大阪・ITC靱テニスセンターで開催されている「三菱 全日本テニス選手権」は、10月31日に第5日を迎えた。男子シングルスは3回戦のトップハーフ4試合が行なわれ、第1シードの伊藤竜馬をはじめ、第4シードの清水悠太、第6シードの田沼諒太、第8シ…

大阪・ITC靱テニスセンターで開催されている「三菱 全日本テニス選手権」は、10月31日に第5日を迎えた。

男子シングルスは3回戦のトップハーフ4試合が行なわれ、第1シードの伊藤竜馬をはじめ、第4シードの清水悠太、第6シードの田沼諒太、第8シードの関口周一の上位勢が順当な勝ち上がりを見せた。

伊藤のプレーに、そして表情に、かつての躍動感と気迫が戻ってきた。実力者の片山翔相手に、第1セットはわずか19分で圧倒。第2セットは4-1リードから追い上げられるも、最後は力強いストロークで突き放し、6-1、6-3のスコア、試合時間55分の完勝劇を演じてみせた。

第2セットでブレークバックを許した時も、伊藤に焦りはなかったという。「とても感覚が良い」という打球感への確信が、プレーに一本の芯を通していた。その好調の背景にあるのは、ここ最近の激しいトレーニングだという。今年30歳を迎える伊藤は、どこかで年齢を言い訳にし、トレーニングも軽めで済ましていた部分があったという。だがこの夏から周囲のアドバイスもあり、再び自分を追い込んだ。すると身体がよく動き、動く身体に引っ張られるように、精神的にも熱さや激しさが蘇る。そこに経験と技も加味し、自身と試合を完全に制御しながらのベスト8進出だ。

今大会はシングルスのみならず、20歳の小堀桃子と組み混合ダブルスにも出場。その初戦には勝つには勝ったが、ほぼ初の混合ダブルスに「試合の流れが読めなくて」と、戸惑いを隠せぬ様子。

「自分がパートナーをリードしなくちゃという思いもあるし、でも相手の女子選手にどこまで打って良いのかわからないし......」

そう言い浮かべる困ったような笑みは、まだまだ新人のように初々しい。(リポート=内田暁 ©スマッシュ)

※写真は大会の様子

(©スマッシュ)