2018年シーズンはノバク・ジョコビッチ(セルビア)が驚異の復活を遂げた年だった。シーズン前半は昨年ツアー離脱の原因になった右肘の故障に引き続き悩まされ、不振が続いたが「ウィンブルドン」で復活。さらに「全米オープン」も優勝し、最終的に世界1…

2018年シーズンはノバク・ジョコビッチ(セルビア)が驚異の復活を遂げた年だった。シーズン前半は昨年ツアー離脱の原因になった右肘の故障に引き続き悩まされ、不振が続いたが「ウィンブルドン」で復活。さらに「全米オープン」も優勝し、最終的に世界1位に舞い戻った。

「ウィンブルドン」以降のジョコビッチの成績は35勝3敗、勝率は92.1%と驚くべき数字で、また彼の時代の到来を予感させる。しかし、ジョコビッチが復活後に喫した3敗には共通点があり、来シーズン以降に一抹の不安がある。

その共通点とは、敗れた相手が22歳以下の勢いのある若手であることだ。今回はジョコビッチの時代を阻止し、世代交代を進める可能性のあるその3人を紹介する。

■最終戦初優勝を飾ったアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)

最終戦「Nitto ATPファイナルズ」の準決勝でロジャー・フェデラー(スイス)を、決勝でジョコビッチをそれぞれストレートで破って初優勝を飾ったズベレフは、来年に向けて大きなインパクトを残した。21歳までの戦績をみても、ズベレフはBIG4と遜色ない強さを誇っている。

マスターズ1000でも2度の準優勝、そして5月の「ATP1000 マドリード」でキャリア通算3個目となるマスターズ1000のタイトルを獲得し、昨年に続く勢いを見せている。

グランドスラムでは昨年に続き、期待通りの成績を残せなかったが、「全仏オープン」では初めてグランドスラムでベスト8に進出。来シーズングランドスラムで結果を出せば、世界1位に輝く可能性もある。

■マスターズ1000初タイトルを獲得したカレン・ハチャノフ(ロシア)

今シーズン、室内ハードコートで3つのタイトルを獲得し、年始には45位だったランキングを11位へと、トップ10まであと一歩に迫るまでになったハチャノフも、特に力をつけている若手の一人だ。

今年最後のマスターズ1000大会となった「ATP1000 パリ」での活躍は圧巻。決勝のジョコビッチを含め、トップ10を4人連続撃破でマスターズ1000初タイトルを獲得した。

この「ATP1000 パリ」の前まではトップ10相手に通算で3勝16敗だったが、この優勝でついた自信は、来年更なる飛躍につながる可能性がある。

■「Next Gen ATP ファイナルズ」優勝者のステファノス・チチパス(ギリシャ)

今年の「Next Gen ATP ファイナルズ」で見事全勝優勝を飾ったチチパスも、復活後のジョコビッチから白星を挙げた一人だ。彼もまた8月に「ATP1000 トロント」でジョコビッチを含め、トップ10を4人連続で撃破した。決勝ではラファエル・ナダル(スペイン)の前に敗れるが、この準優勝で初のトップ20入りを果たした。

また年始には91位だったが、15位でシーズンを終え、ATPワールドツアー・アワードで大きく成長を見せた選手に贈られるモスト・インプルーブド・プレーヤーにも選ばれた。

■終わりに

グランドスラムではこの2年はジョコビッチ、ナダル、フェデラーの独占状態だったが、2019年は新たなチャンピオンが生まれるかもしれない。それがこの若手3人のうち誰かなのか、それとも他の選手が新たに輝くのか、はたまたジョコビッチらベテランが阻むのか、今から楽しみだ。

(テニスデイリー編集部)

※写真は左からハチャノフ(Photo by Jean Catuffe/Getty Images)、ズベレフ(Photo by Julian Finney/Getty Images)、チチパス(Photo by Julian Finney/Getty Images)