伝統の一戦、早明戦。今回で実に94回目を迎える。現在、関東大学対抗戦(対抗戦)は帝京大、早大、明大の3校に優勝の可能性…
伝統の一戦、早明戦。今回で実に94回目を迎える。現在、関東大学対抗戦(対抗戦)は帝京大、早大、明大の3校に優勝の可能性がある。この早明戦で勝てば、早大は8年ぶりとなる対抗戦優勝の栄冠を勝ち取ることができる。今季は往年の黄金時代を彷彿とさせる戦力が揃う両校。『タテのメイジ』、『ヨコのワセダ』どちらが勝るか。
勝敗のカギを握るのはやはりFW戦だ。ブレイクダウンでどちらが優勢になるか、セットプレーではどちらが優勢に立つか。この2点が試合を大きく左右する。今季はモールからのアタックを強みとする早大FW陣だが、強豪校との対戦ではFW戦で後手に回ることが多い。6月に行われた春の早明戦ではスクラムを押し込まれ5-29と力負け。対抗戦の帝京大戦でも、ブレイクダウンを制圧された結果、ディフェンスラインの形成が遅れたり、規律が乱れて失点につながったケースが多く見られた。両チームともBK陣は強力なだけに、そのBKを生かすためにはFWの奮闘が欠かせない。

安定したセットプレーをアタックの起点したい
対する明大は『EXCEED』とスローガンを設定し、新チームを始動させた。伝統の重戦車FWが復活。安定したセットプレーを起点に得点を重ねている。特にスクラムでは各世代で代表に選出されているプロップ祝原涼介を中心に絶対の強さを誇る。帝京大戦ではスクラムを制圧し、トライを演出した。そんな強力なFW陣をまとめ上げるのがフランカー井上遼副将だ。ボールキャリーには定評があるため、推進力はチームでも随一だ。持ち前のフィジカルを生かしたプレーは早大の脅威となるだろう。BK陣には福田健太主将をはじめ、昨年から活躍してきた選手が多い。ケガから復帰したWTB髙橋汰地、WTB山村知也らスピードスターがそろい、決定機を確実にトライへと繋げる。CTB森勇登、CTB渡邉弐貴のコンビはカバーディフェンスが上手く、ピンチの芽を摘む。最後方でBKをまとめ上げるのがFB山沢京平。状況判断に優れ、空いたスペースを見逃さずに突破していく。
明大のFWの要、フランカー井上
早大は主導権を渡さないためにも、セットプレーで優位に立つことは重要だ。相手の強みであるスクラムにどのように対処していくか。「ディフェンスで勝つこと」(フランカー佐藤真吾主将、スポ4=東京・本郷)と語る通りディフェンス面も勝負のポイントだろう。早慶戦ではチームの根本であるシャローディフェンスが80分間機能し、7点差で勝利を収めた。シャロ―ディフェンスが機能すれば、早明戦でも試合は優位に進められるに違いない。伝統の一戦を制し、対抗戦優勝という栄冠を手にして大学選手権へと弾みをつけたい。
(記事 小田真史、写真 千葉洋介、初見香菜子)