"次世代のクレーキング"と目されるドミニク・ティーム(オーストリア)。力強い片手バックハンドが特徴で、フォア、バックとも大きなフォームで強烈なスピンをかける選手だ。2018年はグランドスラムで自身初の決勝進出、ツアー最終戦には3年連続3度目…

"次世代のクレーキング"と目されるドミニク・ティーム(オーストリア)。力強い片手バックハンドが特徴で、フォア、バックとも大きなフォームで強烈なスピンをかける選手だ。2018年はグランドスラムで自身初の決勝進出、ツアー最終戦には3年連続3度目の出場を果たした。そんなティームの今シーズンを振り返る。

■クレーコートで最も強く、「全仏オープン」で初のグランドスラム決勝進出

ティームは"赤土の王者"ことラファエル・ナダル(スペイン)に、今シーズンのクレーコートで唯一黒星をつけた選手だ。クレーコートのグランドスラム「全仏オープン」決勝ではナダルに4-6、3-6、2-6のストレートで敗れたものの、自身初となるグランドスラム決勝進出を果たした。

ティームは全仏決勝後には「もちろん今でもがっかりしているよ。決勝だったんだ。本当に勝ちたかった」と悔しさを話した上で、「確実に、自分にとってこれが最後のグランドスラム決勝ではないという自信がある」と、再び決勝の舞台に戻ってくるという強い意思が感じられるコメントを残していた。

■「全米オープン」で4時間48分の激闘

「全仏オープン」決勝でナダルに敗れたティームは、その後ハードコートシーズンに「全米オープン」準々決勝で再び相まみえた。しかし4時間48分の激闘の末、スコアは6-0、4-6、5-7、7-6(4)、6(5)-7で、ティームは再びナダルに敗れている。

この試合第1セットは6-0とナダルに1ゲームも与えず先取し、好調な滑り出しを見せたティーム。しかし、第5セットのタイブレークでわずかに競り負け、準決勝進出はならなかった。ATP公式サイトによると、ティームは試合後に「永遠にこの試合を忘れることはできないだろう」「他に良い試合をしたことはあるが、グランドスラムの舞台で素晴らしい選手を相手にこんなに長い試合をしたのは初めてだ」と語った。

■3年連続3度目のツアー最終戦出場

3年連続3度目の出場となったツアー最終戦について、出場前には「過去2度の出場からたくさん学んだ。本当に最初の一球から100%である必要がある。上位8選手と対戦している時、チャンスを与えてもらえることはない」と難しさを話していたティーム。結果は残念ながらグループステージ敗退。第3戦で錦織圭(日本/日清食品)からは勝利を挙げたものの、1勝2敗で今シーズンを終えた。

■2018年の主な出場大会・結果

「Nitto ATPファイナルズ」 グループステージ1勝2敗

「全豪オープン」 ベスト16

「全仏オープン」 準優勝

「ウィンブルドン」 1回戦

「全米オープン」 ベスト8

「ATP1000 モンテカルロ」 ベスト8

「ATP1000 マドリード」 準優勝

「ATP1000 パリ」 ベスト4

「リオ・オープン」 ベスト8

「ATP500 アカプルコ」 ベスト8

「ATP500 バルセロナ」 ベスト8

「ATP500 ハンブルク」 ベスト8

「ATP500 ウィーン」 ベスト8

「アルゼンチン・オープン」 優勝

「ATP250 リヨン」 優勝

「サンクトペテルブルク・オープン」 優勝

■終わりに

ティームは2016年6月6日付の世界ランキングで自身初のトップ10入りし、現在に至るまでトップ10を維持している。今シーズンは3つの大会で優勝し、通算タイトル獲得数を11とした。来シーズンも特にクレーコートでの強さに期待で、再びナダルとの熱い試合を観ることはできるだろうか。(テニスデイリー編集部)

※写真は「全仏オープン」でのティーム

(Photo by Ian MacNicol/Getty Images)