのが一番に出てくるのかなとは思うんですけど、リーグ戦に比べると内容も悪くなかったですし、でも満足のゆく内容ではなかったというのが今終わっての気持ちです。

――きょうのゲームプランは

相手の抑えるべき優先順位を決めて、シューター陣が多いチームなんですけど、やっぱり一番やられたくないところは留学生のところだったので、そこにしっかりトラップを仕掛けて、アウトサイド陣のスクリーンにはしっかり対応するというゲームプランでした。一試合を通して、そのゲームプランが徹底できたのかというと100パーセントではなかったのかなという印象です。

――第2Qには日大が流れをつかみかけましたが、接戦に持ち込みました

相手に流れがいったのが、自分たちのターンオーバーから走られてというところだったので、しっかり自分たちのバスケットを徹底してやろうという声掛けがあって、そこで一気に流れを持っていかれず抑えられたというのは評価すべきところというか、インカレで耐えられるというところは良かったところだと思います。

――ご自身のプレーを振り返っていかがですか

オフェンスは可もなく不可もなくという感じでした。ディフェンスの面でシューターについていたんですけど、いいところで2、3本決められましたし、ファウルもやってしまったので、ディフェンスでもう少しチームに貢献できれば勝ちにつながったのかなという反省はあります。

――インカレのここまでの戦いぶりを振り返っていかがですか

京産大にしても、大東大にしても、厳しい戦いが続いていて、そこでギリギリまで自分たちが粘れて、最後勝ち切れたというのは良かったところです。何より自分たちのゲームプランが徹底できた2試合だったと思うので、きょうの日大戦も第3Qくらいまでは自分たちのゲームプランが徹底できたっていうところで、リーグ戦や自分たちのシーズンと比べて、このインカレは自分たちの気持ちも入ってますし自分たち全員が徹底できているというところは、良い点だと思います。残り2試合も気持ちを切らさずしっかりとやっていきたいと思っています。

――改めて順位決定戦への意気込みをお願いします

自分たちは日本一という目標でやってきて、ここでその目標は絶たれたんですけどここで気持ちを切らさずに、自分たちを支えてくれたり応援してくれている人たちが変わらずいると思うので、その人たちのためにもワセダを背負って頑張っていきたいと思います。