WEEKLY TOUR REPORT米ツアー・トピックス サンクスギビング(感謝祭)による休暇を迎えるアメリカでは今週、ラスベガス(11月23日)で、タイガー・ウッズとフィル・ミケルソンとの世紀の対決が開催され、ゴルフファンの注目を大い…

WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 サンクスギビング(感謝祭)による休暇を迎えるアメリカでは今週、ラスベガス(11月23日)で、タイガー・ウッズとフィル・ミケルソンとの世紀の対決が開催され、ゴルフファンの注目を大いに集めることだろう。

 一方、オーストラリアでは米PGAツアーが主催する国と地域別の対抗戦、ISPS ハンダ・ワールドカップ・オブ・ゴルフ(11月22日~25日/メルボルン)が2年ぶりに開催される。

 前回の2016年大会では、日本チームは松山英樹と石川遼がペアを組んで参戦。最終日を4位で迎えて、優勝への期待も膨らんだが、最終的には6位タイに終わった。それでも、人気ペアの奮闘が大きな話題となったことは、記憶に新しい。

 今年の大会には、9月3日時点の世界ランキングにおける上位28カ国(地域も含む)が出場。それぞれ2人ペアでの参戦となり、各国、各地域のランキング最上位の選手がパートナーを選出する。

 今回の日本チームは、ランキング最上位の松山が出場を辞退。そのため、次点として、昨季PGAツアーで初勝利を挙げた小平智が参戦することになった。そして小平は、欧州ツアーで活躍を続ける谷原秀人をパートナーに指名。小平&谷原ペアで世界の強豪に挑む。



谷原秀人とペアを組んでワールドカップに出場する小平智

 ところで、日本にとってこのワールドカップは、とても縁深いもの。前身は「カナダカップ」と呼ばれ、1957年の第5回大会が日本で開催されている。

 会場となったのは、2020年東京五輪の舞台ともなる霞ヶ関カンツリー倶楽部。30カ国、60名の選手が参加し、サム・スニード(アメリカ)、ゲーリー・プレーヤー(南アフリカ)など、当時の世界最強選手が勢ぞろいした。

 そのハイレベルな戦いの場において、地元・日本からは中村寅吉、小野光一ペアが出場。名だたる選手がそろう世界の強豪を相手に、中村が個人戦で優勝を飾ると、団対戦も日本チームが見事に制覇。その瞬間、日本のゴルファーの名が世界中に知られることとなった。

 また、この大会は国内のテレビでも放映され、日本が勝利を飾ると、日本中が熱狂。ゴルフというスポーツが一気に国民の間に浸透し、その後のゴルフの発展に大きな影響を与えた。アジアの中で、日本がゴルフ先進国となったのは、このカナダカップでの勝利があったから、と言っても過言ではないだろう。

 その後、1966年のワールドカップで2度目の日本開催が実現。同大会では、アメリカからアーノルド・パーマー、ジャック・ニクラウスという、人気、実力ともに世界トップのペアが来日し、評判どおりの強さを披露した。その結果、圧巻の勝利を飾って、日本のゴルフファンを沸かせた。

 中村&小野ペアが優勝して以降、次に日本チームが勝利を飾るまでには、45年の月日を要した。世界選手権シリーズのひとつに組み込まれて(2000年~2006年)盛り上がりを見せていた2002年のメキシコ大会で、丸山茂樹と伊沢利光のペアが勝利。日本が2度目の世界一に輝いた。

 丸山&伊沢ペアは、3日目のフォアボール(※2人が各自のボールでプレーして、いいほうのスコアを採用)で、1イーグル、12バーディーの「58」という驚異的なスコアをマークして首位に浮上。フォアサム(※1つのボールを2人が交互に打ってプレー)の最終日は一時、ミケルソンとデビッド・トムズのアメリカペアに首位の座を奪われたが、土壇場で逆転した。

 最終日も6つスコアを伸ばして、通算36アンダーで頂点に立った丸山&伊沢ペア。終盤に連続バーディーを奪って、難敵アメリカを振り切った瞬間は、日本中のゴルフファンが興奮したに違いない。「当時はまだ子どもだった」という小平も、この感動的なシーンは鮮明な記憶として残っているという。

 さて、今大会の優勝候補、すなわち小平&谷原ペアにとって強敵となりそうなのは、まずは母国開催で意気あがるオーストラリアだろう。ペアを組むのは、PGAツアー今季2戦目のCIMBクラシックで勝利を挙げて好調なマーク・リーシュマンと、彼が選出した世界ランキング33位のキャメロン・スミス。地元ファンの声援を味方にして、かなりの躍進が見込まれる。

 過去23度の優勝を誇るアメリカも、当然V候補の一角だ。今年は、世界ランキング29位のマット・クーチャーと、同30位のカイル・スタンレーがペアを組んで出場。クーチャーは2週前の今季PGAツアー、マヤコバクラシックで4年半ぶりにツアー勝利を挙げ、その勢いに乗って、アメリカチーム24度目の頂点を目指す。

 欧州の有力チームとなるイングランドは、世界ランキング25位のティレル・ハットンが、チーム戦となると熱のこもったプレーを見せる、同39位のイアン・ポールターをパートナーに指名。実力ペアゆえ、こちらも侮れない存在だ。

 そしてもう1カ国、怖い存在となるのが、世界ランキング40位のリ・ハオトンと、同177位のゴ・アジュンのペアで臨む中国だ。

 リは、今年1月にドバイデザートクラシックを制して欧州ツアー2勝目を飾った。さらに、11月のトルコ航空オープンでは、ジャスティン・ローズ(イングランド)とプレーオフを展開。最終的には敗れたものの、実力の高さを改めて証明し、今大会でもダークホース以上の躍進があってもおかしくない。

 小平と谷原は、ともに正確なショットが持ち味。谷原のショートゲームのうまさが存分に発揮されれば、小平がピンを果敢に攻めて、コンビとしてもうまくかみ合っていくかもしれない。

 ポイントとなるのは、初日、3日目のフォアボール。そこで、どれだけ爆発的なスコアを出せるか。日本チーム3度目の世界一へ、小平&谷原ペアのプレーに注目である。