第40回日米大学野球選手権大会が12日に新潟で開幕し、第1戦開始前に1983年の大学日本代表メンバーだった元東大野球部の大越健介氏が、後輩の宮台康平投手を激励した。その後始球式にも臨んだ大越氏は、スリークォーター気味のフォームで投球。■東大…

第40回日米大学野球選手権大会が12日に新潟で開幕し、第1戦開始前に1983年の大学日本代表メンバーだった元東大野球部の大越健介氏が、後輩の宮台康平投手を激励した。その後始球式にも臨んだ大越氏は、スリークォーター気味のフォームで投球。

■東大から33年ぶり選出の後輩に「信頼を勝ち得て試合で仕事ができるように」とエール

 第40回日米大学野球選手権大会が12日に新潟で開幕し、第1戦開始前に1983年の大学日本代表メンバーだった元東大野球部の大越健介氏が、後輩の宮台康平投手を激励した。その後始球式にも臨んだ大越氏は、スリークォーター気味のフォームで投球。外角高めのボール球に「届いただけでいいです。緊張してプレーボールって言われる前に投げちゃいました」と照れくさそうに笑った。

 現在、NHK政治部記者を務める大越氏は、33年前に東大野球部から初めて大学日本代表メンバーに選出された。今回代表入りしている宮台康平投手は、東大野球部からは大越氏以来33年ぶりの代表選出。試合前に激励を受けた宮台は、大先輩に声を掛けられると「(先発予定の第3戦)15日に合わせて調整しています」と笑顔で応えた。

 宮台の選出が決まった時、電話で祝福したという大越氏は「周りがいろいろ注目するだろうけど、早くチームの一員として信頼を勝ち得て試合で仕事が出来るように頑張って」とアドバイス。すでに第3戦での先発が決まっている後輩に「きちんと先発を任せてもらえるだけの認められ方をしている。多分ツボにはまれば、いいピッチングをしてくれると思う」とエールを送った。

■試合前に高揚する選手たちに「若さをスポーツに掛ける気を感じた。ドキドキした」

 試合開始直前、代表ユニフォームを身にまとって高揚する選手たちの姿を間近にし、「彼らのストレートな、若さをスポーツに掛けている気みたいなものを感じた。久々にドキドキした感じがしましたね」と目を丸くした。「みんなカモシカみたい。僕なんかの時とは違う、新しいスポーツマンが今の時代はいる。すごくしなやかな足の長い、すごく運動能力の高そうな選手たちがパーッとグランドに散っていくのを見るとかっこいい」。

 そう話しながら、同時に33年前の思い出がよみがえってきた。

「ちょっと喉が渇くみたいな感じで、ブルペンに行っただけでも高ぶりましたもんね。マウンドに行った時は覚えていないくらい。普段曲がらないカーブを勝負球にしていたのに、カーブが曲がっちゃうんですよ。身体が異様な作用をするという(笑)。『おかしいな、オレじゃないぞ』って思っていたら、ファーストにいた広沢克巳(元巨人)がね、『お前らしくないぞ』って(笑)」

 当時の結果は打者2人を相手に1死も奪えずに降板。それでも代表メンバーとして戦った経験は、貴重な財産になった。

■33年前の日米野球では対戦相手にマグワイアが…「一生の宝」

 33年前の第12回大会には、1988年にシーズン70本塁打を放ち、メジャー通算583本塁打を記録したマーク・マグワイアがアメリカ代表チームにいた。現在はパドレスでベンチコーチを務めるが、ドジャースの打撃コーチだった昨季、番組制作のためにインタビューを申し込んだという。

「あの時一緒にプレーしたんだって言ったら、すぐにオッケーって。ここから先はそれぞれの道を行くけど、あの時同じところでやったよねっていうのは一生の宝になる」と、対戦相手との間に生まれた絆を実感したそうだ。

「うらやましいです、選手たちが。みんなすごくキビキビしていた。いいものを見させてもらった」

 日の丸を背負う重みをハツラツとしたパワーに変える大学代表選手たち。未来の日本球界を支える逸材たちが放つ輝きは、大先輩の目にもまぶしく映ったようだ。