J1残留争いの大一番、鳥栖対V・ファーレン長崎戦。鳥栖は前節のベガルタ仙台戦で、サイドからの攻撃が成功して3-2と勝利を収めていた。そのサイド攻撃をケアするために、長崎は4バックで対応。しかし、鳥栖は金崎夢生に代わってFWに入った趙東…

 J1残留争いの大一番、鳥栖対V・ファーレン長崎戦。鳥栖は前節のベガルタ仙台戦で、サイドからの攻撃が成功して3-2と勝利を収めていた。そのサイド攻撃をケアするために、長崎は4バックで対応。しかし、鳥栖は金崎夢生に代わってFWに入った趙東建がサイドに流れて起点を作る。すると長崎は22分に本来の3バックに戻し、鳥栖のサイド攻撃を5バックでケアしようとした。お互いに勝ちたいというより、失点したくないという手堅い展開の試合になった。

 試合が動いたのは後半15分。福田晃斗の右からのクロスを趙東建がニアでヘディングシュート、長崎のGK増田卓也が弾いたボールを原川力が頭で押し込んだ。その後は、GK権田修一を中心に長崎の猛攻を防ぎ、残留に向けて貴重な勝ち点3を奪った。逆に長崎は、次節にもJ2降格が決まる可能性が出てきた。



V・ファーレン長崎戦は無得点に終わったフェルナンド・トーレス(サガン鳥栖)

 この試合の注目は、やはりフェルナンド・トーレスだった。

 前節の仙台戦では小野裕二のクロスをヘディングで決め、Jでの2点目を挙げている。しかし、まだまだ彼本来のプレーは見せていない。この試合でも前線で孤立する場面が多く、主審に抗議したり、長崎の磯村亮太とモメて一触即発になったり。後半28分にはファウルしたあと不用意にボールを蹴って警告をもらうなど、イライラを募らせる姿が多くなっている。

 ヴィッセル神戸のアンドレス・イニエスタはゲームを作る選手だ。時間とともに周りの選手の特徴を把握して、自分のよさを発揮している。だが、トーレスはストライカーだ。それもリオネル・メッシのようにひとりで2人、3人と抜いてゴールを決めるタイプではない。いいパスや、いいクロスが入ってきて初めて生きるタイプなのだ。

 残念だが、現在の鳥栖の中盤に彼を生かせる選手はいない。それが結果を出せない原因になっているのは間違いない。ストレス解消のため厳島神社に行ったという気持ちも、わからないではない。

 問題は来シーズンだろう。一部ではオーストラリアのクラブに移籍するのではという報道も出ている。だが、このままオーストラリアかアメリカのクラブに移籍して、日本国内で「トーレスはたいしたことなかったな」などと言われるのでは、あまりにも寂しい。

 鳥栖がJ1残留を果たしてトーレスを生かせる大物選手を補強するか、ほかのJ1クラブが獲得に動くか。とにかく、本物のトーレスを見てみたいのだが……。