今シーズンBIG BEARSが目指す『日本一』に欠かせないオフェンスの要。オフェンスリーダーとしてチームを引っ張るエースRB元山伊織(商4=大阪・豊中)。パスユニットを率いる熱き男、WR遠藤健史(法4=東京・早大学院)。関東一の攻撃をつく…

 今シーズンBIG BEARSが目指す『日本一』に欠かせないオフェンスの要。オフェンスリーダーとしてチームを引っ張るエースRB元山伊織(商4=大阪・豊中)。パスユニットを率いる熱き男、WR遠藤健史(法4=東京・早大学院)。関東一の攻撃をつくり上げた最上級生の2人に、甲子園に懸ける思いを伺った。

※この取材は12月上旬に行われたものです。

「精度の高いパスユニットを甲子園で披露したい」(遠藤)


抱負を語るWR遠藤

――今シーズンを振り返って

元山 例年、ワセダはディフェンスのチームというカラーがあって、オフェンスは毎年苦戦していたイメージがあるんですけど、今年は僕がオフェンスリーダー、遠藤がパスユニットのリーダーになって、その状況を変えたいというのは二人でもずっと話していました。春から徐々に結果を重ねてた中で、秋リーグで1試合当たりの平均得点と、獲得ヤードで関東一のオフェンスをつくれたのは一つの結果かなと思っています。ただ、試合内容を振り返ってみると、ターンオーバーされる数であったりドライブで最後まで決めきれない部分であったりと、まだまだ隙が多くあります。関西のチーム相手に通用するオフェンスではないなと思うので、この残り2週間で課題を修正して、日本一のオフェンスをつくりたいなと思います。

遠藤 新チームが始動した時から、オフェンスの中でもパスを武器にしたいというのを自分の目標にしていました。今シーズンを通してある程度の結果は得られたと思うんですけど、やはり勝負所で決めきれなかったりだとか、QBとレシーバーのコミュニケーションが合わなくてインターセプトが起こってしまったりだとか、まだ色々な課題がある状況です。関東一のオフェンスがつくれたということで、パスユニットもレベルの高いものになってきてはいますが、関西に通用するかということになるとまだまだだと思います。残りの2週間はより練習量を増やして、精度の高いパスユニットを甲子園で披露したいなと思っています。

――今シーズン一番印象に残っている試合は

元山 もちろん一番嬉しかったのは優勝を決めた法大戦だったんですけど、一番印象深いのは明大戦ですね。明大が第1節で法大に勝ったということもあって、実はリーグ戦の天王山になるんじゃないかと思いました。すごく意気込んだ試合だったんですけど、オフェンスのファーストプレーで僕がファンブルをしてしまうという事件が発生しまして(笑)。

遠藤 今だから笑えるけど、あれはビビったな(笑)。

元山 僕は結構試合中のミスとかで心がブレないんですけど、さすがにその時は「うわ、やってもうた」みたいな感じになりましたね(笑)。でも、リーダーやからちゃんとしないとなと思って、ちょっと強がって「ファンブルのことなんて忘れてもうた」みたいな感じで振舞いました(笑)。その後はパスユニットにも助けられて先制のTDを自分で取ることができて、そこからオフェンスが勢いづいて42点取れたのは良かったですね。あの試合でだいぶメンタルは強くなりました。(笑)ミスしても怖くないという気持ちになれて、それ以降もミスを恐れない気持ちになれたので、自分をブレイクスルーできた試合だったかなと思います。

遠藤 僕は法大戦ももちろんそうなんですけど、一番印象に残っているのは初戦の日体大戦ですね。僕らの代での秋リーグが始まった中で、うまくいかないことがほんとに多くて、パスユニットで3インターセプトをされたり、実際に試合をやって色々な課題が浮き彫りになりました。合宿でやってきたことや、秋リーグへ向けてやってきたことが成果として出なかった試合だったので、試合が終わってから原因を突き詰めて、次の試合へつなげてきたという意味では初戦の日体大戦というのがすごく印象に残っていますね。あそこでやられたことが良い意味でそれからの試合に生きたのかなと思っています。

――チームの総得点数は関東1位でしたが、練習などでもスコアリングという面で工夫された点は

元山 僕らの中でポイントゲッターになってくるのが、僕と遠藤、あとはWRブレナン(翼、国教3=米国・ユニバーシティラボラトリースクール)の3人で得点を稼いできたんですけど、試合中もTDダービーと言いますか、「俺なんぼとったわ」みたいな感じで競争意識というのはすごく持っていましたね。オフェンスとしてTDを取れたらもちろん嬉しいんですけど、3人の中の誰かが取ったTDというのは「お前俺より先になに取ってんね~ん!」ってなりますね。その競争意識っていうのが良かったかなと僕は思いますね。

遠藤 僕はまじめな話をしますと(笑)。

元山 俺がふざけとったみたいになるやん!

一同 (笑)。

遠藤 主にパスユニットの話なんですけど、シチュエーションに応じてこのパスプレーを出すっていう風に練習中からエンドゾーンを意識して何回もやってきました。そういう意味では試合で同じシチュエーションになった時に、恐らくこのコールが来るであろうということを僕らレシーバーもそうですし、QBも意思疎通できていて、「やっとこのプレーコールが来た」というのがあったら「このプレーは絶対に決めよう」と、腹をくくったようなイメージになるので、メンタル的なところは変わったかなと思っています。相手チームに応じたプレーっていうのがあるので、「これは絶対に決めてほしい」っていうプレーに関してはディフェンスをつけた練習や、QBとレシーバーだけで合わせる練習とかも重点的にやってきました。

――元山選手はオフェンスリーダーですが、ランプレーでキーとなる選手は

元山 自分以外だとRB片岡(遼也副将、法4=東京・早大学院)ですね。片岡は高校のスーパースターで、僕は逆に関西の豊中高校という公立出身でほぼ無名でやってきてて、常に片岡の背中を追ってきましたし、常にライバルとしてやってきました。今の自分があるのも片岡が同期にいてくれたおかげだと思います。そんな感じでやってきたんですけど、彼は今年ケガ続きで、秋にもケガをして長期離脱してしまいました。やっと戻ってきましたけど、この秋シーズンあいつはまだ不完全燃焼やと思うので、甲子園ではあいつが思いっきり走っている姿を見たいですね。

――遠藤選手はWR主任ですが、パスプレーでキーとなる選手は

遠藤 4年のWR高地(駿太朗、先理4=神奈川・浅野)ですね。彼は浅野高校出身で、全てが上手なんですよね。どれが武器と言われると答えるのが難しいくらい、ブロッキングやルート取りもそうですし、キャッチングも全てがそろっています。秋リーグの中盤くらいまでは、キャッチ数も並んだりして競い合っていたんですけど、そこからターゲットになる機会が減って彼自身くすぶっている部分があると思うので、片岡と同様に甲子園で暴れてくれることを期待しています。

――QB柴崎哲平選手(政経3=東京・早大学院)との連携は

遠藤 柴崎も4年生と同じ気持ちでやってくれていて、プレー面でも言動でもとても信頼しています。練習以外でもコミュニケーションはしっかりと取れているので、普段から仲が良いですね。この話はプレッシャーになるかもしれないんですけど、甲子園はQBの良し悪しで攻撃の質も、試合の結果も変わってくると思います。柴崎はそれを担ってくれるような存在ですし、本当に期待していて信頼もしています。

――現在のチームの完成度は

元山 60%くらいですかね。だいぶ形はつかめてきたと思うんですけど、伸びしろが各ポジションまだまだあるなと思っています。というか伸びていかないと関西の相手には勝てないなと思っているので、期待も込めて60%くらいですかね。

遠藤 僕も同じ感じですね。60~70%くらいですかね。モラルの部分が少し足りていないところがあって、すごく些細(ささい)なところなんですけど、ハドルのブレイクであったりとか離合集散であったりとか、そういうところをおざなりにしているチームっていうのは絶対に勝てないと思っているので、この2週間、4年生が先頭となって引っ張って、モラルの部分も徹底していければなと思います。

――今シーズン、ディフェンスに助けられた場面も多かった印象がありますが、ディフェンスへの信頼は

元山 ディフェンスリーダーが、僕の高校時代からの同期であるLB中村匠(人4=大阪・豊中)で、今年のディフェンスは結構ヤードは許してしまっているんですけど、その分ターンオーバーは関東で1番多くもってきてくれました。法大戦なんかは特にそうだったんですけど、ターンオーバーで良いフィールドポジションを持ってきてくれて、僕らがそこを決めきって得点につながるっていうのが多いので、そこに関しては甲子園でも良いフィールドポジションで持ってきてくれると信じています。ターンオーバーしてくれるのはめっちゃありがたいですし、うちのディフェンスの『曲がっても折れない』守りを大舞台でも見せてもらいたいですね。

遠藤 ヤードは取られてしまっていたんですけど、ターンオーバーの数が関東のリーグで1位で、最後はなんとか抑えてくれました。ターンオーバーで持ってきてくれるのはすごく助かりますし、ディフェンスが持ってきてくれたボールをスコアにつなげるっていうのは、オフェンスの役割だと思います。オフェンス、ディフェンス、キッキングが一体となって、スコアを奪って流れをつかみたいと思っています。ディフェンスのことは信頼しています。

――アメフトを始めたきっかけは

元山 中学まではクラブチームでサッカーをしていました。そのまま豊中高校という公立高校に進学して、高校でもサッカー部に入ろうとしていたんですけど、高校入学した時に髪を染めていたせいで仮入部を断られてしまったんですよ(笑)。そしたら関学大の副将をやっている同期のWR尾崎(祐真)に「アメフトもちょっと練習してみないか?」みたいな感じで誘われました。私の父が豊中高出身でアメフト部に入っていたこともあって、ちょっと背中を追うような感じでした。おもろい仲間とかもおったんで、そのまま流れでアメフトを始めた感じです。

遠藤 僕は高校からアメフトを始めました。高校は早大学院で、中学までは野球をやっていたので野球を続けようかと思っていました。そんな時に高校のアメフト部が全国で2連覇していて、面白そうだなと思ってグラウンドに見学に行ったら、練習場が人工芝ですごいと思って、始まりはそんな些細(ささい)なことからでしたね。

――高校時代はどのようなプレーヤーでしたか

元山 FBとLBを両面でどっちもやっていました。泥臭いと言いますか、そんなに華のあるタイプではないので、どっちかっていうと根性で泥臭くという感じでしたね。

遠藤プレースタイルは全然変わらないですね。僕は身体が細いですし、ずっと身長も低かったので取り柄がなかったんですけど、スピードとキャッチングでは誰にも負けたくないっていうのは高校の時からずっと一緒で、それは今も貫いているという感じですね。

――元山選手の高校時代の同期にはLB中村選手がいらっしゃいますが、元山選手にとってどのような印象ですか

元山 身体能力が本当にすごくて、わけわからん重さのダンベルを高校時代から持ち上げていました。「お前なんでそんな筋肉デカいん?」と聞いたら「馬の肉食べとるから」と言われました(笑)。あいつも昔は両面で、LBとTBをやっていたので、ほんまに常に一緒にプレーしていたんですけど、本当に身体能力は高校の時からすごかったですね。

――元山選手が早大に入ろうと思ったきっかけは

元山 まず、大学でもアメフトを続けようと思った理由が、高校の最後の春大会で関西学院高に負けたというのが一つです。それで大学に入ったら関学大を倒したいなというのは思っていました。選択肢としては立命大とかもあったんですけど、やっぱり早慶ブランドも欲しいと思って、ワセダかなと思いました。そこから必死に勉強して無事に合格したって感じですね。

――LB中村選手の存在というのは大学に入ってからいかがですか

元山 中村は2年前の甲子園ボウルに出てめっちゃ活躍してるんですよ。それが羨ましくて、めちゃくちゃジェラシーでしたね。テレビとかで顔が映っているのを見てめっちゃ羨ましいなって思って、1年後か2年後には自分が出て絶対に活躍してやろうと思いました。

――なぜ大学ではLBでもFBでもなく、TBを選ばれたのですか

元山 高校の時はFBでも結構ボールを持っていたんですけど、大学ではほとんどボールを持たないと聞いていたので。やっぱりちょっと目立ちたがり屋な部分があるので、華のあるTBに変えようと思ったからですね。

――遠藤選手は高校時代、1、2年次は日本一に輝きましたが、最高学年として迎えた3年次では惜しくも『日本一』には届きませんでした。そこへの特別な思いはありますか

遠藤 正直高校1年生の時の日本一は先輩に連れてってもらっただけみたいな感じでした。2年生の時はちょくちょく出させてもらっていて、それだけでも日本一になった経験っていうのはすっごい嬉しかったですし、今でもその時のことは鮮明に覚えていますね。でもやっぱり、高3の時に僕らも関西学院高相手にクリスマスボウルで負けて引退したので、そういう意味でも僕は関学に負けた悔しさっていうのはあります。大学で雪辱を果たしたいなと思っています

――早大学院時代から共にプレーしてきた仲間の存在というのは

遠藤 ずっと一緒にやってきている分、それぞれの癖や弱い部分、強い部分を分かっていますし、練習中でもお互い指摘し合える存在でもあります。信用している部分もたくさんありますし、長い年月を共にしてきて信頼しているので、そういうチームメートがたくさんいるっていうのは心強いですね。

――練習量を増やした中で、ここまでついて来てくれた後輩たちへの思いは

元山 今年、練習量を増やしてモラルの部分でも例年と比べて厳しく言ってきた中で、よくここまでついて来てくれました。僕たちはオフェンスでも結構下級生がスタメンを占めていて、特にQBの柴崎もそうですし、彼らの力がなければここまで来れていないです。そういう意味でも後輩たちを甲子園で勝たせてめっちゃ喜ばせたいですね。

遠藤 レシーバー主任としても、練習量を増やしましたし、きつい練習を春からずっとやってきて、それでも必死について来てくれました。もちろん翼もそうなんですけど、WR小貫(哲、教2=東京・戸山)であったり、WR河波(正樹、スポ2=カナダ・シアクァムセカンダリースクール)であったりはリーグ戦を戦い抜いた戦友でもありますし、本当に信頼しています。大学入ってから下級生のうちは先輩たちを勝たせたいという思いでプレーしてきました。正直な話をすると、高校の時は最終学年の時も後輩を勝たせたいとは思ってなかったんですけど、今は最終学年になって、頑張ってきた下級生を日本一にさせたいという思いがすごい強くて、そういう意味では自分たちだけの日本一じゃないなと思いますし、後輩のためにも頑張りたいなと思います。

――お二人はオフェンス部門のリーダーをやられていますが、特に苦労したことは

遠藤 新チームが始まって、昨年のオフェンスのチームからいろいろな反省点を出して変えていこうとやってきました。ゼロからのスタートだったんですけど、モラルの話からプレーの話まで、どこを変えていくかといったところでいろいろ試行錯誤を常にしました。2、3月の頃は4年生だけでミーティングをしたりもして、4年生って本当にやることが多いんだなと思いましたね。4年生は自分たちの代なので、4年生だけのミーティングを開いて、プレーヤーとしてどうこうというよりかは、チームの運営、オフェンス全体をどういう風に変えていくかという話し合いは苦労しましたし、大変でしたね。

元山 僕はリーダーとしての自分と普段の自分のオンとオフを切り替えるのがめちゃくちゃ大変で、あんまりリーダーにふさわしい人間じゃないんですよね(笑)。遠藤もそうなんですけど、性格とかを見てもお互いに感情的になりやすいですし、言葉も汚くなっちゃうときもあります。でもリーダーになったからには、後輩であったり同期であったりに背中で見せないといけないですし、他人にも厳しくしなきゃあかんので、東伏見のグラウンドに来たときはリーダーとしての自分であろうという風には思っていました。あと僕はオフェンスリーダーだったので、オフェンスユニットを一年間取りまとめてきて、4年のオフェンスミーティングを随時開くんですけど、ほんまに真面目で性格の良いやつが多いんですよ(笑)。でも厳しいことを言わなくちゃいけないですし、しっかりと言ってチームをまとめなきゃいけないので、自分の中では苦労というよりかは精神的にきつかったですね。チームの文化を変えるということで、今までは、泥くさくとは言いつつもフィニッシュまでは徹底できていないこととかが結構あったんですけど、今年は本当に泥くさく『Play Hard』というスローガンを掲げて、そういったフットボールを根付かせようと頑張ってきました。まだまだ自分の満足のいくところではないんですけど、選手たちのマインドを変えるというところでは苦労しました。

「ワセダの歴史を変える」


甲子園ボウルへの意気込みを語るRB元山

――関西のチームの印象というのは

遠藤 関西の大学の印象としては一対一のこだわりがすごく強いなという印象を持っています。関西の大学とは毎年春に試合をさせてもらっているんですけど、勝負へのこだわりというところにかなり重きを置いていて、一人一人のテクニックとかももちろんそうなんですけど、それ以上に絶対にこの相手には負けないという気迫の部分や、メンタルの部分が強いなっていうのは肌でも実感していますし、ビデオとかで見ていてもそう思いますね。関東と比べると、目の前の相手を蹴散らすっていうイメージがすごく強くて、そういう面では僕らもオフェンスのテーマとして『Play Hard』というのを掲げているので、一対一でハードに泥くさくいって、絶対に負けないっていうのを甲子園でも体現して、その勝負に勝ちたいなと思っています。

元山 元々関西でフットボールをしてたということもあって、純粋に関学大や立命大のフットボールのファンなんですよね。関学大であれば知性に裏付けられた強さと言いますか、賢いフットボールをしてくる感じです。立命大は逆に『アニマルリッツ』って呼ばれているくらい結構野蛮で、センスのある選手が多くいる印象ですね。関西のチームは伝統のカラーがそれぞれあるなと思っていて、逆に関東ではそういった伝統のカラーというのがあまりないように感じるので、そこは純粋に羨ましいなと思います。あとはフットボールにかけている時間であったり熱意であったりとかが、関西の選手っていうのはほんまにすごいなと思っています。僕の友達が関西にも結構おるんですけど、話を聞いていても関東のフットボールとは比べ物にならないくらいの熱意を捧げているのが分かるので、そこに関してはほんまに脅威ですね。

――勝つためにチームとして必要なことは

元山 ここからは実力であったり、フィジカルであったりとかというのも多少は変われる部分っていうのもあると思うんですけど、大事なのは勝利に向かってチームが一致団結できるかってところなので、4年生を中心にどれだけアメフトに懸けられるかってところです。僕はほんまに甲子園も勝って、ライスボウルも勝って、それを一生の思い出であったり自信であったりにして、日本一になったという栄光を持って社会に出たいのです。そういうビジョンを描いているので、絶対に勝ちたいですね。

遠藤 さっき元山が言ったように、実力を伸ばすということもそうなんですけど、あとはメンタル的な部分で、甲子園のフィールドに立った時に「もう俺らはこんだけやってきたんだから大丈夫」っていうメンタルを作っていくことがすごく大事だと思っています。それはプレーの部分やモラルの部分、今までの練習量といった色々な要素が合わさると思います。そういう要素を残り2週間で妥協なくやりきって、1つの不安も残さずに試合当日を迎えるってことが、関西に勝つためには必要なことだと思うので、その辺りを2週間突き詰めてやっていきたいなと思います。

――15年と16年にチームは甲子園ボウルに2年連続で出場しましたが、その時の甲子園の印象は

遠藤 正直、当時の先輩には申し訳ないんですけど、甲子園のフィールドに立てるってだけで満足していた部分がありました。それでちょくちょくレシーブとかもして、負けたけど自分としては十分やったっていう気持ちがありました。あの場所はフィールドに独特な雰囲気があると思っていて、いつも通りやろうと思ってもうまくできない不思議な感覚はありましたね。それを自分は経験しているので、還元できるところは全てチームに還元していきたいなと思います。

元山 当時は完全に補欠RBで、須貝(和弘、修士2)さん北條(淳士、平29社卒)さんの後だったので、RBとしての出場はなかったんですけど、キッキングには結構出ていたので、そこで活躍してやろうと思ってましたね。でもあの時は須貝さん、北條さんにおんぶに抱っこという感じだったので、先輩かっこいいなというのと、匠(LB中村)活躍してるやん!という印象ですね。でもやっぱり目の前で関学大の選手を目にした時には、でかいし、強そうやしと圧倒された部分はあったのであの時に試合に出ていたら手も足も出なかったと思うんですけど、あの時からは自分も成長して、技術も得て、しっかりと戦えるところまできたのかなと思っています。

――その当時のチームと比べた、現在のチームの特徴は

遠藤 オフェンスが強いところですかね。オフェンスが結果を残して甲子園にいくっていうのが、強みではあるかなと思いますね。でも、それは関東での結果であって、僕らが目指しているのはあくまで日本一なので、本当に大事なのはここからだと思います。関東NO.1のオフェンスというプライドを持って、関西相手にも関東のチームを相手にした時と同じくらいの得点をして、絶対に勝ちたいなと思います。

――最終学年として挑む、最後の甲子園ボウルとなります。そこへ向けた意気込みをお願いします

元山 ほんまに関西の大学を倒すために自分はフットボールを続けてきたので。そのためにこの一年間、厳しいトレーニングも積んできて、今の自分があると思っています。誰よりも関西に勝つということに関しての気持ちは強いと思っているので、必ず勝って、ワセダの歴史を変えるという意気込みで臨みたいなと思います。

遠藤 大学に入った時から日本一になりたいという気持ちがずっとあって部活を続けてきました。この4年間の中で特に最後の1年間は、練習量の面でも精神的なところでもつらいこともありました。頑張ってきた結果が日本一ではないと、自分たちの取り組みが証明されないと思うので、自分たちの取り組みが正しかったっていうことを証明するためにも絶対に日本一になって、ワセダの歴史を変えていきたいなと思ってきます。

――ありがとうございました!

(取材・編集 涌井統矢)


意気込みを力強く色紙に書いていただきました!

◆元山伊織(もとやま・いおり)(※写真右)

1997(平9)年1月25日生まれ。172センチ、82キロ。大阪・豊中高出身。商学部4年。ポジションはRB。背番号は7。今シーズン、オフェンスリーダーとして1年間チームを鼓舞し続けた元山選手。関東リーグでリーディングラッシャーを獲得するなど大きく成長。インタビュー中、薄着の早スポ記者に「寒くないですか」と気を使ってくださるなど、優しさが溢れ出していました!

◆遠藤健史(えんどう・つよし)(※写真左)

1996(平8)年11月17日生まれ。168センチ、70キロ。東京・早大学院高出身。法学部4年。ポジションはWR。背番号は13。圧倒的なアジリティを武器に、DBを置き去りにする姿は圧巻。インタビュー時は快くさわやかに質問に応じてくださいました!