今季の女子ツアーは「黄金世代」と呼ばれる、1998年4月~1999年3月生まれの選手たちが台頭。彼女たちの活躍が目立つ1年だった。 アマチュア時代の高校1年生のときにツアー最年少優勝を果たし、今季はプロとして初優勝を飾った勝みなみ。フ…

 今季の女子ツアーは「黄金世代」と呼ばれる、1998年4月~1999年3月生まれの選手たちが台頭。彼女たちの活躍が目立つ1年だった。

 アマチュア時代の高校1年生のときにツアー最年少優勝を果たし、今季はプロとして初優勝を飾った勝みなみ。フル参戦1年目の今季、4月のトーナメントで早々に初勝利を挙げた新垣比菜。13回のトップ10フィニッシュを決めて、賞金ランキング8位という結果を残した小祝さくら。

 さらに、8月のCAT Ladiesを制した大里桃子。ステップ・アップ・ツアーで2勝を挙げて、レギュラーツアーの賞金シードも獲得した原英莉花。そして、今季の米女子ツアーで2勝して、「黄金世代」の代表格となる活躍を見せた畑岡奈紗。

 彼女たちは皆、弱冠19歳、20歳の乙女である。しかも、ほとんどの選手が今季、初のツアーフル参戦を果たしたばかりだ。にもかかわらず、これほど多くの面々がツアーで躍動したことを思えば、「黄金世代」と騒がれるのもよくわかる。

 そんな「黄金世代」の一員として、もうひとり忘れてはいけない選手がいる。

 三浦桃香である。

 意外にも、彼女の姿は11月末、来季ツアーの出場権をかけたファイナルQTの会場にあった。

 シード常連選手も数多く出場していた今年のファイナルQT。その熾烈な争いのなか、三浦も4日間の戦いで死力を尽くした。そして、ファイナルQT6位という順位でフィニッシュして、来季前半戦の出場権をどうにか確保した。

 ラウンドを終えた三浦は、報道陣に囲まれると、「『無職になりたくない』と思ってがんばったので……。これで、来年も”職場”があります。がんばれば、がんばった分、返ってくるとわかりました」と、ホッと胸をなで下ろして笑顔を見せた。




来季ツアーでのさらなる活躍が期待される三浦桃香

 それにしても、三浦はこの1年、プロゴルファーとして生きていく難しさやつらさを存分に味わったのではないだろうか。

 アマチュア時代からプロのトーナメントに出場し、当時から高い存在感を示していた三浦。愛らしい外見とは裏腹に、169cmの長身を生かした豪快なドライバーショットで多くのファンを魅了した。おかげで、QTランキング34位でツアー参戦を果たした今季は、飛ばし屋の”美女ゴルファー”としてブレイクが期待された。

 実際、シーズン序盤は大ブレイクの予感があった。自慢の飛距離に加えて、身上とする”攻めるゴルフ”で存在をアピール。Tポイントレディスでは初日に3位発進し、アクサレディス in MIYAZAKIでは2日目を終えてトップに立ち、国内メジャー初戦のワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップでも初日に首位タイでスタートするなどして、女子ツアーの”新ヒロイン”として一躍脚光を浴びたのだ。

 だが、好発進を決めてもなかなか結果を残せずにいると、徐々に歯車が狂い始めていった。そして、夏場を迎えると一気に失速した。

 前半戦最後のアース・モンダミンカップ(6月)で予選落ちを喫すると、ニッポンハムレディスクラシック(7月)からスタートした後半戦最初の3試合を含め、4試合連続の予選落ち。さらに、8月のCAT Ladiesからは7試合連続予選落ちの憂き目にあった。

 当時のことについて、三浦はこう振り返った。

「(今季は)8月からが、本当に長かったです。オフなしでずっとゴルフをやってきたので、長くて苦しかった。それに、予選落ちばかりするので、そのイメージがずっと残ってしまって、(夏以降は)それがプレーに影響していました」

 しかもこの時期、三浦はプロテストにも挑んでいた。しかし、第2次予選A地区でまさかの落選。最終プロテストにさえ進めず、2年連続で不合格に終わっている。

 予想外の結果に周囲の驚きも大きかったが、もっともショックを受けて落ち込んだのは、三浦本人だろう。それが、ツアーでの戦いに影響を与えても不思議ではない。

 結局、前半戦の活躍によって、第1回リランキングでは20位に入って後半戦の出場権も得たものの、それを生かすことはできなかった。最終的に賞金ランキングは81位にとどまって、目標の賞金シードは得られなかった。

 ともあれ、前述のとおりQTランキング6位となって、来季前半戦はツアーに参戦できることになった。「(気持ちが切れないように)我慢して、やるべきことを続けてきたことが、(QTでは)生きました」と、三浦は語る。

「8月からスイングを変えたんです。それに対して、本当によくなるのか、不安もありましたが、信じ続けてよかったです。それが、QTで生かされたんだと思います。

 今はスイングがすごくよくなって、ドライバーが曲がらず、飛距離も出るようになりました。まあ、高校1年生のときのほうが、もっと飛んでいたんですけどね(笑)。来年はもっとスイングを安定させて、ボギーを叩かないゴルフができるようにしたい」

 こうして、最低限の「目標は達成できた」と語る三浦は、「とりあえず、またゴルフができるのが、本当にうれしい」と満面の笑みを見せた。

 しかし、喜んでばかりはいられない。三浦の前には、来年も厳しい”試練”が待っている。

 というのも、来年からプロテストを合格した正会員でないと、QTに出場できなくなるからだ。つまり、正会員でない三浦は、来年こそプロテストに合格することが必須となる。もしくは、来年以降もツアーで戦うためには、ツアーで優勝するか、賞金シードを獲得するかして、LPGAの会員資格を取得しなければならない。

 まさにプロの世界は結果がすべて。プロゴルファーとして生きていく三浦の、”新たな勝負”はすでに始まっている。