1年間の集大成をコートで表現する全日本大学選手権(インカレ)が今年も幕を開けた。早大は京産大と対戦。京産大の留学生選手やシューターに苦戦し、早大はなかなかリードを奪うことができない。最終クオーター(Q)残り13秒で3点のビハインドを抱え絶…

 1年間の集大成をコートで表現する全日本大学選手権(インカレ)が今年も幕を開けた。早大は京産大と対戦。京産大の留学生選手やシューターに苦戦し、早大はなかなかリードを奪うことができない。最終クオーター(Q)残り13秒で3点のビハインドを抱え絶体絶命かと思われたが、これまでチームを引っ張ってきたG長谷川暢副将(スポ4=秋田・能代工)が「自分が絶対に打つんだ」と強い気持ちで放ったボールが見事にリングに吸い込まれ、試合は延長戦に。一発勝負のインカレとあって延長戦も両チーム一歩も譲らない展開となるが、残り22秒でG森定隼吾(商4=岡山・倉敷青陵)が果敢に攻め込みリードを4点に広げる。最後にC富田頼(スポ4=京都・洛南)がアンスポーツマンライクファウルをもらい、ダメ押しでフリースローを沈め81-76で初戦を突破した。

 前半は京産大のシュートが決まりなかなか前に出ることができない。第1QではF濱田健太主将(社4=福岡第一)がスリーポイントを沈め主将としてチームを鼓舞すると、それに応えるようにC宮本一樹(スポ1=神奈川・桐光学園)もゴール下で4年生のために気を吐き力強いプレーを見せる。第2QでもG柳川幹也(スポ2=京都・洛南)がスリーポイントを沈め、F桑田裕平(商3=京都・洛南)のディフェンスリバウンドから長谷川暢のアシストをC小室悠太郎(社2=石川・北陸学院)が決め切るなど3年生以下の活躍も見られたが、京産大のシュート率が上回り、35-41とビハインドを負って前半を終えた。


キーマン宮本はインカレの大舞台で、これまでとは見違えるような姿を見せた

 後半はより一層タイトなディフェンスを仕掛け京産大を失速させるワセダのバスケット展開を繰り広げた。第3Q初めに4年生が連続で得点を挙げ早大を盛り上げる。スティールやパスカットからの速い展開も多く見られ、同点に持ち込むと抜きつ抜かれつのシーソーゲームに。第4Qでは京産大のゾーンディフェンスに一時攻めあぐねるも、ディフェンスとリバウンドからペースを崩さない。激しい攻防戦の末、残り13秒で京産大のシュートが決まりると3点のビハインドを抱えてしまう。誰もがここで終わってしまうのかと肩を落としたが、長谷川暢がみせた。素早いドライブの後放ったスリーポイントシュートがゴールネットを揺らし、ブザービートに成功。延長戦に持ち込みチームのピンチを救った。延長戦でも試合は拮抗(きっこう)し、最後までどちらが勝つかわからない展開となった。試合が動いたのは残り22秒。森定が果敢に攻め込み自らリバウンドシュートをねじ込むとリードを4点に広げ早大ベンチは歓喜に包まれた。残り1秒でもらったフリースローで富田がとどめを刺すと81-76で白星をつかみ取った。


絶体絶命のピンチでブザービートを沈めた長谷川

 絵にかいたような試合展開となったインカレ初戦。4年生はもちろん、下級生も全員が勝利への執着心をもって臨み、リーグ戦のときよりもさらに一皮むけた姿が印象的だった。40分間ディフェンスから流れをつかむワセダのバスケットを体現し、つかんだきょうの勝利は選手たちにとって大きいものだろう。次は関東大学リーグ戦(リーグ戦)2位の大東大との対戦。厳しい戦いになるかもしれないが、今の早大は十分に勝機がある。「自分たちらしいプレーを最後までやって」(長谷川暢)、リーグ戦のリベンジをインカレで果たしてもらいたい。

(記事 阿部かれん、写真 吉田寛人)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

第70回全日本大学選手権 12月10日(vs京産大)
  1Q2Q3Q4QOT合計
早大1718162181
京産大2219121976
◇早大スターティングメンバー◇
F#27 濱田健太(社4=福岡第一)
G#13 長谷川暢(スポ4=秋田・能代工)
C#26 富田頼(スポ4=京都・洛南)
C#7 宮本一樹(スポ1=神奈川・桐光学園)
F#39 桑田裕平(商3=京都・洛南)
◇主なスコアリーダー◇
得点  長谷川暢:23得点
リバウンド  長谷川暢:11リバウンド
アシスト  長谷川暢:4アシスト
コメント

G長谷川暢(スポ4=秋田・能代工)

――劇的な勝利で初戦を突破しました

後輩たちにいい思いをさせたいという気持ちでインカレまでやってきて、みんなに恩返しをしたいという気持ちも強かったので、こんなところで負けてたまるかと思っていました。(4Q終盤に)相手のシュートが入って3点差になった時点で自分が絶対にシュートを打つんだと決めていたので、あのシュートが結果的に入って勝てたことは率直に嬉しいです。

――きょうの試合にはどのようなプランで臨まれましたか

相手には留学生がいて、自分たちはサイズも小さいのでリバウンドを取りきろうということと、いいシューターがいたのでその選手をアジャストしながら抑えようというプランでした。リバウンドに関してはビッグマンがとても体を張ってくれていたので、ガード陣でしっかり取りきってボールを前にプッシュできればいい流れが来るんじゃないかと思っていました。試合中に自分たちでしっかりアジャストしながら勝ち切ることができたので、今季で一番と言ってもいいぐらいの試合だったんじゃないかなと思います。

――前半からビハインドの展開が続きましたが後輩たちにはどのようなことを伝えていましたか

絶対追いつけると思っていましたし、負ける気はしなかったので、後輩たちには「まだまだここからだよ」ということは話していました。自分自身試合中にターンオーバーをしてしまって暗くなってしまいそうになったのですが、4年生が励ましの声をかけてくれて、自分は思い切ってやるだけだし、勝負は自分が決めるんだという強い気持ちで40分間粘り強く戦うことができました。それでもまだまだやれることはあると思いますし、自分のプレーに関しては課題ばかりだったので次に繋げていきたいと思います。

――宮本選手など、後輩も躍動していました

宮本に関して言えばこの大会のキーマンだと思っていて、自分は優しく指導してきたつもりなんですけど(笑)、やはりこれまでうまくいかない部分もあった中で、きょうの試合はすごく体を張っていて力強いレイアップもたくさん見せてくれました。宮本が頑張ることがチームの活力にも繋がると思いますし、この舞台で1年生があのように力強いプレーを表現できるのは宮本の練習の成果だと思うので、先輩として思い切ってプレーする姿を見ることができて嬉しいです。

――2回戦は強豪の大東大との試合です

チームとしても1戦必勝ということをスローガンとして掲げていて、強豪との試合が続いていくのですが、自分たちは強いチームではないので、後悔なく終われるように純粋に楽しみたいと思っています。大東大はリーグ戦2位のチームなのですが、そこに勝って何かやってやるぞという気持ちはあるので、勝ち負け以上に自分たちらしいプレーを最後までやって悔いのないゲームにしたいと思います。

C宮本一樹(スポ1=神奈川・桐光学園)

――初戦突破して今の率直なお気持ちをお聞かせください

ホッとしたという気持ちが一番で、最後のフリースローを決められたことが自分のメンタル的に良かったなとは思います。でも、その後のスリーや最後のファウルだったりは結果的には相手がフリースローを2本落としていい形でつながったんですけど、あれでフリースローを2本決められていたらゲームは終わっていたので、結果的には良かったんですけど僕があそこでスリーを打つんじゃなくて隣にハマケンさん(F濱田健太主将、社4=福岡第一)いたので回した方が良かったかなと今になって思います。でも試合には勝ってホッとしています。

――留学生への対策はどのように立てていましたか

他のチームの留学生だと体重も身長も勝てていないので、ダブルチームにいってローテーションで守るんですけど、きょうは体重では勝っていたので1人で守るというプランでした。前半は相手もポロポロシュートを落としていたんですけど、後半になって相手の留学生が対応してきてシュートを決められてしまって、こっちがゾーンを攻められない状況で相手に確実に点が取られてシーソーゲームになってしまいました。後半はもう少し速く寄ったり対策をすれば良かったかなと思います。

――接戦になってしまった要因は

3ピリや4ピリは結構守れてリバウンドも取れて、きょうはディフェンスリバウンドが83パーセント取れていて、今シーズンや昨年一昨年でも留学生のいるチームで83パーセント取れたのは初めてでした。そういう試合でリバウンドを取って走って流れが来そうな時はあったんですけど、決めきれなくて逆に相手が速攻でまた点差が縮まってといのがシーソーゲームの一番の要因だったと思います。

――最後に同点に追いついた場面を振り返っていかがですか

きょうは球際やルーズボール、リバウンドなど気持ちの部分で絶対に負けないというチームプランだったので、そこは全員が徹底できて最後に暢さん(長谷川副将、スポ4=秋田・能代工)がスリーを決めて延長で勝てたのは、やることをしっかりやってああいう結果になったと思うので明後日の大東大戦も、気持ちで上回れば勝てない相手じゃないと思うので、気持ちで勝ってしっかりとやっていきたいと思います。

――きょうのご自身のプレーを振り返っていかがですか

きょうは前半からスリーが全然入らなくて。僕は相手にスリーを打つキャラだと思われていたので(笑)。フェイクしてドライブで抜いていってカウンタードライブでレイアップで結構点が取れたので、良かったと思います。後は明日練習してシュートの精度を上げて、終盤クラッチタイムに強くなりたいですね。

――改めて大東大戦への意気込みをお願いします

生半可な覚悟では絶対に勝てる相手ではないと思うので、さっき言ったように気持ちで相手を上回って絶対に1秒たりとも気を抜かないでやっていきたいと思います。