川崎フロンターレは優勝するにふさわしいチームだった。 勝てば優勝。引き分け以下でも、2位・サンフレッチェ広島の結果次第で優勝が決まるセレッソ大阪戦。川崎にとってC大阪は昨季のルヴァンカップ決勝で敗れ、今季17節でも1-2と逆転負けを喫…

 川崎フロンターレは優勝するにふさわしいチームだった。

 勝てば優勝。引き分け以下でも、2位・サンフレッチェ広島の結果次第で優勝が決まるセレッソ大阪戦。川崎にとってC大阪は昨季のルヴァンカップ決勝で敗れ、今季17節でも1-2と逆転負けを喫している、苦手な相手だった。

 試合は開始早々から川崎が押し込み、C大阪が守る展開となった。前半37分、川崎の登里享平が股関節を痛め、知念慶と交代するアクシデントはあったが、試合が動いたのは後半10分だった。C大阪は、田中亜土夢の左からのクロスを杉本健勇が決めて先制した。

 川崎は後半15分に家長昭博と阿部浩之のポジションを替え、31分には齋藤学と鈴木雄斗を投入して勝負をかける。だが、C大阪の集中力の高い堅い守備を崩せない。



セレッソ大阪戦でPKを決める家長昭博(川崎フロンターレ)

 負けて優勝を決めたくない川崎は、試合終了間際の後半44分。知念がペナルティ・エリア内で粘り、ファウルを誘いPKを獲得。家長がこれを冷静に決めて追いつく。だが後半49分、途中出場の山村和也に中央からシュートを決められ、これで勝負がついた。

 広島がベガルタ仙台に敗れたため、川崎の連覇が決まったが、笑顔なき優勝はいまひとつ盛り上がりに欠けた。

 だが、今シーズンを振り返れば、ロシアW杯の中断期間以降の川崎の安定感と強さは図抜けていた。自慢の攻撃力に加え、リーグ最少失点は、優勝に相応しいチームだった。

 その強さはどこにあるのか、ボールをしっかりつなぐという自分たちのサッカーが確立されていて、まったくブレることがないのが最大の要因だろう。敗れたC大阪戦でも、センターバックのふたりが敵陣に入ってパスを回し、完全に押し込むシーンが何度もあった。

 相手が引いて守っても、高さのある選手を投入して放り込むという選択はしない。観る側も、川崎が相手の堅い守備をどうやって崩すのかをワクワクしながら楽しんでいる。相手がどこであろうと、自分たちのサッカーを最後までやり切る。やり切れば勝てるという自信、それが川崎の強さだろう。

 チームの中心は、もちろんベテランの中村憲剛であり、得点ランキング日本人トップの小林悠であり、次代の川崎を背負う大島僚太だろう。だが、そんななかで今季の家長の安定感を忘れてはならない。体が強く、キープ力もあり、シュートも打てる。川崎移籍2年目の今季は、アシスト、さらに自ら仕掛けるなど、攻撃に幅が出てきた。そしてシーズンを通して、力を発揮した。

 ただし、今季の川崎について、忘れてならないのは、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)の結果だ。Jリーグ王者として参加しながら、グループリーグで1勝もできずに敗退した。来季もリーグ連覇の王者としてACLに参加する。不甲斐ない成績は許されない。

 川崎には、優勝賞金を使った、ACLとJリーグの2冠を達成できるぐらいの補強を期待したい。それが、本当の黄金時代到来の第一歩になるはずだ。