2017年の春、日本ツアー参戦を果たしてブレイクした”セクシークイーン”アン・シネ(28歳)に続いて、「第2のアン・シネ」「次世代のセクシークイーン」といった愛称で呼ばれ、韓国で注目されている女子プロゴルファー…

 2017年の春、日本ツアー参戦を果たしてブレイクした”セクシークイーン”アン・シネ(28歳)に続いて、「第2のアン・シネ」「次世代のセクシークイーン」といった愛称で呼ばれ、韓国で注目されている女子プロゴルファーがいる。

 ユ・ヒョンジュ(24歳)だ。



「次世代のセクシークイーン」として注目を集めているユ・ヒョンジュ

 身長172cmという長身のうえ、体のラインを強調したタイトなウエアを着こなす彼女に、ギャラリーの視線は自然と集まる。洗練されたモデルといった雰囲気を醸し出し、一見近寄りがたいイメージがあるものの、愛想がよく、カメラを向けると笑顔を浮かべ、時折ピースサインをして応えてくれる。

 そうして、注目度が増している彼女ゆえ、韓国では当然のように、ウエア契約を結ぶ『マスターバニー』の広告塔に起用されている。また、自身のインスタグラムでは私生活での写真をアップ。そこには、彼女のセクシーな姿もたびたび登場し、そのたびにネットニュースなどを騒がせている。

 おかげで、彼女が試合に出場すれば、多くのカメラマンが彼女の一挙一動を追いかける。そんな選手が日本にやって来れば、日本でも間違いなく注目され、あらゆるメディアで話題となるだろう。

 ただ、容姿だけでなく、実力がなければ、目の肥えた日本のゴルフファンには受け入れられない。

 はたして、その実力、実績のほどはどうなのか。

 2011年にプロとなったユ・ヒョンジュ。2012年の韓国レギュラーツアーでは、賞金ランキング73位に終わった。そして、翌2013年からは韓国の下部ツアーとなるドリームツアーを主戦場としてきた。

 そこから、レギュラーツアーに復帰したのは2016年。25試合に出場した。しかし、賞金シードを得られず、予選会を突破して翌年のシード権を獲得した。そして、続く2017年も23試合に出場したものの、際立った成績を残せずにシード落ち。今季は、再び下部ツアーで戦ってきた。

 ユ・ヒョンジュはレギュラーツアーでいまだ勝利がなく、今季の下部ツアーでも思うような成績を残せなかった。そうした現状を見れば、その実力、実績は乏しいと言わざるを得ない。

 それでも、そんな現状を打破するため、彼女が目を向けたのは、日本ツアーだった。思えば、これまで韓国ツアーを取材した際には、ユ・ヒョンジュにも話を聞く機会があったが、彼女が「日本ツアーでやってみたい」という思いは、年々強くなっていた。

「日本ツアーのことは、他の韓国人選手からいい話をよく聞きます。コースや環境、ギャラリーなど『すごくいい』と聞いて、あらゆる面で魅力を感じています。だから、私も行ける機会があれば、挑戦してみたいと思っていました」

 そして早くも今年、彼女は日本ツアーのQT(※)を受けた。
※クォリファイングトーナメント。ファースト、セカンド、サード、ファイナルという順に行なわれる、ツアーの出場資格を得るためのトーナメント。現在はファイナルQTで40位前後の成績を収めれば、翌年ツアーの『リランキング』までの大半の試合には出場できる。

 彼女が、そこまで日本参戦を急いだのは、「日本でやってみたい」というチャレンジ精神とは他に、日本女子ツアーの制度改編が関係している。

 日本女子ツアーはこれまで、非会員でもQT受験が可能だった。そして、そこで上位に入れば、TP(トーナメント・プレーヤー)単年登録によって、ツアー出場も認められていた。

 しかし、その制度は「今年まで」と規定が変更された。来年以降、QTを受験するには、プロテストに合格している正会員か、ツアーで優勝してLPGA(日本女子プロゴルフ協会)の会員資格を得ている者に限られることになったのだ。

 その一方で、今年から賞金シード(賞金ランキング50位以内)を獲得すれば、会員資格が得られるようになった。

 いずれにしても、ユ・ヒョンジュのように会員資格を持たない選手は、今年のQTを突破して来季ツアーに参戦。そこで優勝するか、賞金シードを獲得して会員資格を得ないと、日本ツアーに居続けることが難しくなる。

 無論、日本のプロテストに合格すればいいのだが、外国人選手がプロテストを受けて、その後にファーストからファイナルまで4段階あるQTに参戦するのは、大きな負担となり、現実的には難しい。

 そうしたことを考えれば、ユ・ヒョンジュにとってはある意味、今年が日本ツアー参戦を狙うラストチャンスだったわけだ。

 そんな事情も併せて今年、日本のQTに参戦したユ・ヒョンジュは、ファーストを14位タイ、セカンドを22位、サードを7位で突破。ファイナルQTまで駒を進めた。

 迎えたファイナルQT。ユ・ヒョンジュは、初日「70」、2日目「72」、3日目「72」で回って、通算2アンダーと好位置をキープしていた。このまま最終日も大きく崩れることがなければ、来季ツアーの前半戦の出場権はほぼ獲得できる状況にあった。

 だが、最終日に「76」と叩いて、通算2オーバー、59位に終わった。出場優先順位が下がれば出られる大会もあるだろうが、現実的に来季のレギュラーツアー出場は厳しくなった。

「やっぱり、ファイナルQTは緊張感がありました。いかに平常心で試合に臨むかがとても重要だったのですが、今日はそれができなかった。それが、とても悔しいです」

 ラウンド後、そう語ったユ・ヒョンジュの表情はさすがに沈んでいた。それもそのはずである。実は彼女、韓国のレギュラーツアーの出場権をかけた試合を蹴って、この日本ツアーのファイナルQTに参戦したからだ。

「韓国と日本のQT(の日程)がかぶっていたのですが、やはりやってみたい舞台でしたし、チャンスもあったので、日本ツアー(のQT)に賭けていました。だからこそ、とても残念です」

 とはいえ、ユ・ヒョンジュはQTランキング59位という結果を得て、下部ツアーとなるステップ・アップ・ツアーの来季の出場資格は確保した。

「来年は韓国でも下部ツアーの出場権はあるのですが、日本でも下部ツアーに出場できると聞いたので、それも検討してみたい。これから、前向きに考えてみます」

 日本での試合は楽しかったようで、ユ・ヒョンジュはそう言って、少しだけ笑みをもらした。

 また、今回のQT参戦で、彼女の日本での認知度は高まった。そのことは、彼女も認識していて、さらに日本でのプレーに前向きになっているようだった。

「私が日本のQTに出るということだけで、日本の多くのメディアが記事にしてくださって、QTの結果も報道してくれたのは知っていました。まだ、日本ツアーに来ていないにもかかわらず、応援してくれる人がいる、という話も聞いています。それには、感謝の気持ちでいっぱいですし、かなり驚いています。

(来年)日本の試合に出られるチャンスがあれば、必ず出ます。そこで、いいプレーを見せられるように、しっかり準備していきたいと思っています。ですから、これからもぜひ応援してください!」

 ユ・ヒョンジュが来季、日本でブレイクする可能性はかなり小さくなってしまったかもしれない。それでも、日本のステップ・アップ・ツアー出場を選択すれば、注目されるだろうし、結果を出せば、レギュラーツアーで脚光を浴びることも考えられる。

 彼女自身、「『第2のアン・シネ』と言われているのは、人づてに聞いています」と、注目されることは大歓迎だという。

 韓国からの”美人刺客”が、新たな旋風を巻き起こす日が再び来るのか。今後も、ユ・ヒョンジュの動向から目が離せない。