今年度最後の公式戦となる全日本大学選手権(全日本)が日本武道館で行われた。関東でしのぎを削ったライバル校が関西の強豪相手に接戦を繰り広げるなど、関東勢の躍進が目立った今大会。早大にも期待がかかったが、結果は男子団体組手がベスト16、女子団…

 今年度最後の公式戦となる全日本大学選手権(全日本)が日本武道館で行われた。関東でしのぎを削ったライバル校が関西の強豪相手に接戦を繰り広げるなど、関東勢の躍進が目立った今大会。早大にも期待がかかったが、結果は男子団体組手がベスト16、女子団体組手は初戦敗退と思うような結果を残すことができなかった。

 女子団体組手は1回戦で新潟産業大と対戦。先鋒中村朱里(スポ4=愛知・旭丘)が相手を圧倒し勝ち星を持ち帰ると、中堅で渡邊仁美(社4=東京・雙葉)が登場。主務と兼任しながら選手として練習に励んできた渡邊はこの1年を「怒涛の一年」と振り返る。また3年間務めた大将のポジションも今年から中堅に変わり、より責任を感じていた。そんな渡邊が上段突きで先取を奪うと早大に勝利の予感が漂った。しかし、試合終盤に動きが遅くなったところで立て続けに失点し、逆転を許してしまう。そのまま中堅戦を落とした早大は、続く大将の赤松ふみの(法1=東京・早実)も敗れ、万事休す。最後の公式戦は初戦敗退という結果に終わったが、「(実力を)出せたので満足です」(渡邊)。

 出場15校中最後の登場となった女子団体形。早大からは石川みらい(社4=群馬・前橋工)、猪越優蘭(政経3=埼玉・早大本庄)、永田一紗(スポ3=茨城・水城)が出場した。他大の点数が出揃った後の難しい順であったが、「最後の試合ということで気楽にできた」(石川)と堂々たる演武を披露。3年間共に戦ったメンバーとの最後の形は『慈恩』。点数は全体8位の21・45で予選敗退となったが、試合後、リーダーを務めた石川は「組んでくれてありがとうと伝えたい」と2人への感謝の言葉を口にした。


最後の『慈恩』を打つ女子団体形

 1、2回戦を難なく突破した男子団体組手は3回戦で近大工学部と対戦。中四国大会王者相手に意地をみせたい早大だったが、先鋒芝本航矢(スポ2=東京・世田谷学園)が3-5で敗れると、次鋒吉田翔太(スポ1=埼玉・栄北)も上段突きで先取に成功するが、2-3で惜敗。勝負の命運は中堅澤入迅人主将(スポ4=静岡・常葉菊川)に託された。相手は全日本強化選手の崎山優成(1年)。崎山の得意とする「返し」に注意して試合に臨んだが、「思った以上にうまかった」(澤入)と語るように、開始早々に先制されると、1点も奪うことができないまま0―5で敗戦。「完敗でした」(澤入)。早大は3回戦で姿を消すこととなった。


得点し、雄たけびをあげる芝本

 今大会で華々しい結果を残すことはできなかった早大だが試合後の選手たちの表情は明るかった。全国の猛者たちと全力で戦った満足感もあるだろう。そして何より1週間後には早慶戦を控えている。下を向いてなどいられないのだ。真の集大成へ向け意気込みは十分。僅差で敗れた昨年のリベンジを果たすべく、敵地に乗り込む。

(記事 萩原大勝、写真 石黒暖乃、秦絵里香)

結果

▽男子団体組手

1回戦 〇早大4-1佛教大

2回戦 〇早大3-0防衛大

3回戦 ●早大0-3近大工学部

▽女子団体組手

1回戦 ●早大1-2新潟産業大

▽女子団体形

早大 8位(得点21.45)


コメント

澤入迅人主将(スポ4=静岡・常葉菊川)

――1、2回戦は順調に勝ち上がりましたが、振り返っていかがですか

前回の試合(関東大学選手権)の順番のまま1、2回戦はいこうということで、前3人の下級生がしっかり勝ってくれて、2回戦は4年生が出るまでもなくて。1回戦で塚本(惇樹、スポ4=千葉・拓大紅陵)がうまくいかなかったところはあるんですけど、全体的に動けていたのでよかったと思います。

――自身の調子は

ちょっと固いかなと思ったので、いっぱい体を動かしてたんですけど、それでも1回戦目は固かったかなと思いますね。

――1回戦で国際武道大が近大と接戦していました

そうですね。(自分たちも)頑張らないとという雰囲気にはなりました。

――きょうまでは3回戦の近大工学部をターゲットに練習してきたのでしょうか

そこまで対策はできていなくて、勝負するところははっきりとして、無駄に出たりしないようにというのは意識してやっていたんですけど、仕掛けたところをポンポンと取られてしまったので、対策が足りなかったのかなと思います。

――3回戦は前の2人の戦いをどのようにみていましたか

芝本(航矢、スポ2=東京・世田谷学園)は彼自身ポイントを取りたい気持ちはあるんですけど、負けるときはいつも前でちょこんと合わせられてしまうことが多くて、きょうもそのパターンだったので悪い流れになっているなとは思ったんですけど、後半にはポイントが取れてきたので彼なりに打開方法がわかってきているのかなと思います。吉田(翔太、スポ2=埼玉・栄北)は入学当初からせっかく身長が高いのに下がってしまうのがもったいなかったんですけど、前の試合でもそうでしたけど、自分から仕掛けることができているので、今日も負けてはしまったんですけど、取った点は自分から出ていることが多かったので成長しているなと思いました。

――自身の中堅戦について

すぐに点を取らないといけない状況になってしまって、返しがうまいのは知っていたので、中途半端に飛びこんでも絶対返されるので、思い切って飛び込もうとしてたんですけど、思った以上にうまかったですね。きれいに返されて負けてしまいました。全体的にうちの部員たちにはプレッシャーがあるので自分の思ったようなタイミングで入れないことが多くありました。

――試合後には笑顔が見られました

完敗でした。また頑張るしかないなという感じでしたね。

――来週には早慶戦を控えていますが意気込みをお願いします

早慶戦は13対13で総力戦なので、最後1週間しっかりと追い込んで、普段試合に出ていない人も出るので、全体で勝利できたらと思います。

渡邊仁美(社4=東京・雙葉)

――きょうの試合を振り返って

正直、相手の方が何枚も上手(うわて)だと思っていたので、点を取れることはあまり予想してませんでした。点を取れたことに喜びを感じています。

――最後の約20秒で先制ポイントを奪いましたが、惜しくも破れる結果となりました

普段の試合では、あまり走り回って逃げたりすることがないので、体力がなくなっていって、最後に簡単にポイントを取られてしまったので、修正していきたいと思います。

――きょねん、女子組手を引っ張っていた越間菜乃(平29教卒)さんは、試合を楽しんでほしいと話されていました。きょうは公式戦最後の試合でしたが、楽しむことはできましたか

同期の中村(朱里、スポ4=愛知・旭丘)からも「ちゃんと4年生の集大成として、成果が出てたよ」という言葉を貰ったので、結果としては負けてしまいましたが、私としては(力を)出せたので満足しています。楽しめたと思います、悲しくはないです。

――ことしのインカレにはどんな思いで臨まれましたか

4年間を通して、常に先鋒という大切な役目で女子を引っ張ってくれたのが中村で、半年間一緒に試合に出ることができなくて、このインカレが一緒に出ることが出来る最後の試合だったのでとても楽しみでした。

――ことしからは、大将から中堅という立場に変わりましたが、心境の変化などはありましたか

3年間は前の2人が勝ってくれたりして、私は初心だったので、「自由にやっておいで」という言葉をかけられながら伸び伸びやっていた部分があったんですけど、ことしは最上級生で、出場する3人のうち1人が後輩で、中堅として出ることになって、やはり次につなげないといけないなと思うようになりました。自分が負けたら、勝負が決まってしまうので責任感を感じてやっていました。

――主務との両立は大変でしたか

すごい大変でした。最初の方は、大会に出ることよりも、大会開始後にやらないといけない手続きの方をずっと心配していました。主務の仕事に気を取られる部分は多かったです。怒涛の1年間でしたが、楽しかったです。

――最後に早慶戦に向けて意気込みをお願いします

初めて早慶戦に出るので、見ている人に勇気を与えるような試合ができるように精一杯頑張ります。

石川みらい(社4=群馬・前橋工)

――きょうの試合を振り返っていかがでしょうか

前回の試合と比べると、完全に実力を出し切れたというような形を打てて良かったんですけど、振り返ると本当にずれているな、最後までやりきれなかったのかなという部分がありました。

――15大学が出場する中で最後という順番でしたが、前に試合を行った大学の点数を意識して試合に臨まれましたか

もう全く。とりあえず最後の試合ということで気楽にできたかなと。(自分たちが)やることは一緒だと思うのでそれを十分に発揮できればなと。他の勝ちたいと思っている大学に比べると目標が弱くなってしまったと思いますが、自分たちが現段階で出来る力を出そうといつも決めていたので、そういう意識で臨めました。

――石川選手はきょうが大学生として最後の試合でしたが、他の2人とどのような言葉を掛け合いましたか

最後、というのがあまりなかったのかな。3年間ずっと一緒にやってきて、まだ次があるというのはなかったんですけど、とりあえずこの3人で頑張ろうということしか頭になかったので、最後最後というふうには考えてなかったですね。

――他の2人に何かお伝えしたいことはありますか

組んでくれてありがとうということと、3年間大変だったと思うんです、実力とかも最初は差があったりとか、まとめるのが自分は下手だし、色々問題があったと思うんですけど、そのような中でも2人の時はしっかりリードを取ってやってくれたりとか、上を目指してやっていこうと、それが3人の雰囲気をまとめる時期になっていたのかなと今は思います。

――3年間、リーダーとして苦労されたことはありますか

引っ張るといることをあまりやってこなかったので、自分のことばかりに目がいってしまい、他の2人を見る余裕がなく、まず自分が頑張らなきゃ、自分が直さないと人に言えないからと消極的になって、上級生だからというよりも、自分がちゃんとやらないと言えないから、というような目線でやってしまっていたのは逆にあまり良くなかったのかなと思って、やはり上は上なりに言うことは言ってもいいのかなと2人に教えてもらったなという感じがします。

――最後に、早稲田大学で競技を行った4年間を振り返っていかがでしょうか

辛かったですね(笑)。全体的に未熟さがすごく目立ったと思って、相手のことを考えるというのを学びました。また、空手をここまででいいかなと区切りをつけれるぐらいやれたなという感じですね。4年間は長かったですけど、まとめられないですね。