関東大学ジュニア選手権(ジュニア選手権)の大きなヤマ場である筑波大B戦は、雨が降りしきる夏の終わりを感じさせる涼しさの中、キックオフの瞬間を迎えた。前半は筑波大Bに先制され、ミスも多かったが、SO加藤皓己(創理3=函館ラ・サール)のトライ…

 関東大学ジュニア選手権(ジュニア選手権)の大きなヤマ場である筑波大B戦は、雨が降りしきる夏の終わりを感じさせる涼しさの中、キックオフの瞬間を迎えた。前半は筑波大Bに先制され、ミスも多かったが、SO加藤皓己(創理3=函館ラ・サール)のトライから流れに乗り、さらに2トライを決め、勝ち越したまま試合を折り返す。後半は前半と比べミスも少なく、キックを多用し敵陣内で攻め続け、終始早大Bが主導権を握り続け、最後はWTB佐々木尚(社4=神奈川・桐蔭学園)が独走してそのままトライ。43−19と快勝した。

 筑波大Bボールから始まった前半。初めに流れをつかんだのは筑波大Bであった。前半7分、モールで押し込まれそのまま失トライ。その後相手のペナルティーからラインアウトの機会を何度も得るが、ミスが連発しなかなかアタックのチャンスをつかめない。しかし、堅固なディフェンスで徐々に流れを引き寄せたワセダの攻撃が始まる。19分、加藤がキックカウンターから独走し、そのままグラウディング。コンバージョンキックもWTB桑山聖生(スポ4=鹿児島実)がきっちり決め7−7の同点に追いつく。その後29分、桑山聖からのパスを受けた佐々木尚が逆転トライ。さらに前半終了直前、フェーズを重ね敵陣ゴール前まで攻め込むと、最後はFB南徹哉(文2=福岡・修猷館)のパスから桑山聖が決め、19−7で前半を終える。


2トライを挙げた佐々木尚

 迎えた後半。「ディフェンスでしっかりプレッシャーをかけていき、アタックではしっかり相手の陣地で継続してやっていこうとハーフタイムで話し合った」(加藤)と語るように開始早々スクラムからのターンオーバーで相手のゴールラインへ一気に攻め込む。これで追い風が吹いたのか、後半8分フッカー鷲野孝成(基理4=神奈川・桐蔭学園)がラインアウトモールから持ち出しトライ。変わらずワセダの優勢は続き、17分加藤からCTB中西亮太朗(商1=東京・早実)が追加点を挙げる。しかし、21分早大Bスクラムでペナルティーを取られ、筑波大Bにフェーズを重ねてじわじわと自陣ゴールラインに迫られる。ゴールライン前ディフェンスはワセダが重要視していたところであった。ワセダはゴールラインぎりぎりでグラウディングさせないよう必死に耐え抜くが、最後は筑波大Bの速い展開にディフェンスが間に合わず点差を縮められる。だが、ここでワセダは流れを離さなかった。31分桑山聖が敵陣ゴール前までゲインし、最後はロック三浦駿平(スポ3=秋田中央)がインゴールをこじ開けた。その後もワセダは敵陣内でアタックを繰り返し、攻めの姿勢を崩さない。そして36分には、佐々木尚が相手のキックカウンターから50メートルの独走を見せ、そのままダメ押しのトライ。43−19でこの試合を終えた。


タテのゲインが光った中西

 前半は高いディフェンス力を見せて1トライに相手を抑えたものの、ラインアウトでは7連続ターンオーバーされるなどセットプレーでのミスが目立っていた。しかし、後半は前半と比べセットプレーでのミスが減ったことにより、高いディフェンス力を保ったままアタックもさらに継続させることができていた。これから先早大は帝京大や慶大、明大などの強敵に立ち向かわなければならない。しかし、今大会での早大Bの更なる成長がチームの底上げにつながるに違いない。「チャレンジャーとしての立場を忘れることなく日々成長してゆきたい」(フランカー佐藤真吾主将、スポ4=東京・本郷)と語ったように、今後の試合でもチームとして成長していき、カテゴリー1昇格へつなげたい。ジュニア選手権はまだまだ始まったばかりである。

(記事 北崎麗、写真 町田華子、藤岡小雪)

関東大学ジュニア選手権
早大Bスコア筑波大B
前半後半得点前半後半
192412
43合計19
【得点】▽トライ 佐々木尚2、加藤、桑山聖、鷲野、中西、三浦  ▽ゴール 桑山聖(4G)
※得点者は早大のみ記載
早大メンバー
背番号名前学部学年出身校
井上 大二郎スポ4愛知・千種
後半28分交代→16小澤
鷲野 孝成基理4神奈川・桐蔭学園
後半28分交代→17峨家
土田 彬洋スポ2茨城・茗溪学園
後半28分交代→18阿部
三浦 駿平スポ3秋田中央
大崎 哲徳文構1東京・国学院久我山
◎佐藤 真吾スポ4東京・本郷
西田 強平スポ4神奈川・桐蔭学園
後半23分交代→20増原
沖野 玄商3北海道・函館ラサール
貝塚 陸スポ4東京・本郷
後半32分交代→21河村
10加藤 皓己創理3北海道・函館ラサール
11桑山 聖生スポ4鹿児島実業
12中西 亮太朗商1東京・早実
13伊藤 大貴スポ4愛知・春日丘
14佐々木 尚社4神奈川・桐蔭学園
15南 徹哉文2福岡・修猷館
リザーブ
16小澤 祐仁法4東京・早大学院
17峨家 直也商4兵庫・報徳学園
18阿部 対我社1東京・早実
19中野 幸英文構3東京・本郷
20増原 龍之介教3広島・崇徳
21河村 謙尚社1大阪・常翔学園
22船越 明義社4東京・早大学院
23安部 勇佑スポ2東京・国学院久我山
※◎はゲームキャプテン、監督は相良南海夫(平4政経卒=東京・早大学院)
コメント

フランカー佐藤真吾主将(スポ4=東京・本郷)

――初戦を勝利で終えました

フォワード、BK共に、特にフォワードはキーゾーンのところでしっかり前に出られましたし、アタックもみんな1回1回仕掛けるマインドを持ってできていたのでこういう結果になったと思います。ただ、フォワードのセットプレーやモールのところ、ディフェンスのところで取られたところが安定しなかったので、本当はもっと抑えられた試合だったのかなと思います。

――セットプレーはかなり対策されているように感じました

そうですね、あとは雨っていうのもありましたし、筑波大さんはセットプレーが強いのでそこでやられてしまいました。

――前半連続でミスがあったのはコミュニケーションの部分もあるのでしょうか

コミュニケーションもあったんですけど、スローがうまくいかないとか、サインのチョイスもあまり良くなかったというのがありました。前半の最初の方でやられてしまったので、修正するコミュニケーションはしましたね。そこから取りやすくはなりました。

――フィールドプレーでも前半ミスが多く出た印象があります

ミスは環境もあったので。そのあとのセービングやリアクションのところにフォーカスしていました。

――その点の評価についてはいかがですか

まずまずですかね。ラインアウトはオーバーボールなどあまり取れなかったので。そこをもっと取らないといけないと思うので、もっともっと厳しくやっていく必要があるかなと思いました。

――個人としては、ボールを持って当たる機会が多かったと思います

僕だけじゃなくて、みんな前に出られたので。あと、フォワードで何度もフェーズを重ねていて、みんなボール持つ回数が多くて。そこで、何回も継続することができたので、よかったかなと思います。

――今後へ向けて一言お願いします

大きな試合が沢山ありますけど、次の大きな目標は帝京大戦なので、1回1回の練習や試合で日々成長していかないと帝京大、明大、慶大といった強い相手とは戦えないと思うので、チャレンジャーとしての立場を忘れることなく、日々成長していきたいと思います。

フッカー鷲野孝成(基理4=神奈川・桐蔭学園)

――この試合、チームで課題としていたことは何でしょうか

フォワードはキーゾーンのところで、ただ止めるんじゃなくて、前に出て止めるというとこを課題にしていました。

――その部分、この試合振り返っていかがでしたか

最初は仕掛けられてなかったんですが、徐々に出れて。僕らセットプレーで相手ボールになることが多かったんですけど、ディフェンスがすごいよかったので流れを逃さなかったのかなと思います。

――ゴール前ディフェンスで1トライ取られてしまいました。振り返っていかがですか

ゴール前ディフェンスはフォワードの場所だと思うんですけど、中盤では前で止められたのを、継続できずに徐々に相手に攻めさせてしまったのが、トライされた原因かなと思います。

――フォワードのアタックを振り返っていかがですか

中盤でレッグドライブすることができていて。きょう雨も降っていたので、パスよりも一人一人の強さで勝ちたいですし、BチームというのはAチームほど組織的に練習できるわけじゃないので、個々で勝つのが大事になると思ってたので。そこの部分ができていてよかったと思います。

――ラインアウトモールでトライするシーンがありましたが、振り返っていかがですか

ラインアウトモールは結構練習して自信があったので、取れてよかったと思います。

――個人を振り返っていかがですか

スローイングの方がよくなかったので、課題ではあるんですけど、まだ伸びしろがあるとポジティブに捉えて、ここからもっとスローイングを集中して頑張っていきたいと思います。

――きょうの試合で出たチームでの課題はありますか

フォワードが後半モールトライされてしまうシーンがあったり、いいスクラムもあまりなかったので。ラインアウトも全然安定せずに、問題外ぐらいの出来だったので。やっぱりフォワードのBチームからの底上げが、これから強くなっていくための重要な課題になると思います。

SO加藤皓己(創理3=函館ラ・サール)

――初戦にしてヤマ場の筑波大戦でしたが、きょうの試合を振り返っていかがですか

結果的には勝てて良かったんですけど、細かい部分で自分たちの課題が残ったので。まだまだシーズンは続くのでそれをしっかり修正してレベルアップしていきたいと思います。

――課題というのは具体的にどのような点ですか

フォワードでいえばラインアウトだったりモールだったりで、BKはペナルティーをちょっとしてしまって、それで苦しい展開になってしまったことがあって、失点の原因になったのでそこを改善していきたいと思います。

――きょうの試合のアタックのプランはどのようなものでしたか

まずはこういう気候なので、自陣でやらずに敵陣でプレイをするっていう、あとキックを多めに使うっていうプランでいきました

――前半のエリアマネジメントを振り返っていかがですか

結構キックの種類を使い分けられたので、スムーズにエリアがとれたかなと。今回は良かったかなと思います。

――前半のプレイを受けて、後半何か修正した点はありますか

ディフェンスではしっかりプレッシャーをかけていくことと、アタックでは継続してしっかり相手の陣地でやっていこうということがハーフタイムで話したことですね。

――チームとしてディフェンスが良かったように見受けられましたが、ご自身としてはいかがでしたか

そうですね、我慢しきれた部分もあったけど、まだ80分間やり続けるってことはできていなかったと思うので、失点を0にするのが目標という意味でも、しっかりまたディフェンスは突き詰めていきたいなと思います。

――最後に次戦に向けて意気込みをお願いします

ジュニア選手権のヤマ場って言われているところは乗り越えたんですけれど、ここで気を抜かずに自分たちにベクトルを向けてレベルアップしていきたいと思います。

WTB桑山聖生(スポ4=鹿児島実)

――初戦勝利を飾りましたが、今のお気持ちは

カテゴリー1に上がるためにまず1戦目から勝たなければならなかったので、勝ててほっとしています。

――アタックが光る場面が多かったですが、ご自身で振り返っていかがですか

連続攻撃が続く中でボールタッチを増やしていくことに取り組んできたので、その部分が少し形として試合で出せました。でも、後半まだ動けていない部分もあったので、そこは課題だと思っています。

――キックする場面も多かったですが、振り返っていかがですか

Aチームでエリアを取っていたように、Bチームでも自陣では筑波大Bに対してしっかりエリアを取っていくというのを重視してやっていました。

――雨の中の試合ということで、気を付けていた点はありますか

パス数が多くなるとミスが多くなる可能性があるので、パス数を少なくするプレイを選択していくということを大切にしていました。

――次戦への目標や意気込みをお願いいたします

きょうはアタックやディフェンスを形にできた部分が多かったので、もっとレベルを上げて次の試合でもっといいプレイができればと思います。

WTB佐々木尚(社4=神奈川・桐蔭)

――きょうは試合中雨が降り続け、グラウンドコンディションが良い状態ではありませんでしたが、何か試合で影響はありましたか

WTBの役割としてボールのハイパントに対してコンテストする部分でのミスが多く、課題が残る試合となりました。

――2トライされましたが、トライの流れを振り返っていかがですか

フォワードがすごくいいタテの攻撃でしたし、逆WTBの桑山聖がしっかりとブラインドから参加してくれて。全員がオプションとなってできた結果だと思います。

――チームとしての反省点はありますか

きょうは全体的にいつもの練習よりもアタックがすごく継続できてよかったとは思いますが、個人として一番初めのプレイでペナルティーをしてしまい、その結果相手に得点を許してしまったというのがありました。規律を守ることに関しては自分もそうですし、WTBからチームに声を掛けていきたいと思いました。

――最後に次の試合へ向けて意気込みをお願いします

自分がどのチームで出てもやることは変わらないと思うので、色々チャレンジをしていきたいと思います。