ワセダの伝統、それはすなわち新人戦で優勝をすること。1年時のサマーステージ、ウィンターステージでは悔しい結果に終わっていた丸田組は、有終の美を飾るべく、ただならぬ思いで最後の新人戦であるあすなろカップに臨んだ。早大は予選ブロックでのあわや…

 ワセダの伝統、それはすなわち新人戦で優勝をすること。1年時のサマーステージ、ウィンターステージでは悔しい結果に終わっていた丸田組は、有終の美を飾るべく、ただならぬ思いで最後の新人戦であるあすなろカップに臨んだ。早大は予選ブロックでのあわや敗退の危機を地力の高さを見せて乗り越えると、準々決勝では慶大を圧倒する。そして迎えた立大との準決勝。勝てば決勝進出が決まる一戦であったが、相手に先制を許すと、一度も追い付くことができずに2−4で敗戦してしまう。気持ちを切り替える間もないまま行われた3位決定戦では、学習院大に1点を守り切られ、今大会は4位で終えることとなった。

 予選ブロックの初戦の城西大・中大合同チーム戦では、早大の課題でもある入りの悪さを露呈してしまい、リードされたまま終盤へ。後半6分、MF小野弘晴(商2=東京・早大学院)の豪快な同点ゴールが決まるが、試合を振り出しに戻すのがやっとであった。勝ち上がるためには大量得点での勝利が必要となった青学大・上智大合同チーム戦。この絶対に負けられない試合で、出色の出来を見せたのはMF小林義直(商2=東京・早大学院)だ。フェイスオフでの驚異のポゼッション率で、相手に流れを譲らない。結局、早大は6−1で勝利を収め、総得点で予選ブロック1位に躍り出て、決勝トーナメント進出を果たした。


フェイスオフをポゼッションする小林義

 準々決勝で相対したのは宿敵・慶大。試合開始早々に先制点を喫したが、前半4分にゴール前でフリーでパスを受けたAT片山浩平(スポ2=長野・上田西)が冷静に沈めて同点にする。後半に入ると、試合は完全に早大ペースに。後半6分には、「普段から取ったらすぐ前を見てパスを出すということを意識している」というG上條怜(法2=東京・早大学院)のフィードを、タイミング良く前線に攻め上がったDF奈須由樹(文2=東京・早実)が受けて、前線のAT徳増慶太(政経2=東京・早大学院)へつないで4点目を奪い、勝負を決定づけた。準決勝に駒を進めた早大は、決勝の最後の椅子を懸けて、昨年のサマーステージで敗れている立大と対戦した。前半2分に相手にフリーシュートを確実にものにされると、その後追加点を奪われてしまう。MF丸田敦司学年キャプテン(商2=埼玉・早大本庄)が右サイドから一対一を仕掛けていき、1点を返したところで前半は終了した。逆転を目指した後半であったが、焦りなどからかパスミスを連発してしまい、オフェンスに上手くつなげることができない。逆に攻め上がった背後を取られて立大に得点を奪われてしまい、2−4でゲームセット。あすなろカップ制覇の夢はここでついえてしまった。その後すぐに行われた3位決定戦。選手たちのプレーは本来の姿からかけ離れており、0−1で敗戦となった。


準決勝で敗れて、悲しみに暮れる早大

 新人戦、無冠——。厳しい現実が選手たちに突き付けられた。しかし学年試合が終わった今、次なるステージに視線を向けなければならない。早大ラクロス部は部員数が多いため、激しい競争が繰り広げられる。おのおのが今大会での経験を糧にして、与えられた環境でレベルアップを図ることとなるだろう。「しっかり切り替えて頑張れば、日本一を目指せる代になると思う」という奈須の言葉通り、頂への挑戦はまだ始まったばかりである。

(記事 石井尚紀、写真 岡田静穂、村上萌々子)

結果

▽予選Dブロック

1試合目

△2-2 城西大・中大合同チーム(得点者:竹内、小野弘)

2試合目

○6-1 青学大・上智大合同チーム(得点者:徳増2、小林大2、丸田、片山)

▽準々決勝

○4-1 慶大(得点者:片山、小林大、小野弘、徳増)

▽準決勝

●2-4 立大(得点者:丸田、塚田)

▽3位決定戦

●0-1 学習院大

コメント

MF丸田敦司学年キャプテン(商2=埼玉・早大本庄)

――今の率直なお気持ちを聞かせていただけますか

悔しいのもあるんですけど、今までやってきたことってなんだったんだろうという虚しさというか、自分たちのやってきたことを正しいと証明するためには優勝するしかなかったんですけど、それもできなかったので、どこかで間違っていたのかなって思います。

――チームとしてあすなろカップに向けてどのような準備をされてきましたか

ウィンター(ステージ)で負けた時には1on1でいくというのがあまりなかったので、オフェンスの課題としてはその1on1とミドルシュートをメインにやってきたんですけど、城西大・中大合同チーム戦と青学大・上智大合同チーム戦、慶大戦まではそうした決められたコンセプトを意識できていたんですけど、途中からちょっとコンセプトがずれてきて、パスで崩しにいく場面が多くて、それが点を取ることができなかった理由かなと思います。

――大量得点が必要であった予選ブロックの2試合目の前にチーム内で何か話されましたか

 10点取ろうということはコーチにいわれて、それをやるためには全員がゴールに向かうしかないといっていたので、全員でゴールに向かう気持ちをしっかり出して、ゴールに向かって、1on1だったり、パスをつないだりした結果が、大量得点で勝つことができた要因だと思います。

――慶大戦は先制をされましたが、自分たちのペースで試合を進めていました

結局青学大・上智大戦で10点取ろうといっていてできなかったので、そこから先の試合は全部10点取ろうというのが目標だったんですけど、ゴールまで向かうことができて、そういう意味では自分たちの泥臭さだったりというのは見られたかなと思います。

――準決勝では2点先行された状況で丸田選手が得点を決められました

自分は1on1があまり強くいけなくて、ウィンターの時はそれが課題で今もずっと課題だったので、ここで自分がいくしかないなと思って、しっかりゴールを狙おうというのは意識できていたので、それが得点につながったかなと思います。

――準決勝と3位決定戦はパスミスが目立ちました

大事なところでのパスミスというのは、オフェンスはやっていく上で大きく響いていて、クリアからパスミスでオフェンスにつなげないというのが結構あって、大事なところでのパスミスも結構あって、疲れていたというのもあったと思うんですけど、パスミスもいいオフェンスができなかった原因かなと思います。

――これからはどのようなプレーヤーになっていきたいですか

自分の課題としては強く1on1をかけにいくことなので、今回のあすなろ(カップ)でゴールに向かうというのを自分の中で意識できたので、チームに戻っても自分で意識してやっていければいいかなと思います。

AT小林大祐(社2=東京・早稲田)

――きょうの意気込みを教えてください

自分はサマーステージ、ウインターステージとほとんど出場できずチームに貢献できていなかったという悔しい思いを抱えながらラクロスをしていて、それが今年に入ってから結果につながって、こうしてあすなろではスタメンでフル出場できたので、今まで貢献できていなかったものをしっかり自分で点を取ってチームを引っ張って優勝するぞ、と臨みました。

――今の率直な気持ちを教えてください

悔しいとしかいえないですね。やはり優勝してみんなで喜びあいたかったというのがありました。きっとみんな個人個人でこれから生かしていくと思うので、今回を新たなスタートとして頑張っていきたいです。

――予選ブロックを振り返っていかがですか

初戦はいつも通りあまり入りが良くないというか、それで結果的に2ー2で引き分けになりました。それはMFのランシューに助けられてATとして特にできたことはなかったですね。予選ブロック最後の試合は得失点差の関係で6点取らなくてはいけないという厳しい状況だったのですが、しっかりみんなで頑張って勝ててあの時はすごく楽しかったです。

――2得点されていますがご自身の得点シーンを振り返っていかがですか

やはりATとしてしっかり点を取らなくてはいけないという使命感があったので、取ることができて良かったと思います。ほっとしたのと自分を勢いづけることができました。

――準決勝はいかがでしたか

準決勝はサマー(ステージ)で負けた立大ということで、先輩たちからの応援も一層感じながらでした。最初リードされた中でも追い付くチャンスは何回もあって、イージーなミスや決めきれない場面が沢山あって、普段通りにできれば勝てた相手だと今になっても思います。ああいう厳しい状況で力が出せるようにならなくてはいけないと思いました。

――3位決定戦は振り返っていかがですか

先輩たちが最後まで残って応援してくれる中で、また新しく入った新1年生の後輩が見ていたりして、最後はしっかり勝って終わりたいなという気持ちでしたが、なかなか流れかつかめなくて決めたいところで決めきれなくて、準決勝と同じでずるずるいってしまったのが結果につながってしまいました。後輩たちにももっと面白くて楽しくて盛り上がるところを見せたかったと思います。

――今後の課題は

自分1人で相手を崩すというプレースタイルではないのですが、やはりラクロスってそれができるようになっていかないといけないと思うので、自分で相手のディフェンスを抜いて、抜けないにしてもずらしてという感じで、もっとがんがん相手のディフェンスを崩していくようになりたいです。

――これからの意気込みをお願いします

今年4月末までAチームで、沢山のことを経験しました。今年最初はCチームから始まってそこからBチーム、Aチームとだんだん上がっていく中で出来ること出来ないことが分かったり、自信につながることもあったりと、今年の春先は色々もまれながら頑張ってきました。それを今後は同級生に広げたり、自分としても自分のいるチームで活躍してチームに貢献していきたいなと思います。やはりAチームで出ることを目標に頑張っていきたいです。

MF小林義直(商2=東京・早大学院)

――チームとしてどのような意気込みで臨まれましたか

今までこの学年はタイトルがなかったので、タイトルを手に入れるというのを考えて、オフの日に練習をしたりとか、勝ちにこだわった練習をしていたつもりなんですけど、こういう結果に終わってしまっていて、負けちゃったら残らないということをコーチの方もおっしゃっていたので、もう一回やらなければいけないことを見つめ直すべきかなと思いました。

――初戦は少しプレーに硬さが見られました

初戦は相手が強かったということもあるんですけど、元からこの学年は入りが良くないと言われていて、そのままいい感じで勝ち切れなかったりとか、点を決められなかったりというのがあって、すごく嫌な雰囲気のまま前半が終わってしまって、そのまま後半まで行ってしまったかなという感じがしました。

――今日は小林選手のフェイスオフのポゼッション率が高かったです

ポゼッションで数字を出せても、その後しっかりとしたオフェンスでそのまま得点につなげるというようなことが、全体の試合を通してできなかったので、それが元からいわれていた自分の課題でもあって、全然改善できていないなので自分の中での大きな反省ですし、これをしっかりと直していかないと、もっと上のレベルにはいけないと思うので、頑張っていきたいなと思います。

――準決勝と3位決定戦を振り返っていかがですか

僕自身も2戦目で割と体力を使ってしまい、むちゃくちゃ疲れていて、準決勝は絶対に勝たないといけないと思っていて、死ぬ気でやっていたんですけど、自分もミスがあったり、外から見ていてもみんなパスの精度が落ちてしまったりとかがあって、そういう体力の部分は自分たちの課題だなと思います。走り勝てなかったというのが、課題の一つなのでそういうところも埋めていけたならなと思います。

――今後に向けて意気込みをお願いします

 今はBチームとCチームの狭間みたいなところで、基本はCチームのフェイスオフをやっているんですけど、時々Bチームの方に呼んでいただけたりとか、合宿に呼んでいただいたりとかしていて、結果を残せば上のレベルに上がれるという風に先輩方にもいっていただいていて、今までウィンターで僕は清水(MF清水俊貴、政経2=東京・早実)に勝てなくて、そのまま1プレーも出させてもらえずに終わったんですけど、それ以降から自分でも自主練みたいなことをめちゃくちゃやっていて、レベルは低いんですけどそれでやっとこういうところまでこれたので、しっかりもう少し自主練とかの質を高めて、もっと上のレベルに上がっていきたいなと思っています。

DF奈須由樹(文2=東京・早実)

――今のお気持ちを教えていただけますか

今までワセダが2連覇してきた大会で、ずっと自分たちの代は無冠で終わっていて、最後は優勝しようと決めていたんですけど、結果が出なくて悔しいです。

――予選ブロックの1試合目は苦戦しました

初戦ということもあって、みんなふわっとした感じで入って、そもそもワセダは入りがあんまり良くなくて中大のATが結構上手かったということもあって、それに対応できずにやられました。初戦は難しいなと感じました。

――2戦目は大量得点での勝利が必要でした

今年のワセダのコンセプトが『攻』めるなので、全員できれいに勝とうとしなくていいから、シュートをどんどん打っていこうという感じで、1試合目はシュートが4本だったんですけど、2試合目は15本打てて、結構入って、今年のスローガンを体現できたいい試合だったと思います。

――奈須選手をはじめとしたロングの攻め上がりが目立ちました

今年はフルフィールドオフェンスというのを意識してやっていて、ロングもオフェンスに参加しよう、飛び出しを速くしようといったことをAチームでやってきていて、それが上手く試合で出せて良かったなと思います。

――準決勝の立大戦は4試合目ということで、やはり疲れはありましたか

すごく疲れてました。攻めるディフェンスをしていた分、運動量も多く、疲れる場面が多かったので、ずっと攻めるだけじゃなくて、引いて守るということもできたと思うのに、それができなかったです。自分はディフェンスを引っ張っていたので、そういう判断とかできなくて、みんなに申し訳ないです。

――3位決定戦の学習院大戦はいかがでしたか

学習院大戦はやっぱり優勝を目指してやっていて、ワセダの伝統って勝って1位になることなので、学習院大は3位になって喜んでいましたんですけど、気持ちがみんな切れていました。足が止まっていたというより気持ちが完全に切れていて、そこでもう1回上手く立て直すことができなかったです。

――これからの競技生活に向けて一言お願いします

Aチームではやりたいようにやらせてもらっているので、これから自分のレベルアップを考えてしっかりやっていきたいですし、2年後、自分たちが最上級生になった時に、この戦力で日本一を目指さなくてはいけなくて、これからみんなも変わっていくと思っていて、案外ラクロスの伝統を変えるのってこういう代なんじゃないかなとか、案外自分たちがFALCONSから日本一をころっと取ったりできるんじゃないかなと思ったりもするので、負けたということはあるんですけど、しっかり切り替えて頑張れば、日本一を目指せる代になると思うので、また明日から頑張っていきます。

DF平塚弘喜(政経2=東京・早大学院)

――大会を終えられて今のお気持ちは

悔しいの一言ですね。サマー、ウィンターと優勝ができずに、ワセダは新人戦で勝つことが伝統なので、自分たちの代でその伝統を崩してしまったというのは、申し訳ないという気持ちと悔しい気持ちです。

――平塚選手から見て、きょうの守備陣のプレーはいかがでしたか

正直初戦の中大戦は結構みんな体が動いていなくて、結局次の試合で6点取らなくてはいけないという状況で、逆にみんな体が動き始めて、そこから次のケイオー戦もいいプレーができたんですけど、やっぱりリッキョーになると普段やってきたことができなかったです。自分もそうしたディフェンスをコントロールできなかったなというのが悔しいですね。

――平塚選手や奈須選手の攻め上がりが目立ちました

自分はオフェンスをするのが大好きなので、ゴーリーからすぐにもらってオフェンス参加をするのが自分の長所なんですけど、奈須くんは何個かいいプレーがあって良かったと思うんですけど、自分はそれがあまりできなかったというのが悔しいですね。

――きょうは5試合戦いましたが、課題は見えてきましたか

負けている時のモチベーションの保ち方というのが自分たちはまだまだなのかな、練習試合でそういうことも何度も経験してきたんですけど、こういう公式戦の逆境に立たされた時にやっぱり強さを出し切れないのが自分たちの弱いところだなと思うので、本当に2年後に自分たちの代になって日本一を取るには、やっぱり何度も逆境に立つと思うので、そういう時にどう立ち直るかというのを、自分たち一人一人が模索していかないといけないのかなと思います。

――これからのトップチーム定着に向けて一言お願いします

とりあえず今から2週間で早慶戦があるので、あした箱根で日本代表との試合もありますし、Aチームで多くの経験をして、先輩たちのプレーからいろいろ学んで、自分たちの代になった時に全員に還元できればなと思います。

G上條怜(法2=東京・早大学院)

――きょうの意気込みを教えてください

自分たちの代はサマーステージ、ウインターステージと負けていて、先輩たちは1つでも優勝しているので、自分たちもこの大会で絶対に優勝するという使命感がありました。ワセダは優勝しかありえないので絶対優勝したかったのですが、まだ自分たち自身を追い込みきれず悔しいです。

――ご自身のきょうのプレーを振り返っていかがですか

先輩たちも応援に来てくれて観客とかの応援も沢山ある中、声が届きにくい状況だったのですが普段から声を出すことをもっと意識して大きな声を出せるようにして、ディフェンスをもう少し落ち着かせてあげることができたらなと思いました。

――セーブした後にオフェンスへの切り替えでどのようなことを意識していましたか

普段から取ったらすぐ前を見てパスを出すということを意識しているのですが、慶大戦で1回いいプレーがあったのでああいうプレーをもっとできたらなと思いました。

――ゴーリーからみたきょうのディフェンス陣の調子や雰囲気はいかがでしたか

ディフェンス陣みんな自分たちで考えて積極的にボールダウンもいってくれてゴーリーとしてやりやすかったですが、やはり数的不利の状況での対応がすごく悪くて、そこの対応を試合中もゴーリーからも強くいわないといけなかったです。そこが改善できなかったことが3位決定戦で負けてしまった敗因かなと思います。

――今後の課題とこれからの意気込みをお願いします

自分自身ではコーチング力、ディフェンスを動かす声を練習から意識していきたいです。チーム全体としては自分自身もそうなのですが、他人に厳しくできない人が多いので、自分にも他人にも厳しくするということをもっと意識していきたいです。