専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第181回 アマチュアゴルファーの夢と言えば、”ホールインワン”“エージシュート”“クラブチャンピオン”…
専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第181回
アマチュアゴルファーの夢と言えば、”ホールインワン”“エージシュート”“クラブチャンピオン”の3つで、私はこれらを総称して「三大ドリーム」と勝手に言っています。
ただ、まさしく”ドリーム”というだけあって、奇跡的には誰にでも起こり得るホールインワンを含めて、現実的にはすべて、普通のアマチュアゴルファーが実現するのは、ほぼ不可能なものばっかりです。
そこで、グ~ンと敷居を下げて、普通のアマチュアゴルファーでも実現できそうな夢を提示したいと思います。
それは、”自分でゴルフコンペを主催する”ことです。
これは簡単にできそうで、なかなかできないというか、案外面倒くさいんですよ。
芸能人や、どこぞの社長さんみたいに、マネジャーさんや秘書さんなんかが細かいことまですべてやってくれれば、そりゃ楽ですよ。あとは、主催者づらし、挨拶だけでして、ラウンドすればいいんですから。
もちろん、それが理想ですが、一般的な民間人のコンペではそんなことはできません。まず、下準備が大変です。
実は、私も年に1回、友人3人で共同コンペを開催しています。自分の役割は5分の1、いや10分の1ぐらいに減らしてもらい、なんとか主催者に名を連ねております。
いい大人が誕生会を開くのも、気恥ずかしいものです。そう考えると、自分が会を催して、自らの関係者をおもてなしするのは、結婚式以外ではゴルフのコンペぐらいしかないのです。
40歳の記念に誰かとコンペを開く――そういうことがあってもいいと思います。
それでは、具体的にコンペ開催の手順を述べていきますので、参考にしてみてください。
(1)会場と日程
ゴルフコンペを開催するくらいですから、当然周囲の友人たちはゴルフ好きに決まっています。知り合いがみんな、130ぐらいのスコアだったら、コンペを開く理由が見当たりません。
みなさん、それなりにゴルフがうまいという前提で、話を進めさせていただきます。
さて、コンペ会場の設定ですが、理想は自分のホームコースを会場にしたいです。コースを持っていない方は、誰かにコースの営業担当を紹介してもらい、料金等の打ち合わせをしましょう。今は価格競争が激しいので、コンペなら通常料金の2~3割ほど、割引してくれることもあります。
同時に、ラウンド後の成績発表会のときの、お茶代や軽食代の相談も必要です。そうした席でお酒をガバガバ飲む人がいますけど、たくさん飲んだかといって、その方から余分にお金を請求することはできませんからね。そういうエキストラな費用も含めて、予算を組みましょう。
日程は、参加を呼びかける友人関係のお仕事に左右されます。平日でも都合がつく方が多い場合は、平日開催がいいと思います。土日だとプレー料金が高くなりますし、会場を抑えるのも大変ですから。
それでも、土日に開催したい場合は、来る方がどれくらいいるのか? そこをきちんと見極めることが重要になるんですが、これが結構難しいんですよね……。
(2)パーティー
ラウンド後の成績発表会は、妙にソワソワして楽しいものです。ここで、成績優秀者には賞品をあげるのですが、その資金を誰が出すのか。そんなことも問題になります。
というのも、過去にいろんなコンペに参加してきましたが、賞品がしょぼいと盛り上がりに欠けてしまうからです。
そこで、賞品は参加者の持ち寄りにして、みんなで交換会をする、というのはよくあるケースです。自分が提供したものが当たって、それをまた家に持ち帰ることもありますが、それも結構マヌケで楽しいです。
しかし、賞品の持ち寄りは”華”がないです。ここは主催者が奮発して、賞品にキャディーバッグやパターなどそろえ、参加者に「あのコンペは賞品が豪華だから、また参加したい」と言わせてはいかがでしょう。
その方法としては、パーティー代を余分に徴収します。たとえば、平日のコンペでプレー代が8000円程度としたら、パーティー代を4000円ぐらいに設定し、コンペ代としてひとり1万2000円徴収するのです。
実際のパーティーの飲食代は、2000円程度。ですから、ひとりあたり2000円ぐらい浮きます。20人呼ぶコンペなら、これで4万円浮き。それをポケットにしまい込むのではなく、あらかじめ4万円浮くと仮定して、事前にゴルフ量販店で賞品を買いにいけばいいのです。
もし第1回目の大事なコンペだったら、さらにポケットマネーで2~3万円ほど加えて、より充実した賞品をそろえましょう。
最近では、大手のゴルフ量販店には『コンペコーナー』があり、「松坂牛すきやきセット」とか、「海鮮焼き物セット」とか、今なら「おせちセット」なんかも売られています。
この手のお取り寄せ商品はカタログのみで、賞品を手にした人が名前と住所を書けば、自動的に送品される仕組みになっています。ほんと、便利な時代になりました。
(3)組み合わせ
ゴルフコンペの組み合わせは、結婚式の披露宴の席次、あるいは中東情勢みたいに難解です。
誰をメインゲストにすべきか。誰と誰が同組でのプレーがNGか。はたまた人気の女性ゲストは誰につければいいのか? 考えなければいけないことが、いろいろとあります。
ちなみに、「オレは女性ゴルファーを知らないから、男性のみで開催する」と宣言する人がたまにいます。それはそれで楽しいかもしれませんが、男ばかりだと、エロ話の連続で、殺伐としたコンペになりがちです。
できれば2~3人、友だちの奥さんでもいいから女性ゲストを呼んで、場を和ませましょう。
(4)見栄を張らないこと
ゴルフコンペにつきものなのは、キャンセルです。しかも、前日の夜に「風邪をひいた」とか、「娘が熱を出した」など、いろんな理由で断る人が出てきます。
ひどいのだと、「朝起きたら、体がダルいので休みます」なんていう輩がいます。おいおい、おまえは毎日ダルいだろ?……って、頭を抱えるばかりです。
さらに究極なのは、集合時間になっても「来ないなぁ……。どうしたものか」と思ってスマホに連絡してみたら、「ごめ~ん、今起きた」って……そりゃもう、コンペに間に合うわけないでしょ。怒りを通り越して、呆れるしかありません。
こういう些細なアクシデントは、コンペでは往々にしてあります。見栄を張って、50人ぐらい呼んだはいいけど、気づけば”キャンセルの嵐”になることも……。そこは、気をつけたいものです。
ただ逆に言えば、今までなあなあだった人間関係において、本当の友だちは誰で、敵は誰なのか?――それが、はっきりわかっていいかもです。
(5)次につなげる
ゴルフコンペって、案外スコアは二の次で、いろいろと楽しいものです。ですから、スコア集計は新ペリア方式にして、グロス88だったけど、ハンデが少なくて30位だったとか、そういうのがいいのです。
それを踏まえれば、賞品の授与は万遍なく、というのが好ましいです。もちろん、上位10人くらいは、そこそこ豪華なものを与えるのがお約束です。加えて、ニアピン、ドラコン、ベスグロ、ブービーメーカー、ブービーなどの賞品も用意して、女子の部は別で表彰し、賞品を進呈することも大切です。
女性が3人参加したのなら、3人とも入賞としましょう。そうすれば、「来年も来たいな」と思うはずです。
そうして、漫然と組み合わせているわけではなく、話が合いそうな人同士、仕事に発展しそうな人同士を組み合わせて、そこからいい関係になってくれれば、幸いです。
我々昭和生まれのゴルファーは、ゴルフコンペで仕事が広がった人が多いです。コンペの主催者は幹事であり、プロデューサー。政治的な判断をして、人脈を広げる――これに尽きます。
機会があれば一度は、自らが主催するコンペを開いてみてはいかがでしょうか
そういう意味では、戦国時代に流行った、武士が茶会を開いて権力を誇示した例と似てなくもないです。
当時は、織田信長の許しが得られないと、茶会は開くことができなかったとされています。すなわち、「茶の湯御政道」と呼ばれて、政治と茶会は密接な関係にありました。だから、戦国武将は自分主催の茶会を開いて、ようやく一人前だったのです。
どうです? 自分主催のコンペを開き、「ゴルフ御政道」をはじめ、立派なジェントルマンになりましょうか。