4年生の引退まで残り1週間となったこの日、第55回定期演奏会が行われた。今回の主役である吹奏楽団は、第1部から第3部までそれぞれ趣向の異なる演奏を披露。普段の応援活動とはまた異なる豪華ステージで会場を魅了した。アンコールには応援部らしく『…

 4年生の引退まで残り1週間となったこの日、第55回定期演奏会が行われた。今回の主役である吹奏楽団は、第1部から第3部までそれぞれ趣向の異なる演奏を披露。普段の応援活動とはまた異なる豪華ステージで会場を魅了した。アンコールには応援部らしく『応援曲メドレー』で応える。夏からこつこつ練習を重ねてきた定期演奏会は、充実の内容で大成功を収めた。

  第1部は『ジェラート・コン・カフェ』で始まった。この曲は吹奏楽経験者なら誰もが知る『宝島』と同じ作曲者のものだ。大人っぽく怪しいメロディーに金管の丁寧なタンギングが相まって、聞いている人をわくわくさせる。途中パーカッションのソロもあり、金管、木管、打楽器、全ての魅力が詰まった一曲であった。ポップスが中心の第1部はその後『ダンシング・クイーン』と『カーペンターズ・フォーエバー』を披露。誰もが耳にしたことのある曲で、まずは観客をぐっと演奏会の世界へ引き込んだ。続く2部は、その拍子や音域から難易度の高い『Into the air!』で始まる。「みんなのこだわりが表れた曲」(佐藤夏海学生指揮、法4=新潟)。応援活動の傍ら演奏会のためにも真摯な努力を重ねた結果、見事に完成へと仕上げた。『オペラ座の怪人』では、最初に『The Phantom of the Opera』の目の覚めるような印象的なメロディーが流れる。その後はうっとりするような広がりのある曲へと移り、序盤とは打って変わって終盤はやさしい音で会場を包み込んだ。


第2部の最後には『早稲田大学校歌』が演奏された

  第3部はドリルステージだ。幕が上がると、マーチング用の華やかな衣装に着替えた吹奏楽団員たちが続々とステージに表れた。オープナーの『RIVERDANCE』では、銀色のドレスに身を包んだカラーガードが登場。インストロメンツを挟んでガードを交換するなど、高度な技を見せた。4曲目の『I want you back』はチアリーダーズも舞台に上がり曲を盛り上げる。途中スタンツを組んで吹奏楽団を上げることもあった。クローザーの『春よ来い』では第1部で指揮を務めた佐藤が最初のソロで登場。桜色の大きなカラーガードを使いこなし、曲調に合ったたおやかな舞いを見せた。


華やかなカラーガードがドリルステージを盛り上げる

 全3部が終わると、会場からはアンコールの声が。すると再び幕が上がり、『早稲田の栄光』が演奏され始めた。『栄光は緑の風に、花ひらく若き日の歌…』。優しいメロディーに乗せて、カラーガード達が歌う。『早稲田の栄光』が終わると、吹奏楽団のメンバー紹介ののち、『魁』や『大進撃』、『スパークリングマーチ』などを含んだ『応援曲メドレー』が行われた。リーダー、チアリーダーズもステージへと出て、今年の応援部の集大成を見せる。何度も披露されてきた曲たちだが、この日はまたいつもの応援活動とは異なる意味で思いのこもった演奏であった。

 「これで終わりなのかと思う」(若松佑副将兼吹奏楽団責任者、教4=埼玉・川越)。『応援曲メドレー』を披露するのは、この日が最後であった。4年生は、応援部員としてあと何度応援歌を歌えるのだろうか。「最後の最後まで、代交代の日まで、応援部吹奏楽団員として一生懸命演奏していきたい」(若松)。今の代の応援部も、いよいよ終わりが近づいている。残りの日々が少なくなっても、思いを込めて選手の背中を押す姿は、今まで通り変わらない。


集大成のステージは大成功を収めた

(記事 今山和々子、写真 金澤麻由)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

コメント

若松佑吹奏楽団責任者(教4=埼玉・川越)

――演奏会を終えた感想をお願いします

 自分は今までドリルステージではフロントパーカッションという動かない楽器をしていたんですけれども、今回初めて人数不足というのもあって、メンツの方になりました。その練習が本当に大変で…今までやったことなかったことを最後にやらなくてはならなかったので。できるか心配だったんですけど、それが無事に何とか…満足はできるレベルにできたかなと思っているので、達成感に浸っています。

――出来栄えはいかがでしたか

 例年よりも3倍くらい速いスピードで練習が進んでいて、その分本番直前の練習で細かいところを詰めるのにより多くの時間をかけることができたので、それは練習の成果を発揮出来たかなと思います。

――ご自身がこだわった点はありますか

 先ほどの話でもあるんですけど、メンツの方をやったことです。それに関しては最初で最後になるので…それでも適当にやっては下級生に示しがつかないので、自分が一番やり切らなくてはいけないと思っていました。2年生、3年生は自分より下の代ですが、経験値で言えば自分よりは上なので、色々教わりながらドリルのメンツにはこだわれたかなと思います。

――きょうの曲の中で一番好きな曲は何ですか

 色々練習してきた中で一番好きなのは2部の『Into the air!』という曲です。鍵盤楽器に苦手意識があったのですが、その『Into the air!』がすごく難しい曲で…でも最後の演奏会なのでやり切りたいということで(鍵盤楽器を)選びました。最初は苦手な楽器なので大変だったのですが、だんだんコツがわかってきて、とても楽しい曲だなと思えるようになりました。

――ワセダの曲を演奏することも残りわずかとなりました

 この次の週末で吹奏楽団が参加する応援は甲子園ボウル(米式蹴球部の試合)とサッカー(ア式蹴球部)です。どちらも演奏はするのですが、メドレーとしては吹かないので、『応援曲メドレー』として応援するのはきょうが最後なので、それについては感慨深いです。これで終わりなのかと思いますが、まだまだ演奏できる機会、応援できる機会はあります。定期演奏会で気を緩めず、代交代の日まで応援部吹奏楽団員として一生懸命応援して演奏していきたいと思います。

――同期に向けてのメッセージをお願いします

 今まで四年間、色々迷惑をかけて…かけられたりも(笑)。色々あった中で、自分を吹奏楽団責任者として迎えてくれて、感謝しています。本当に同期から教わることもたくさんあったので、この四年間で学べたこと、得たことは一生の宝物ではないのかと思います。

――今の4年生が抜けると人数がかなり減ってしまうと思います。それを踏まえた上で、後輩へのメッセージをお願いします

 次の4月にどれくらい新人が入ってくるかわかりませんが、一時的に今55人いるのが35人になって半分近くになってしまいます。その分一人一人が今以上に…それこそ一人1・5倍とか、頑張らなければいけなりません。人数が少ないのはどうしようもないことなので、頑張って欲しいなと思います。

DM和田瑛里花(基理=東京・渋谷教育学園渋谷)

――演奏会を終えての感想をお願いします

1カ月ほど通した状態で練習をしてきて、毎回何か一つミスがあるような状況が続いていたのですが、本番はうまくいったのではないかと思うので、良かったです。

――きょうの公演に点数を付けるとしたらいかがでしょうか

自分に甘いので、100点ですね(笑)。自分が頑張ったということで。

――今回最もこだわった点は何でしょうか

第55回定期演奏会ということで、これまで54回行ってきた伝統のある演奏会で、第1回から最後がWの形になるなどの伝統があます。そういう伝統を残しつつ、一方で今まで何年も同じような構成になっていたことであまり面白くなかった部分というのを変えて、できるだけ見に来る人が楽しめるような構成を考えました。

――DMとして活動してきて大変だったことは何でしたか

練習をするより前に、構成を考えなければいけないのですが、お客様が楽しめるようにお客様の目線に立って考えるということですね。また、練習もとても頑張ってくれる人がいる一方で、あまり頑張れない人もいたり。頑張っているのにうまくなれない人にどうアプローチしていくのかということも難しかったです。最終的にはみんなの支えのおかげでここまで来ることができたと思います。

――DMとして活動してきて良かった点は何でしたか

皆の前に立つので良くも悪くも目立つというか。おそらく人生で一番目立ったな、と思います(笑)。部員の皆にもすごく支えてもらって、自分の人生の中ですごくいい経験になったと思います。

――ドリルの曲の中で一番好きな曲は何でしょうか

20年ほど前の定期演奏会の動画で見たシルク・ドゥ・ソレイユのマーチングアレンジのようなものの途中で出てくるパーカッションのアンサンブルがとても素敵で、お気に入りです。

――四年間を振り返っていかがでしたか

私の入部した時の目標が、四年間続けることでした。すごく甘いと思うのですが(笑)。それが達成できて良かったのと、自分が1年生の時にはDMになるとは思ってもいなかったので、このような経験ができて本当に良かったと思います。

――思い出に残っている試合はありますか

すごく色々と思い出には残っているのですが、新しい記憶で言うと、野球の今年度の秋の早慶戦の最終戦ですね。初戦で負けてしまい、もう無理だろう、と外部では言う人もいたのですが、一生懸命に応援することで最終的に野球部を勝ちに導く事ができて、慶大からも優勝を阻止することもできましたし、本当に一生の思い出になりました。

――一番好きな応援歌は

あまり有名ではないのですが、『精悍若き』という曲が好きです。そこまで有名ではなく、少しレアソングなのですが、球場でやると私の気持ちが上がる曲ですね。

――応援部の同期に向けてお願いします

こんな私だけど、四年間一緒に同期としてやってくれて、最後の年はDMになった私に付いてきてくれて、ありがとうございました。

――後輩の皆さんに向けてお願いします

正直私たちの代よりも後輩の代の方がしっかりしていると思います。私たちがいなくなっても大丈夫だと思うので、(これからの応援部を)お任せします。来年度に期待しています。

――最後に一言お願いします

これからも早稲田大学応援部、吹奏楽団をよろしくお願い致します。また皆さんと素敵な応援ができることを楽しみにしています。

GC加藤愛子(国教4=東京・小石川)

――演奏会を終えてのご感想をお願いします

すごくほっとしました(笑)。

――きょうの出来栄えはいかがでしたか

えー(笑)。私はずっとDMの指揮を見ていたので、舞台は見れていないのですが、お客様の拍手などから、良かったな、と感じられました。

――ずっと和田さんを見られていたということですが、きょうの和田さんはいかがでしたか

きょうの和田さんはすごく緊張してそうだな、と思ったのですが、いつも通りのところはいつも通りでした(笑)。

――今回の公演で一番こだわった点は何でしたか

一つのショーとしてまとまりがあるか、という点ですね。一つ一つの曲を詰めることもそうなのですが、お客様の目線でオープナーからクローザーまで見た時に疲れたりしないかだとか、こういう照明にした方がいいのではないか、など、トータルでお客様目線で見て考えたところがこだわりです。

――GCとして活動してきて大変だったことは何でしたか

わたしがこうしてほしいと伝えた時になかなか伝わらない事と、やってる本人たちも努力しているのにも関わらずそれを実現することができない時は大変だと思いました。演奏とドリルもある中、演奏だけでなくちゃんとドリルも練習して欲しい時に、こちらが練習しろ、練習しろと一人よがりに言っている気分になってしまいました。皆をドリルステージに向けて士気上げするのは大変でしたね。

――GCとして活動してきて良かった点は何でしたか

できないことができるようになったり、この前の練習でできなかったことを、「じゃあ次回までにやって来てね」というと、次の練習までに部員と新人が練習をしてきてくれたのを見た時に良かったな、と思います。

――ドリルの中で一番好きな曲は何でしょうか

オープナーの『RIVERDANCE』です。

――四年間を振り返っていかがでしたか

あっという間だったな、と思います。新人の時の定期演奏会は自分のことで精一杯だったのですが、4年生になって運営する立場になって、色々なものが見えてきて。自分だけじゃなくて下級生の協力があってこの定期演奏会は成り立っているんだな、と4年生になって感じました。

――印象に残っている試合はありますか

今年の早慶戦ですね。

――どのような所が印象に残っていますか

もう負けるんじゃないかな、という所で、9回裏に追い付いて、延長戦にいける、と思っていたら逆転して。本当にうれしくて、皆がまだ行ける、まだ行ける、という風に演奏していたのが印象に残っています。

――試合以外で印象に残っていることは何ですか

同期と学館(学生会館)で話していたことですね(笑)。ただ楽しかったな、と。毎年これは変わらず、同期と学館にたまって話すのが楽しいです。

――同期の皆さんに一言お願いします

この二十一人がいたからここまでこられたので本当に感謝しています。

――後輩の皆さんに向けて一言お願いします

何にでも本当に一生懸命で、私は下級生の頃にこんなに頑張っていたかな、と思うほど一生懸命で。そういう人たちを見ると、あと一年頑張ろうと思えたので、本当に感謝しています。

――最後に一言お願いします

四年間続けてくるにあたり、支えてくれた下級生、同期、上級生の皆さん、家族や友人など色々な人にありがとう、と伝えたいです。

佐藤夏海学生指揮(法4=新潟)

――演奏会を終えての感想をお願いします

 ただただあっという間に終わったなという感じです。練習してきたのが半年くらいなので、結構長い時間をかけて他の応援活動などと並行しながらゆっくりゆっくり少しずつ進めてきたので、その分それが一瞬で終わったなという不思議な気分です。

――出来栄えはいかがでしたか

 私は1部で3曲指揮を振らせていただいたのですが、みんなの顔がいつも以上に演奏をしていて楽しそうで…。1部と2部の5曲を選んだのですが、観客の人たちだけじゃなくて、演奏している自分たちがまず楽しまなければいけないと思っていました。みんなが楽しんでくれるような曲がいいなと選んで演奏してきたので、みんなが目の前ですごく楽しそうに吹いていて、これだったらお客さんも楽しんでくれているかなと思えて嬉しかったです。私は観客の方の表情は見えないので、みんなの顔を見て、よかったなと思いました。

――こだわった点はありますか

 2部の一曲目の『Into the air!』が難しい大曲で…正直挑戦する前は[大丈夫かな、人前で披露できるくらいのレベルになるかな」と心配だったのですが、全然手もつけられなくて譜面も読めないようなところから本当にみんなが必死に頑張ってくれました。自分がこだわったというよりは、みんなのこだわりが表れた曲だったなと思います。みんなの意地というか。それがすごく嬉しかったです。

――きょうの曲の中で一番好きな曲は何ですか

 選び難いんですけど、強いて言うならドリル3部の『春よ来い』です。(カラーガードで)ソロをさせていただいて、元々『春よ来い』が好きな曲なのでそこで最後にソロを頂いたことで、プレッシャー半分すごく嬉しくて、絶対いいものにしたいなという思いが強かったです。

――ワセダの曲を振るのもあと少しとなりました

 指揮という期間しかワセダの曲を振ることは許されていないので、そんな一年がもうすぐ終わるんだなというのが不思議な気分です。ずっと振ってきたのであんまり特別な感じがしていなかったのですが、最後になって「これを振るのも最後なんだな」という気持ちが少しずつ…特にきょうの最後の校歌とか、「校歌あと何回振るのかな」と思ったりしました。一回一回大事にしていきたいです。

――応援生活に捧げた四年間を振り返っていかがですか

 捧げたからこそ得られたものだなと思います。中途半端に片足突っ込んではこの達成感は得られなかったと思うし、仲間とのつながりも得られなかったと思うので…何かを犠牲にしなかったと言えばうそになるんですけど、それでもやってよかったと思えた四年間だなと今振り返って思います。

――同期に向けてお願いします

 うちの代はすごく楽器に対して思いが熱い人が多くて、その中でわたしはものすごく上手なわけではないのに指揮になって、大丈夫かなという気持ちもあったのですが、それでもみんなの音楽が好き、演奏がしたいという気持ちに助けられた一年間だったので、同期のみんなには感謝したいです。

――後輩へ向けてメッセージをお願いします

 応援部ってすごく一年ごとに代のカラーが違って、その年の4年生によって導いていく方向が違うかなと思います。私たちはこういう一年だったけれど、これを踏まえてどうしていくのかなというのはすごく楽しみです。ぜひ自分たちの思う応援部を作っていただけたらなと思います。