「リベンジですよ、リベンジ。あのときの選手も何人か来ると思いますし。ウルグアイにはリベンジしたので、次はベネズエラですね」 今月のはじめ、フローニンゲンの堂安律は来るべき日本代表の11月シリーズを心待ちにしていた。ベネズエラ戦でのリベン…
「リベンジですよ、リベンジ。あのときの選手も何人か来ると思いますし。ウルグアイにはリベンジしたので、次はベネズエラですね」
今月のはじめ、フローニンゲンの堂安律は来るべき日本代表の11月シリーズを心待ちにしていた。
ベネズエラ戦でのリベンジに燃えている堂安律
一方、同じく20歳、シント・トロイデンの冨安健洋は、言葉の端々に無念さをにじませた。
「勝てない相手だとは思わなかったし、むしろ勝てたのに、まだまだ先に行けたのにと思うからこそ、悔しいです」
若いふたりの脳裏に浮かんでいたのは2017年5月に韓国で行なわれたU-20ワールドカップである。南アフリカ、イタリア、ウルグアイという死のグループを1勝1分1敗の3位で突破した日本は、ラウンド16でベネズエラと顔を合わせた。
グループステージで3ゴールを奪った堂安は、この試合では沈黙。冨安も相手のコーナーキックの際に、自身がマークしていた選手にヘディングで決められてしまう。これが決勝ゴールとなって日本は大会を去り、ベネスエラはその後、準優勝に輝くことになる。
そのベネスエラのA代表と、11月16日に大分で対戦する。
ベネズエラの来日メンバーには、昨年のU-20ワールドカップに出場した選手たち6人が名を連ね、そのときと同じラファエル・ドゥダメル監督がチームを率いている。
あれから自分がどれだけ成長しているか――。堂安や冨安にとって、ベネズエラ戦は自身の力を測る格好の舞台となるだろう。
むろん、チームにとっても重要なゲームであることは間違いない。
9月から指揮を執る森保一監督と新生・日本代表にとって4年後のワールドカップに向けた第一関門と言うべきアジアカップUAE大会の開幕まで2カ月を切り、残されたテストマッチはベネスエラ戦と11月20日のキルギス戦の2試合しかないのだ。
アジアカップまでいかに戦術を浸透させ、チームをまとめるか――。
それゆえ、メンバー選考も9月、10月シリーズから大きな変化があった。初陣となった9月は南野拓実(ザルツブルク)、中島翔哉(ポルティモネンセ)、堂安律に代表されるようにフレッシュなメンバーを招集し、10月シリーズでは長友佑都(ガラタサライ)、吉田麻也(サウサンプトン)、大迫勇也(ブレーメン)、酒井宏樹(マルセイユ)、原口元気(ハノーファー)、柴崎岳(ヘタフェ)らロシア・ワールドカップで主力として活躍した選手たちを呼び戻した。
だが、今回は23人のうち山中亮輔(横浜F・マリノス)、鈴木優磨(鹿島アントラーズ)のふたりを除く21人が10月シリーズと同じメンバーなのだ。のちに負傷が発覚した鈴木と青山敏弘(サンフレッチェ広島)に代わって杉本健勇(セレッソ大阪)と守田英正(川崎フロンターレ)が追加招集されたが、彼らは9月シリーズで代表の空気を吸った選手たちだ。
そこから浮かび上がる今シリーズのテーマは、「継続性」だろう。
ベネズエラ戦2日前となる11月14日のトレーニングを終えたあと、遠藤航(シント・トロイデン)もこんなふうに言っていた。
「(ベネズエラ戦に向けてというより)どちらかと言うと、自分たちのウルグアイ戦がどうだったとか、自分たちにフォーカスしていく感じなので、やることは変えずに継続していく、ということかなと思います」
そのため、今シリーズでも3バックに着手することなく、これまでどおり4-2-3-1を採用し、戦術の浸透、コンビネーションの強化に力を注ぐことになるはずだ。また、10月のパナマ戦とウルグアイ戦では先発メンバー9人を入れ替えて臨んだが、今シリーズではアジアカップを見据え、ある程度メンバーを固定して戦うのではないか。今シリーズで重用された選手たちが、アジアカップにおけるファーストチョイスになるだろう。
そのなかで、戦術面とは別に確認しておかなければならないことがある。所属クラブで出場機会に恵まれていない柴崎と吉田のコンディション、パフォーマンスだ。
同じように所属クラブでコンスタントに活躍できていない香川真司(ドルトムント)や乾貴士(ベティス)が選考から外れている状況で、なぜ、吉田と柴崎は招集されたのか――。
それは、森保監督にとって彼らが替えの利かない選手だからだろう。
自身の置かれている状況を、彼らも十分理解している。
「チームで試合に出ていない状況で招集してもらっている。自分がなぜ、このチームにいるのかということを前回同様、ピッチ内外に示さなければいけないと思っています」
吉田がそう決意を語れば、柴崎もこう意気込んでいる。
「呼ばれたからには力になりたいし、選ばれたということは監督からの信頼を感じるので、それにしっかりと応えたい。試合に出られてなくて難しい状況ではありますけど、やるべきことをしっかりやりたいと思います」
前回4-3と勝利したウルグアイとも、アジアカップ対策となる次の相手キルギスともタイプの異なる相手に対して、森保ジャパンはどう戦うのか。スタメンの顔ぶれだけでなく、臨機応変で、対応力を持った戦い方にも注目したい。