肌寒い曇り空の下、埼玉・行田で東京六大学対抗ロード(六大学)が行われた。個人で孫崎大樹(スポ4=京都・北桑田)が1位に入り、大学対抗では創部史上初となる優勝を果たした。また、全日本学生RCS(RCS)の第9戦も同日に開催され、クラス3で萩…

 肌寒い曇り空の下、埼玉・行田で東京六大学対抗ロード(六大学)が行われた。個人で孫崎大樹(スポ4=京都・北桑田)が1位に入り、大学対抗では創部史上初となる優勝を果たした。また、全日本学生RCS(RCS)の第9戦も同日に開催され、クラス3で萩本拓也(法3=熊本)が7位に入賞。クラス1に出場した孫崎はゴール前でのスプリント争いに敗れて2位となったが、年間ランキング1位を守った。


集団をコントロールした小野

 東京六大学対抗ロードは2周に1度、上位3人に得点が与えられるポイント制で行われた。5人が出走した早大勢は序盤から先頭付近に付け、レースを引っ張る。最初のポイント周回では孫崎が2位で通過し、ポイントを獲得。そこから孫崎と大前翔(慶大)の二人が抜けだし、「本当は前に2人乗せる予定だった」(小野寛斗、スポ2=神奈川・横浜)と、当初の作戦とは違うレース展開になったが、冷静に対応を見せた。中川拳(スポ3=北海道・帯広三条)と小野寛斗(スポ2=神奈川・横浜)らは6人の第2集団を形成し、後続をけん制。ポイント周回では小野選手が前に出て、早大のポイントを重ねていった。孫崎は大前との二人旅となり、交互にトップを取り合い、得点を分け合っていく。ラストはホームストレートでのスプリント勝負となった孫崎が大前との一騎打ちに勝利し、1着でゴールした。また、小野が4着、中川が5着でフィニッシュし、大学対抗では初の優勝に輝いた。


ゴールスプリントで敗れ孫崎は2位となった

 続いて行われたRCSにはクラス3に萩本が出場した。スタートから集団の中盤に位置していたが、縦長になり始めた3周目の終盤で、落車に巻き込まれてしまう。しかし救済措置が適用され、4週目に先頭集団の後方に復帰すると、ラスト1周で中村優太(作新学院大)が飛び出し、後続はそれに必死に付いていく展開に。萩本は7位でのフィニッシュとなった。また、クラス1には現在ランキングトップの孫崎が出走。時折飛び出す人が出るものの、その度に吸収され、終盤まで集団のまま進む。レースが動いたのはラスト1周。日体大の當原隼人が飛び出したが、孫崎や大前らがバックストレートで追いつく。勝負はホームストレートまでもつれ込み、集団でゴールラインに飛び込むかたちに。孫崎は日体大の篠田にわずかに先着され、2着でのフィニッシュとなった。しかし、24点を獲得した孫崎は年間ランキング2位との差を広げ、トップの座を守った。

 今回、東京六大学対抗ロードでは初の栄冠を手にした早大。小野は個人での連覇は逃したが、「チームプレーがうまくできたのでとても良かった」と振り返り、笑顔を見せた。また、RCSでは出場した二人が共に入賞。孫崎はこのレースで2位との差を64点に広げたが、今後のRCSに出場できない可能性もあるという。しかし、「出られるところはきっちりポイントを取ってもっと広げていきたい」と総合優勝に向けての意気込みは十分だ。

(記事 加藤千咲 写真 加藤千咲、喜柳純平)


表彰台で笑顔をみせる中川

結果

▽六大学対抗ロードレース

孫崎大樹 1位
小野寛斗 3位
中川拳 6位
山本真寛 DNF
河野翔輝 DNF

▽男子ロード総合

早大 1位 

▽クラス1

孫崎大樹 2位

▽クラス3

萩本拓也  7位

コメント

孫崎大樹(スポ4=京都・北桑田)

――六大学対抗ロードの作戦などは立てていましたか

自分は多分マークされるので集団待機で、次世代を育成という意味でも戦術について中川(拳、スポ3=京都・北桑田)と話し合いながら、指示を出していくという方向でした。河野翔輝(スポ1=奈良・榛生昇陽 )、山本真寛(社2=青森・八戸工大一)が逃げに乗るという作戦でしたが、1回目のスプリントポイントの時に位置どりなど色々変わったりしてみんなが後ろにいる状況でした。自分が取れる位置にいたので、とりにいくという形で作戦が変わってしまいました。

――最初から逃げることになったのは予想外でしたか

そうですね。全然行く気がなかったので。ただ1回目のスプリントの時に大前(翔、慶應大学)選手と僕の2人が抜け出してしまいました。あれで集団に戻るのは無駄でしたし、大前選手も足があるので、お互い逃げた方がいいかなと思って逃げに変更しました。

――交互にポイントを取り合っていました

良いペースで逃げていて、実際後ろの集団をチームメイトが仕事をして抑えてくれていたというのもありましたが、単純に他の大学がローテーションを回しても追いつかないくらい大前選手と良い感じに協調して走れていました。無理に争うよりは逃げを確実にして、交互に取り合うような形となりました。

――個人で総合1位となりました

交互に取っても、最後の結局はポイントを1位を取った方が優勝というのは、互い分かっていました。最後しっかり負けることが許されない中で、集中して取りにいけました。

――大学初の六大学ロード優勝となりました

今までも何度かチャンスはありました。2位は僕の4年間の中で、その内3回出て2回は2位だったので、やっと取れたという感じです。チームが機能して、他のメンバーも力を出して役割を全うしてくれた成果かなと思います。

――クラス1のレースを振り返って

六大学の方できつかった部分もありましたが、あまり足を使わずに逃げれました。そのため、少し不完全燃焼で最後のスプリントでも大前選手とトラブルがありましたが、最初から人を削っていくような展開にしようとしていました。

――ゴールでは苦笑いもありました

しっかりと前半動いて、序盤からコーナーなども使ってペースをあげて、集団を伸ばすところまでは思い通りにレース展開できました。ただ、最後に1位を取れなかったのが悔しかったです。あれだけ動いて取れなかったらただのばかになってしまうのでそこが悔しいです。

――RCSの総合ランキングでは2位以下を引き離しました

今後RCSは出られるかどうか怪しいところがあるので、今のうちにしっかり稼いでおいて、最後の神宮を迎える前に盤石なものにしておきたいです。堂々と総合優勝したいなというのもあるので、これからも出られるところはきっちりポイントを取ってもっと広げていきたいなと思います。

小野寛斗(スポ2=神奈川・横浜)

――連覇が懸かっていましたが、どのような思いで臨まれましたか

前回は逃げ切りで勝てたので、今年も逃げ切りを目標に、ディフェンディングチャンピオンとしてもう一回優勝しようという気持ちで臨みました。

――序盤から孫崎選手が前に出て、小野選手は第2集団で走る展開となりましたが、チームプレーを考えての判断でしょうか

本当は前に2人乗せる予定だったんですけど、でも(前に出たのが)孫崎さんだったので、僕と拳さん(中川)で後ろの頭を取ってポイントを加算していけば学校対抗の勝利もあると思っていたので、後ろで待機という感じでスプリントを狙っていきました。

――大学対抗の優勝という結果はどのように受け止めていますか

六大学の長い歴史でロードで優勝できたのは過去にないと思うので、今回優勝できてとてもうれしいですし、最後の最後でチームプレーもうまくできたのでとても良かったと思います。

――ご自身の走りを振り返っていかがですか

本当は逃げて優勝はしたかったんですけど、それでも後ろでしっかり頭を取れて3位に入れて、チームとしてもうまくできたので良かったと思います。

――今後への意気込みをお願いします

今年最後のレースだったんですけど、来年ももっとレベルアップしてインカレとか個人戦とかで入賞できるように頑張っていきたいと思います。