WEEKLY TOUR REPORT米ツアー・トピックス 20歳の新鋭・小斉平優和(こさいひら・ゆうわ)が、PGAツアー・チャイナシリーズ(PGAツアーの3部ツアー)で賞金ランキング4位となって、PGAツアーの下部ツアーとなるウェブ・ド…

WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 20歳の新鋭・小斉平優和(こさいひら・ゆうわ)が、PGAツアー・チャイナシリーズ(PGAツアーの3部ツアー)で賞金ランキング4位となって、PGAツアーの下部ツアーとなるウェブ・ドット・コムツアーの来季の出場権を獲得した。

 このPGAツアー・チャイナシリーズは、PGAツアーが掲げる”世界ツアー戦略”の一環。前コミッショナーのティム・フィンチェム氏の時代から目指してきた「ゴルフのグローバル化」は、現コミッショナーのジェイ・モナハン氏にもしっかりと引き継がれていて、同シリーズは「(PGAツアーは)アメリカ一極集中ではなく、そこを目指す選手たちが世界中から集まれるツアーにする」という構想のひとつで、事は着々と進んでいるようだ。

 PGAツアーを頂点とし、その2部的な役割として1990年に下部ツアーのウェブ・ドット・コムツアーがスタート。同ツアーは年間27大会(2019年)が開催され、PGAツアーへの登竜門として、その存在は広く知られるようになった。

 PGAツアー参戦には、松山英樹や石川遼のように、メジャー大会やWGC(世界選手権シリーズ)で上位に入ってスペシャル・テンポラリーメンバー(特別一時会員)となり、そこからツアーカードを得ることもできるが、そうした”エリート街道”を進むことができる選手は稀(まれ)だ。

 PGAが、下部ツアーでツアープレーヤーとしての経験を積むことを推奨し、最終予選会(QT=クォリファイングトーナメント)から直接PGAツアーの出場権を得られる道を廃止した2013年以降は、いわゆる2部のウェブ・ドット・コムツアーを経由することが一般的。同ツアーで結果を残して、やっとPGAツアーへの道が開かれる。

 そして、そのウェブ・ドット・コムツアーへの道として、数年前に設立されたのが3部ツアー。先述のチャイナシリーズ、カナダのマッケンジーツアー、南米のPGAツアー・ラテンアメリカがそれに当たり、世界中からPGAツアーを目指す筋道が確立されている。

 これら3つのツアーからは、年間の賞金ランキング上位5名がそれぞれ、翌年のウェブ・ドット・コムツアーのツアーメンバーとして迎えられる。そのうち、ランキング1位の選手にはフルシード権が与えられ、同2位から5位までの4選手には一定数の試合出場が認められる。

 また、同ランキング6位から10位の選手には、年末に開催される最終予選会への出場権が与えられる(今年の最終予選会は12月6日~9日にアリゾナ州で開催される)。

 さて、冒頭で触れた2018年のチャイナシリーズは、計14大会が行なわれた。小斉平はそのすべての試合に参戦し、最高位は7月のヤイタイ選手権と10月のズバイ選手権での2位。7度のトップ10入りを果たし、ワースト順位が33位という安定した成績を残した。その結果、73万2832人民元、日本円にしておよそ1200万円を獲得した。



今季のチャイナシリーズで賞金ランキング1位となったカルム・タレン

 賞金ランキング1位に輝いたのは、カルム・タレン(イングランド)。獲得賞金は109万4600人民元(約1780万円)だった。

 実は、賞金王争いは最終戦までもつれ込み、最終日に「62」をマークしたタレンが2位に滑り込んでランキングトップに。賞金ランキング2位のチャーリー・サクソン(アメリカ)との獲得賞金の差は、2376人民元。わずか4万円足らずという僅差だった。

 このチャイナシリーズ、以前はオメガ・チャイナツアーという名称で、アジアンツアーの下部ツアー的な存在だった。それが2014年、PGAツアーと中国ゴルフ協会が提携し、現在の形式で行なわれるようになった。

 ツアーオペレーションを行なっているのは、中国と世界のスポーツをつなぐため、中国におけるあらゆるイベントを手がけるシャンカイスポーツ。2017年、同ツアーの開催は一度中断してしまったが、2018年から再び4年契約が成立し、今季は14試合が開催された。

 チャイナシリーズには、世界中の選手が参戦できる。ひとつ特徴的なのは、同ツアーに参加するための予選会は3回行なわれるが、そのうち1回は「メインランドチャイナ」と称し、出場が認められるのは中国人だけとなっていること。それだけ、中国におけるゴルフの発展に力を入れているのだ。

 現在のツアー形式となった2014年以降、同ツアーのトーナメントを制したチャンピオンは、アメリカ、オーストラリア、カナダ、香港、台湾、ニュージーランド、タイ、韓国、そして中国と、9つの国と地域におよび、計32名に上る。

 初年度の2014年に賞金王となったのは、シーズン3勝を挙げた李昊桐(リ・ハオトン/中国)。当時、まだ19歳だった。

 翌年、リ・ハオトンはウェブ・ドット・コムツアーに出場。現在は欧州ツアーのメンバーとして活躍し、今年のドバイデザートクラシックで同ツアー2勝目を挙げている。

 注目の小斉平は、ウェブ・トッド・コムツアーの出場権順位をさらに上げるため、今後は12月の最終予選会にも参戦する見通し。チャイナシリーズから米ツアーへの新たな道を切り開いた小斉平の飛躍に期待したい。