天皇杯全日本選手権(天皇杯)ファイナルラウンドの初戦を突破した早大。2回戦ではV.LEAGUE1(旧V・プレミアリーグ)の名門・堺ブレイザーズと対戦した。第1セットから強いサーブや高いブロックに苦しみ、点数を追いかける厳しい展開に。なかな…

 天皇杯全日本選手権(天皇杯)ファイナルラウンドの初戦を突破した早大。2回戦ではV.LEAGUE1(旧V・プレミアリーグ)の名門・堺ブレイザーズと対戦した。第1セットから強いサーブや高いブロックに苦しみ、点数を追いかける厳しい展開に。なかなか逆転の糸口を見つけることができず、点差を詰められなかった。セットカウント0-3(21-25、20-25、15-25)でストレート負け。2回戦敗退が決定し、藤中優斗主将(スポ4=山口・宇部商)率いる2018年度の早大バレーボール部の全試合が終了した。

 堺ブレイザーズには一昨年の主将山口頌平(平29スポ卒=長崎・大村工)や昨年の副将である山崎貴矢(平30スポ卒=愛知・星城)などが所属している。また、日本代表選手も多く在籍し、センター、サイドともにパワーヒッターの集まる強豪チームだ。その力強いスパイクをブロックでワンタッチにかけ、レシーブでどれだけ上げられるかがカギとなったこの試合、まず最初の得点はラリーの末に鵜野幸也(スポ4=東京・早実)がブロックアウトでスパイクを決めチームを盛り上げた。小林光輝副将(スポ4=長野・創造学園)のディグから宮浦健人(スポ2=熊本・鎮西)が2段トスを打ち切り調子の良さをうかがわせる。序盤まで競り合いの様相を見せたが、堺ブレイザーズの外国人選手である(ニコ)のスパイクが連続で決まりだしたところから、徐々に点差を引き離されていく。3連続や4連続の得点や失点を繰り返してなんとか食らいつくも、ここまで好調だった村山豪(スポ2=東京・駿台学園)のスパイクがブロックされ14-17とされピンチに。武藤鉄也(スポ3=東京・東亜学園)の連続スパイクなどで何とか応戦するも、21-25と4点差をつけられて第1セットを落とすことになった。


1年間リリーフサーバーとして活躍を見せた宮下

 第2セットは序盤から苦しい立ち上がりとなった。早大のセンター線への厚いマークに加え、宮浦のスパイクがなかなか決まらずにもどかしい時間が続く。4-5の場面からなかなかサイドアウトを取ることができずに4-9とされると、そこからなかなか点差を縮めることができない。リリーフサーバーの宮下諒大(社4=東京・早実)などを投入して巻き返しを図ろうとするも、相手の高いブロックに阻まれてスパイクを相手コートに落とすことができず、万事休す。20-25で第2セットも相手に与えてしまった。第3セットはサービスエースを何本も取られて5-13と前半までに大幅なリードを奪われる。狙ったスパイクはことごとくブロックにかかり、サイドアウトを切るのがやっとという展開に。相手の強いサーブと裏腹に、早大はなかなかサーブを入れることができない。10-20としたところで宮浦に代えて中野博貴(教4=東京・早実)を投入するも、最後は鵜野幸也(スポ4=東京・早実)のスパイクがサイドラインを割ってゲームセット。ベスト8進出はかなわなかった。そんな中、宮浦や村山は「4年生のために何もできなかった」と涙をこぼした。


チームをまとめ上げてきた藤中(左)、小林(中央)、鵜野

 今季4冠、そして全日本大学選手権連覇の早大が企業チームなどにマークされるのは当然のことだった。それだけ相手に実力を認められたがゆえの完敗だ。「非常に真面目で思いやりのある学年」と松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)が評し、絶大なリーダーシップで早大の強さの立役者となってきた4年生はこれで引退となり、それぞれ新たな道へと進んでいく。個人の能力を高めた春、課題を見つけた夏、挫折を経験した秋、そして、組織力の集大成を見せた冬。どの季節も明確な目的をもって練習に取り組んできた。1年生から4年生までの部員全員が様々な思いを胸に、2018年度のバレーボール部に幕が下りる。

(記事 松谷果林、写真 杉山睦美、萩原怜那)

セットカウント
早大21-25
20-25
15-25
堺ブレイザーズ
スタメン
レフト 藤中優斗(スポ4=山口・宇部商)
レフト 鵜野幸也(スポ4=東京・早実)
センター 武藤鉄也(スポ3=東京・東亜学園)
センター 村山豪(スポ2=東京・駿台学園)
ライト 宮浦健人(スポ2=熊本・鎮西)
セッター 小林光輝(スポ4=長野・創造学園)
リベロ 村本涼平(法3=京都・洛南)
コメント

藤中優斗主将(スポ4=山口・宇部商)

――きょうの試合を振り返って

もちろん勝てばあすも試合がありますが、このチームで戦える最後の試合でした。少しでも長く戦いたいという気持ちで試合に臨みましたが、完敗でした。悔しい気持ちです。

――敗因についてはどのように考えていますか

後輩たちがすごく頑張ってくれていましたが、僕のプレーの精度などがあまり良くなかったです。もう少しチームで活躍出来たらもっと違った展開だったかなと思います。

――早大での4年間はどのようなものでしたか

入学当時がらたくさん試合に出させていただきました。人間的にもプレーも成長させてもらえて、すごく充実した4年間でした。

――今シーズンを振り返っていただけますか

特にたくさんのプレッシャーを感じることはありませんでしたが、ずっと勝ち続けてきて、「勝つことが当たり前」という感じになってしまって。バレーボールへの見方が変わって、負けたらいけないという気持ちからバレーボールが全然楽しくない時期もありました。日体大に負けて、もう1度チームのみんなで頑張っていこうという意識に変わって、団結してできたのが全日本インカレで優勝できた結果に繋がったと感じています。

――同期のみなさんについて

本当にずっと支えられてきました。感謝の気持ちでいっぱいです。

――卒業後に向けて

きょうに試合をやってみて、力が通用しないということがよくわかりました。きょう与えてもらった課題を自分で克服しながら、少しでもジェイテクト(STINGS)でチームに貢献できるように頑張っていきたいと思っています。

小林光輝副将(スポ4=長野・創造学園)

――試合終了後は涙も見られましたが、どのような思いがありましたか

全日本インカレは優勝して、正直ほっとした部分が大きくて涙は出なかったんですけど。きょうは終わってみて、大好きな同期とか頼もしい後輩とか自分たちのために色々なことをやってくれたスタッフ、アナリスト、その人たちともうエンジのユニホームを着てコートに立つことはないんだと思うと、寂しさがこみ上げてきました。

――試合を迎えるにあたって

勝てる要素はあると思って臨みました。戦術的なものもミーティングしましたし、そのあたりはばっちりだったので、あとは自分たちの持ってるものを全部出そうと思って臨みました。

――実際に出し切ることはできましたか

過信ではないのですが、力はあると思っていただけに、後輩たちの「勝たなきゃ」という思いはすごく伝わってきて。勝ちを意識させすぎてしまいました。相手の意地もありましたし、パワーや高さは相手の方が上なので、その中でプレッシャーをかけてしまってのびのびやらせてあげられなかったというのがありますね・・・。

――相手のサーブが強さに苦しんだ印象でした

相手もパワーがあってサーブが強くて、1本目が難しいケースの中で、相手のブロックの低いところからセオリー通り攻めていこうとは思っていました。

――ストレートという結果でしたが通用した部分もあったのでは

力はあったと思いますし、その力を全部出そうという風に臨みましたが、ブレイザーズさんの意地に押されてしまいました。自分がこの先続けるにあたって、このままでは通用しないなと思いましたし、早稲田大学の成長にもつながる試合だったと思います。

――4年間を振り返って悔いなく終わることはできましたか

苦しいこともたくさん経験しましたし、楽しい思いもさせてもらいました。早稲田の大好きなみんなともうバレーができないと思うと、本当に寂しいですが、4年間最高でした。

――後輩たちへ向けて一言お願いします

自分たちが全タイトルを取って、プレッシャーをかけてしまっている部分もあるのですが、そういうプレッシャーを感じずに、バレーボールの本来の楽しさを感じながら取り組んでもらえたらと思います。

――卒業後も競技を続けますが、どのような選手になりたいですか

この舞台で最後、コートに立てない同期、支えてくれる後輩たち、アナリストなどの仲間にいい思いをさせてあげることができませんでした。悔しさや寂しさが残る今なので、今後この悔しさを糧に成長して、トップリーグで活躍できる選手になりたいです。

鵜野幸也(スポ4=東京・早実)

――今日の試合を振り返ってみて

すごく大きな差を感じたというのが正直なところです。

―どのような気持ちで試合に臨みましたか

これに負けたら引退ということもありましたが、自分たちで学生日本一を取れたのであとは日本のバレーボールの中でどれだけチームとして上をいけるかという大会だったので気負わずやっていこうと思いました。

――今日の相手は内定先だったと思いますが、意識しましたか

意識しないわけにはいかなかったですけど、なるべく意識しないように自分のプレーを見てもらうというか自分のプレーをできたらと思ってました。

――4年間を振り返ってみて

僕は1、2、3年と控えのメンバーだったのですが、4年生では自分はレギュラーとして出て、4年間は早かったといえば早かったです。プレッシャーなどは早大でしか味わえなかったのかなと思います。

――後輩たちに何を期待しますか

後輩たちの方がうまいと思うので自分からアドバイスは出来ないですが、自分や光輝や優斗など他の4年生の姿を見て自分もこういう風な4年生になりたいなというイメージを持ってもらえたらそれで十分だと思います。

宮浦健人(スポ2=熊本・鎮西)

――いまの気持ちをお願いします

最後に4年生に良い思いをしてもらってから送り出したかったのですが、それができなかったことがすごく悔しいです。

――きょうの試合を振り返って

自分自身のプレーは高いレベルになると全然まだまだだなと痛感させられました。

――今シーズンを振り返って

やっぱり日体大に負けたことが今シーズンで1番心に残っています。そこから4年生がしっかりマネジメントや声掛けなどをしてくれて最終的に全日本インカレで優勝という結果を残すことができました。4年生の気遣いが素晴らしいと思いましたし、僕も次は上級生になるので、そのように引っ張っていかないといけないなと感じさせられました。

――4年生に向けて

いつもチームを引っ張ってくれました。大事な場面で僕が全然(スパイクを)決められなくても、いつも4年生が決めてくれて。助けられてばかりでした。今シーズン、4冠できたのも最後は4年生が頑張ってくれたおかげだと思っています。2年間、一緒にやらせてもらって、4年生の大きな背中を見せてもらいました。僕自身も成長できたし、いい経験をさせてもらいました。それにありがとうと言いたいです。これから上級生になるので、今の4年生のような存在になりたいと思っています。